5:想像・模倣・疾走
イリシャ視点の話です。相変わらずグロテスク描写なので注意。
《シェイプシフター》には近づけない。
迂闊には近づけない。
近づけば、切り刻まれる。
逃げれば、刃の触手を発射してくる。
(どうすればいいのかしらね)
他の冒険者は徐々に後退している。
イリシャは他の冒険者に合わせ、一歩、また一歩と歩を退いていく。
分が悪すぎる。
だが、こんな時にあっても――
いや、こんな時だからこそだろうか。
セイルの教えが、頭の中を駆け巡った。
――状況を冷静に捉えろ。客観視しろ。
――自身がどのような状況に置かれているのか、他人の視点で判断しろ。
イリシャは、努めて冷静に状況を俯瞰した。
雪が積もる大地には死体が転がっている。
小太りの冒険者のパーティの《前衛》の死体だ。彼らは、《シェイプシフター》が繰り出す刃の嵐で即死した。
この点に着目してみても、《シェイプシフター》が高度の技量を持つ敵だと知れた。
通常、刃の嵐を繰り出せば、この《前衛》たちは単純に斬り刻まれてお終いのはずだ。
そのはずだが、見事に首だけを斬り落とされている。
次いで、逃げ出した冒険者に対しては刃の触手を高速で発射して、あまつさえ首を刎ねている。
見事なまでの技量としか言い様がない。
セイルなら――他にどんな感想を抱くだろうか。
(セイル先生なら……)
想像する。
セイルの思考を。
模倣する。
セイルの思考の道筋を。
疾走させる。
セイルの思考の行き先を。
思考疾走、完了。
――結論。
セイルなら、『防御した上で反撃できる』と言う。
イリシャは、《異次元収納LV10》を発動した。
異次元より取り出すは、《凍結反応爆弾》。
接触した物体を凍結させ、爆破する、攻防一体の道具だ。
●ステータス
名前:セイル・ラザム
LV:9
性別:男性
種族:翼人族
職業:教師
生命力:55
魔力:88
活力:77
筋力:88
敏捷性:99
運:1
装備:モノクル、黒いコート、白いシャツ、赤いネクタイ、黒いジャケット、ズボン、ベルト、革靴
スキル:素材発見LV10、素材採取LV10、合成LV10、ランダム合成LV10、分解LV10、戦闘時装備、鷹の飛翔、異次元収納LV10、風属性耐性、秘匿
称号:《秘匿》により公開されません




