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ツキ

目を開けると月がこちらを照らしている。

雲に見え隠れする月がなんかエモい。


外で一息つくつもりが、気づけば眠っていたらしい。

部屋に入って時計をみるとまだ3時頃であった。ベットの上の優実はまだ気持ちよさそうに寝ていた。

まだ夜は寒いので優実にそっと布団をかけてやった。


スヤスヤという寝息に交じってぶつぶつ寝言を言っているのが聞こえてきた。

時間がたつにつれてその寝言がだんだん大きくはっきりしてきた。



「お、おにいちゃん……す………き……」


それを聞いた途端、全身が火照るのを感じた。


ー落ち着け、いまの好きは兄としてに決まっている。何を期待しいているんだ。でも……耐えられない。  たとえ妹だとしても、俺からしてみれば彼女が家族ということを未だに受け入れられていない。そんな俺にこれはきつすぎる…


『妹に好きと言われる』

これ自身は何度シミュレーションしたことだろう。いろんな妹から何回もその言葉を聞いてきた。この時俺は、人間の想像の限界を知った。

はっきり言って次元が違う、想像していた何千倍の威力に俺の思考はバグを起こした。


■■■


眩しい朝日に目を刺され、目が覚めた。


「ん~!!」


ちょうど同じタイミングで目を覚ました優実が、思いっきり伸びをした。

どうやら彼女は寝相がよくないらしく服がはだけていた。


ふと、彼女と目が合う。

いつも朝起きて見える景色と違うことを認識し、また今の自分の状況を確認すると


自分の両手を胸の前でクロスさせ今にも見えそうになった胸を隠すと



「お、お、お、お、おにいちゃん。私が寝てる間に何したの…」



確かに状況的に変な誤解をされるのは仕方ないのかもしれないが、俺はなにもしていない。



「ちょっと、落ち着けって誤解だ。俺はなんにもしてない。」


「おにいちゃんのばか!」



そう言って彼女は部屋から出ていった。

そしてすぐに戻ってきた。



「ほんとに何もしてないの?」


「お、おう!当たり前だ。俺はなんもしてない」


「まぁ、そうだよね。急で焦っちゃったけどよく考えたら、ヘタレのおにいちゃんにはそんなことできないよね。」



なんか嫌味っぽかったが、かわいいからなんでもいい。結局、かわいいは絶対不変の正義なのだ。


こうして、再び俺のなにげない日常が幕を開けた。



■■■


今日は日曜日、茉奈との月に一回のデートの日だ。

俺たちは付き合い始めて間もない時に、いくつか約束事をした。その中の一つがこの月に一度、第三日曜日するデートだ。

と俺の日記に書いてあった。


今日は水族館に行ってそれからすこし買い物をする予定だ。



「ごめん、遅くなってごめん。だいぶ待たせたんじゃない。」


「いや、気にしなくていいよ。って言っても集合時間ジャストだし…」



その時軽いめまいがし、軽くその場でふらついた。

おそらく、寝不足が原因だろう。ここ最近、優実とのゲームに盛り上がりすぎて気づいたら日付をまたいでるなどしょっちゅうだ。



「大丈夫?」


茉奈が心配そうに駆け寄ってくる。


「うん、大丈夫だよ。よし、行こうか。」


そう言って俺たちは水族館に向かった。

初めて来る水族館に俺のテンションは計り知れないほどまで上がっていた。

大体、一回り一時間くらいかかるといわれているが、それを三時間もかけてゆっくり堪能した。


その後バスを使って市内にでて買い物を済ませた俺らは何かするわけでもなく、市内のすぐそばを流れている川沿いに座って話していた。



「やっぱり私、朝陽と付き合えてよかった。」


あまりにも急にそんなこと言うものだから、とてつもなく恥ずかしくなった。


「お、おう、ありがと。いきなりそんなこと言われるとなんか照れるな。」


「ねぇ、朝陽はどうなの。」


いくら短い付き合いとはいえ、こっちの世界に来てからずっと一緒にいるのだ。少しはこいつもいいやつだなとは思っている。それでも俺が好きなのは…


「ま、また今度な。時が来たら話してやるよ。」


この時の俺は知らなかった。




俺たちに今度はないと

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