ユメ
教室に戻ったのは十二時を少し過ぎたころだった。ほかの生徒のほとんどはすでに帰宅していた。荷物を持って教室を出ようとしたとき、チラッと携帯を見ると外で待っている母からのメッセージで通知がいっぱいであった。ここの学校は、一年生の時は内部進学で入学してきた生徒と入学試験を受けてい入学してきた生徒では、クラスが分けられている。階段を挟んでこちら側は外部の生徒のクラス。向こう側が内部生徒のクラスであった。なので、向こう側は中学の時からのママ友たちの会話でまだ騒がしかったので間にある階段から下に行こうとした。階段に向かおうと廊下を曲がると、すごい勢いで何かが衝突した。自分が何と衝突したかを理解した瞬間、自分の脈拍が明らかに上がってるのを感じた。
「ごめんなさい、ちょっと急いでて」
そう言って彼女はその場をあとにした。俺は、あの子を知っている。彼女は俺の彼女だ。しかし、高校入学前に戻っていると先ほどの反応から見て、おそらく彼女と俺の関係は出会うより前に戻っている。その事実に俺は胸が締め付けられるようであった。
ここですこし彼女の話をしよう。彼女の名前は福本芽衣。彼女は中学からこの学校に通っている。高校生とはとても見えないような中学生のような外見をしている。身長は155cm程度で華奢なからだつきだ。あまり積極的にいろいろな人とかかわるようなタイプではないが、明るくいつも元気だ。俺が彼女と出会ったのは、二年生のクラス替えがきっかけだった。この学校では二年生になると内部生徒と外部生徒とがごちゃ混ぜにしてクラス替えが行われる。その時にクラスが一緒になったのがきっかけだった。それから、しばらくして席が近くなったのをきっかけによくしゃべるようになった。たまに休日に遊びにいったり、彼女の家は学校から近かったため家まで送ったりしていた。そうしているうちに俺は彼女にひかれていった。それからしばらくした三年生になる直前の春休みに俺らは付き合い始めた。それから一週間程度しかまだ経っていないというのに、わけがわからないまま俺らは他人に戻った。まるであの時が夢であったかのように…
あまりの急な出来事に呆然と立ち尽くしていたら、電話が自分の存在を強調するかのように騒ぎ始めた。携帯を確認すると、母からの電話であった。時間を確認すると長い針が3のところにあった。
ーやっべ、教室出てからもう十分近くたってるじゃねぇかよ。
感動の再会(?)の余韻にひたってる間もなく、母が待っている校門まで全速力で走った。しかし、校門に着いたころには、母はおらず代わりに妹がそこにいた。彼女の学校は始まるのが少し遅く、まだ春休みのようだ。
「あれ、お母さんは?」
それを聞いて俺に気付いたようですこし驚いた様子だった。
「おにいちゃんが遅いから、先帰ったよ。」
そんなことだろうと思っていたのでとくに驚きはしなかったが、代わりに妹がいたのは予想外であった。
「なんで、おまえはここにいるんだ?」
母と一緒に帰ればよいのにわざわざ残って俺を待っているということは、それなりの理由があるのだろう。その理由がろくでもないことだと直感が、騒ぎ立てる。
「買い物、手伝って」
直感が当たった。女の買い物は量が多く時間もかかってめんどくさいと、相場が決まっている。しかし、わざわざそのために残っているのだ。その願いを無視するのは腰が引けた。
「しょうがないから手伝ってやるけど、今回だけだからな。」
「はーい。早く行こ!」
こうして俺たちは学校を後にしてショッピングモールにむかった。
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