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おもむくままに。  作者: 黒の爆裂魔法使い
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だいいっかい

何これって思って構いません

青春 イズ ディフェレント


 春から高校生の予定でした。


 でも、この世界は、上手くは回らない。

『青春』と書き、『アオハル』とも、『セイシュン』とも呼ぶ。

こんな時間が、いつか来るのだろうか。

他愛のない話で笑い合う友人と、特に意味もなく放課後の教室に残る。

 そんな景色を、夢見たことはある。


 決して憧れていなかったわけではない。

むしろ、今まで人との距離を変に取りすぎていたこと自体がおかしかった。それを取り戻そうと、意識の改革、、、の準備をしてはいたのだ。


 まぁ、嫌われなかっただけ良しとするか。変なあだ名も、そこまで悪くはないし。

ちなみに、あだ名は《情報屋》と《暗殺者》だった。うん、我ながら物騒だな。


 朝、少し起きるのには遅い7時20分。自分の部屋から出て、一階のリビングへ行く。すると、先客、もとい妹がいた。


「おはよ」

「ん、、、ほはおー」

「いい加減、口に食べ物入れながら喋るな」

「はーい、んくっ。おはよー、相変わらず兄上の寝癖はすごいな。戦闘民族みたいだ」

「寝起きだけな」


 妹は自分と2つ違いの中二。厨二病と中二病を患っている、アニメオタクだ。

無論、道に引きずり込んだのは自分なのだが。だが、お陰であまり喧嘩などもなく、平穏な暮らしが続いている。平和万歳。


「そんで兄、今日新聞当番」

「そだっけか」

「はやく取ってこい、早く4コマ漫画を見たい」

「はいはい」


 我が家では朝刊をとっている。文章を読むことが好きなので、毎日読んでいるのだが、両親は全く読まない。というか、朝はいない。


 新聞は、隣の祖父母の家に祖父母分もまとめて届くので、朝は兄妹交代制で取りに行く。

たまに祖母に会うのだが、今日は会わなかった。仕事が忙しいのだろうか。


「はい新聞」

「どもどもー」

「でも、朝食食べ終えるまでダメな」

「なんでー」

「片付けが遅くなる。早く食べろ」

「うっ」


 何故か我が妹は、食事中にボーッとする癖がある。よって、食事が遅くなるわけだが、そこに新聞が加わると加速度的にその後の皿洗いが遅くなる。できれば妹にやらせたいが、「卵を必ず割るどこぞの戦闘民族みたいに、我が力が暴走し、皿が我が魔力に耐えられなくなってーーー」「ーーーつまり皿を割る、と」「んんっ、、、そうだ、そうだよ悪いか!」「悪いよ」とまぁ、要するに家事ができない。


 前に一度だけ誕生日を祝ってもらった時には、妹が料理したシチューが振る舞われた。もしこれがあるあるの展開なら、妹の料理は美味しいはずだが、その期待を一瞬でも持ってしまった自分がバカだった。まず見た目、、、ナンデクロイノ?。匂い、、、ナンデフランシュウ?。味、、、記憶がない。確か倒れたはずだ。


 そんな思い出を思い返していると、妹が声をかけてきた。


「今日午前中は時間あるか?」

「ある、、、と思うけど、どうした?」

「ちょっと勉強見て欲しい」

「あまり教え方は上手くないけど」

「他に人がいない」

「ま、そりゃそうか」


 この世の中は現在動きが停滞している。


 そう、みんなが知っている【コロナウイルス】である。

 テレビではいろんな人が様々な憶測を言っている。妹が読んでいる横からテレビ欄を見ると、昼のニュースから夜のコメディ番組までいろんな箇所に【コロナ】の文字が踊っている。

 『コロナ感染者拡大中』、『医療体制緊迫の恐れ』、『政府が各都道府県と調整中』などなど。中には『コロナの感染ルート特定』など、個人情報が漏れそうな箇所もある。


 ネットの反応を見ればすぐわかる。著名人、有名人などの感染が明らかになると、差別的な言葉から、住所特定、人付き合い、その子供の住所まで。世の中は暇人で溢れかえっている。ただ、そういったマスメディアに対し熱意や冷やかしの感情をあまり持たず、芸能人に興味がない人にとっては、アニメ延期の方が痛い。


 人間は、自分に関係のない、関わったら不利な物についてはとことん避けるであろう。そもそもメリットがないのだから。


 路頭インタビューでも、中高年の人が

「若い人が集まるのがいけない。それがなかったらこんなに感染が広まることはなかった」

 と、言い、若年の人は

「夜、飲みに集まっているおっさんたちのせいだ」

 と、お互いに押し付け合う、見ていてつい鼻で笑ってしまう状況が繰り返されている。


 そんな、罪をなすりつけ合うまでに停滞している世界において、唯一と言っても良い、最も活発になっているのが、ゲームであろう。どうやらゲーム業界は早くも各社黒字だそうで何よりだ。


 ゲームには、人を惹きつけるものがある、という持論の元、妹に持ちかけて実験してみると、どハマりした。翌日にはAmazanで攻略本を買うほどに。


 そして、押したら押し切れ精神の元、アニメの道に入れさせると、、、


「あ、そうそう。次期アニメ時間が正式発表されたよ」

「お、マジか。後でチェックしとく」


 こうなった。


 もともと外に世界が苦手で、休日はおうち大好きっ子だったのが大きいのかも知れない。


「それはそうと、兄、彼女早よ作れ」

「絶対やだ」

「何故だ、1人だと寂しいだろ。温もりを共有したいだろ」

「そっくりそのままお前にお返ししたいのだが」

「んなっ、、、わ、、、私には相棒のアニメがあるからいらない」

「それは僕もだ」

「ふむ、、、なるほど。兄はロリコンか、ロリコンなのか、ロリコンであったか」

「そんな比較級みたいな使い方で責められても、僕はロリコンじゃない」

「い、妹に向けている目は、いつも狼さんだぞ、、、今だって、ほら」

「いや違う。これは哀れな思考しかない妹の将来が心配になる目だ。ついでに言うと、妹に向ける目線はシスコンということは知らないのか?」

「、、、、、、」

「いいから、早く食べろ」

「、、、ふぁい。兄、ヨーグルトプリーズ」

「林檎ぐらい切れないのか」

「あの、ほーちょーってやつは、なかなかしぶといせーかくの持ち主でな。私の職業には適性がないみたいなのだ」

「おまえ、職業って、、、」

「半年はニートだな。と言うか、兄もだろ。どうだ、妹と一緒の職だぞ。コーフンするか?」

「いや、むしろこんな奴と一緒でがっかりだよ」


 そう、呆然とした顔になった妹をそのままに、朝のヨーグルトをクラフトしに台所へ向かった。


 我が家の朝食は、その日の予定によって変わる。学校があるのならば白米、納豆、味噌汁の和食。休日ならフルーツグラノーラに牛乳ぶっかけて。あとは毎日のデザートにヨーグルト。とても胃袋に優しいメニューである。ま、フルーツグラノーラに関しては、寒い日に食べると体が冷えてしまうが。


「んじゃ、そろそろ授業だから」

「いつ終わる?」

「今日は2つで終わるから、10時には終わるだろ。その後に勉強見てやるから待ってな」

「はいよ。兄、ご武運を」

「はいはい」


問。我が家、とは


答。マイペース エブリデー

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