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カノジョ

ーもうだめだよ。いや、ちょっと待てよ。特徴に合致したからとはいえ、この子が俺の彼女とは限らないしなぁ。いや、もしかしたら今日はゆっくり来てる可能性もある。でも、内部の生徒なのに俺のこと知ってるってことは多分、この子だよなぁ。


などと考えながら、ちらちらと横目で彼女を見ていると


「なに、顔になんかついてる?」


態度の大きさがやけに鼻につくやつだなと思いながらも、このなんとも言われぬ空気を何とかしようと


「眼鏡がついてる。」


などと言ってみたが、どうやら逆効果だったらしい。すごい形相でこちらのほうをにらんでくる。そして口を開いたと思えば、


「くだらない。私がそういうの嫌いって知ってるでしょ。なんでそういうことしてくるわけ。」


ーいやいやいや、知りませんけど。なんなんですかこの子。かわいげなさすぎやしません?何があったら、こんな子と付き合うみたいなことになるんですか。無理無理無理無理無理。とりあえず一刻も早くこの場から立ち去ろう。


「ねぇ、昨日メッセージ何度も送ったのに何で無視するの。一言でもいいから返してよ。」


それを聞いた瞬間、冷や汗がわけがわからないほど大量に出てきた。


ーーー昨晩、優実とゲームをしている最中


ピロンピロンピピピピピロン


「おにいちゃん、携帯の通知音うるさいから切って。」


すごい勢いでメッセージが来るのでグループの通知かと思ったが、それは同じ人物からのメッセージだった。送り主はManaと表示されていた。すごい量の怒りのメッセージ。おそるおそる優実に尋ねてみると。


「ごめん、ごめん。なぁ、これだれかわかるか?」


確かにいやな予感はあった。


「もぉ~ふざけないでよ、おにいちゃんの彼女さんじゃん。もしかして、今日まったく連絡してないの?

 うわ、やばいよそれ。あの人怒ると手つけられないじゃん(笑)」


ーいやいやいやいや、これがこれが…


俺はそれ以上に言葉が出てこなかった。まずいと思い携帯を開けようとすると、ロックがかかっていてあかない。指紋では反応してくれずに、パスワードの入力を要求された。思い当たるパスワードを入れたがあかない。何度か試してみるが、しばらくして開けられなくなった。返信することを諦めそれ以降、考えないことにしていた。--


昨晩のことを包み隠さず、正直に話した。すると


「もういい、帰って。」


三年目の主人の浮気の言い訳を聞き飽きた嫁のように、そう吐き捨てて彼女は教室に戻っていった。モヤモヤしたものを感じながらも、その場にいるのも嫌だったので自分の教室に帰ることにした。


ーこんなことなら、早く学校に来るんじゃなかった。ってか、やっぱあの子だよね。俺の彼女って…

 あぁ、カエルになりたい


早く学校に着きすぎたために、教室に帰ってもそこには誰もいなかった。この学校では朝のホームルームの前に10分間好きな本を読む読書の時間がある。そこで読もうと自分の部屋から持ってきた本を、特にすることもなかったので読むことにした。それからしばらくし八時くらいになると、ぽつぽつと人が増えてきた。しかし、まだ登校二日目なので内部生徒の教室みたいに、にぎやかではない。一人で静かに本を読んでると


ピコン


携帯がメッセージを受信したと音で知らせてくれた。


ーやっべ、通知切るの忘れてた。ホームルーム始まる前でよかった。


学校内に携帯の持ち込み、授業以外(主に休み時間)の携帯の使用は認められているが、先生の許可なしに授業中に使用した場合(音が鳴った場合も使用とみなされる)、その場で即没収なので鳴るのが今でよかったと思った。持っていたからと言って、使えるかは別の話だが。


通知音が鳴るのが怖いので電源を切ろうとすると、ふいに画面に表示されたメッセージが目に入る。


ーこっちのほうが何十倍も怖いわ。


『Mana:放課後の約束、忘れてないよね』


語尾に(威圧)がみえるようなその文章に背筋が凍り付いた。もちろん、こんな約束身に覚えはない。


ーとりあえず、放課後になったら速攻であいつのところに行くことにしよう。


そう決めて、とっとと携帯の電源を消しカバンにしまった。気を取り直して、先ほどまで読んでいた本の続きを読もうと本を開いた。すると


「おっ、君もそれ読んでんの?俺もめっちゃ好きなんだよね」


他にあまり人がいなかったのと、席が近かったのもあって表紙が見えたらしい。


「いやずっと前から読んでみたいと思ってたんだけど、読む機会がなくてせっかく朝読書の時間もあるしこの機会に読もうと思って。だから、ほんとに読み始めたばかりだよ。」


「それは悪かったな、読む邪魔して。俺の名前は中井大樹ナカイ タイキこれからよろしくな。」


あまりこういった”誰とでも話せますぅ~”みたいなコミュニケーション能力高めの人間は得意ではないが、そういうやつに限って大体いいやつっていうのもわかっているのでこの一年間はこいつと仲良くしておくことにしよう。


「あっ、そうだ。今日の放課後、ハンドボール部の体験行くんだけど一緒に行かない?今日、体育あるから体操着もあるし俺もやったことないから。なあ!」


ーどうしようか、今日はすぐ帰ってゆっくりしようと思ってたんだけどなぁ。まぁ、一日くらい付き合ってやってもいいか。


「うん、わかった。しゃーなしだぞ。」


そう言って放課後、ハンドボール部に体験に行くことになった。


ーあれ、なんか忘れてるような…まぁ、すぐ忘れるくらいのことならいいだろう。


そう言って本の続きを読み始めた。


投稿ペースを上げようと思います。Twitterで活動報告はしようと思っているのでチェックよろしくお願いします。

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