表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

ヤクソク

キーンコーンカーンコーン



「あぁ、やっとおわったぁ~」


今日の授業がすべて終了したことを告げる音が校舎中に響き渡る。今日は、登校二日目。授業は今日からなのでどの授業も先生の自己紹介や授業のオリエンテーションのみで、特に何かしたわけでもなかったがひたすら座って話を聞くだけというのも退屈なものである。俺がこの世界に来る前とその辺は大差なかったので、見覚えのあるプリントに聞き覚えのある話。余計に退屈だった。クラスのやつらが教科書などを廊下にあるロッカーに片付けようと廊下に出ていく中、一人だけ逆走して俺のところにやってきた。


「体験は四時からで時間あるし、終礼終わったら購買行こうぜ。」


俺は、この新しくできた友達(仮)とこの後、ハンドボール部の体験に行くことになっている。終礼はそのクラスの担任の先生によって異なるが大体どのクラスも3時40分には終わる。多くの生徒が部活の前に少しでも腹を満たそうとパンなどを買いに来るため、この時間は混雑する。なので


「ごめん、俺は遠慮させてもらうわ。この時間、部活の前にパンとか買って食べようとするやつらで混んでるからな。」


それを聞くと大樹は驚いたように


「え、そうなのか。よく知ってるな。なら、おれも行くのやめようかな。」


俺は自分がパラレルワールドから来たということは、話しても馬鹿にされるだけなので話さないことにしている。自分でも気を付けているがたまにこういうことがある。


「あぁ、この学校に通ってる中学の時の先輩に聞いたんだよ。先生が来たぞ、早く席に戻れよ。」


ハンドボール部はこの学校に3つあるグラウンドのうち、一番小さい校門前のグラウンドで練習している。俺たちは終礼が終わり次第すぐに、教室とは別の棟にある更衣室に行きサブグラウンドと呼ばれるグラウンドに向かった。


その日のハンドボール部の体験は、簡単なミニゲームをして”ハンドボールに慣れよう”みたいな感じで終わった。


「今日は楽しかったなぁ~。」


久しぶりに運動してくたくたな俺とは違って、大樹は走り回ったのにとても元気そうだった。俺は今までハンドボールは中学の時の体育の授業くらいでしかやったことはなく、その授業ですらルールがばがばだったのでしっかりとしたルールでやるハンドボールは新鮮で楽しかった。


「そうだな、そういやなんでハンドボールをしてみようなんて思ったんだ?」


こんなこと言うのはハンドボールをしている人たちに申し訳ないが、ハンドボールはサッカーやバスケなどと違ってあまり世間的には認知度はそんなに高くない。


「なんでって言われても、高校生になるのを足掛けになんか新しいことに挑戦しようと思っただけさ。」


大樹の意識の高さには感心するしかない。着替えを終えた俺たちはそのまま帰ることにした。時計を見ると出発するまであと4分しかなかったので、俺たちは走ってバス停に向かった。バス停に止まっているバスはまだ出発しておらず、ラッキーと思いながらバスに乗り込もうとすると


「待って。」


その聞き覚えのある声に背筋が凍り付いた。先にバスに乗り込んだ大樹が俺のほうを見て


「どうした、早く乗れよ。出発するぞ。」


すぐにでもそのバスに乗ってこの場から逃げ出したかったが、今このままバスに乗って帰ったら絶対に明日背中からぐさりといかれる。そう思った俺はバスに乗ろうと上げた足を下ろし


「ごめん、教室に忘れ物したの思い出したからちょっと戻るわ。先帰ってて。」


最初は戸惑った様子の彼であったが、俺の左側をチラッと見て察したのだろう。


「おう、わかった。また明日な。」


そう言うとちょうどドアが閉まりそのままバスは行った。そして、バス停にあるベンチに座っている彼女にそっと目線を移動させた。



「こんなところで話すのもなんだし、歩きながら話しましょうか。」


学校から最寄りの駅までは2キロとちょっとくらいあるので、歩くと30分くらいある。俺は、彼女が歩いていく後ろをそっと歩いた。学校から最寄りの駅まで行くルートは二つある。一つはバスの通る道沿いにひたすら坂を下っていく方法とその道を少し外れた住宅街の中を通っていく方法だ。ちなみに後者は、少し遠回りになるためあまり同じ学校の生徒は好んで歩かない。それ故に多くのカップルがよく使っているルートであるので”カップルロード”などと呼ばれている。わき道に入って少し歩くと小さな公園がある。彼女はそこに入っていった。


「そこ座って。」


彼女は公園にあるベンチを指さしてそういった。


「あのぉ、なんでしょう。」


見るからに機嫌が悪そうなのだが、正直まったく心当たりがない。おそるおそる聞いてみるとすごい形相でにらんできた。


「今日、授業終わった後何してたの」


「いや、ハンドボール部の体験に行ってた。」


「ねぇ、それってわたしとの約束をそっちぬけにしてね。」


ーーあっ、すっかり忘れてた。



初めての連日投稿。思ったよりも大変ですね(笑)これからも毎日とはいかなくともできるだけ頑張りたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ