ユメ
ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ……
枕元にある携帯のアラーム音で目を覚ました。
いつもと変わらぬ白い天井、自分の頭上から差し込む朝陽。本当にいつも通りだった。
眠い目をこすり朝食を食べるために、一階のリビングに向かう。
お母さんが朝の天気予報を見ながら朝食を作っている。なにげないいつも通りの朝だ。
朝食を食べ身支度をし学校へ向かう。
サラリーマンや学生がおしくらまんじゅうをしている電車とバスを乗り継ぎ学校へ向かう。
三年A組の教室に行くとクラスメイトが楽しそうに会話を弾ませている。
なだらかな川のように退屈な授業の時間が流れていく。
部活でいつも通りの練習をし、そのあと彼女を家まで送って帰る。
家に帰ると夕食を食べ風呂に入って一人でゲームをする。
そんないつも通りの生活…
いつも通りであるはずなのに何かが違う、そんな気がしてならない。
なにか重要なことを忘れているような気持ち悪さ。
そのモヤモヤが晴れぬままその日の幕は降ろされた。
■■■
その夜、俺は夢を見た。
それは俺に念願の妹ができる最高の夢だった。
二人で買い物したりゲームしたり、至福の時だった。
それは大切な友達や彼女を失った最悪の夢だった。
大切な人には知らん顔をされ、何度も心をおられそうになった地獄のような時だった。
それは新しい人たちに会えた面白い夢だった。
いろいろな人と交流できて新鮮な時間だった。
■■■
ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ……
枕元にある携帯のアラーム音で目を覚ました。
今日見た夢ですべて思い出した。
ほんとに夢のようだった。
しかし断言できる。
あれは"夢ではなかった”と。
あの時間と今の時間どちらがいいかといわれると、俺には選べない。
どちらにも大切な人がいて、大切な時間だから…
パラレルワールドは自分とは遠いようで実は近いのかもしれない。
またいつか行けるだろう。そしてあえるだろう。
あの声、あの笑顔は一生忘れない。
「おはよう!おにいちゃん!」
久しぶりの投稿も最後になってしまいました。楽しみにしてくださった方々には申し訳ありません。
あまりすっきりしていないかもしれませんが、これはこれでありかなと思っていただければ幸いです。
また新しいものを書こうとは思っています。これからも温かい目で見守っていただけると嬉しいです。
ありがとうございました。