小太りの冒険者視点:2
小太りの冒険者視点の話です。ちょっとだけグロテスクな描写があるので注意。
ヴァラド国・ヴァラド平原西部。
共同クエスト《ポイズンウルフの大群の退治》開始から2時間後――
《ポイズンウルフ》50匹は無事、討伐された!
当然、俺様のお陰だ! いやいや、俺様のパーティとでも言うべきかな! 持つべきものは仲間よッ!
イリシャとかいう小娘は《解毒ポーション》で下っ端冒険者たちを治療していた!
ふん、《解毒ポーション》の値段もバカにはできねェからな。自腹で《解毒ポーション》を使う分には大目に見ておいてやるか!
セイルは――何もしてねェッ! 剣みたいな代物を持ったと思ったら、《鷹の飛翔》で上空を『ぐるぐる』飛んでいるだけだ! あいつは、なァにをやってるんだッ!?
まァいいッ! 俺様のレベルも52になったんだからなッ!
今日もまた、雪が降り積もる大平原に俺様の哄笑が響き渡るッ!!
「――ハーハッハ! この俺様のユニークスキル《衝撃反射》にかかればこんなもんよッ!」
本当は《衝撃反射・微》なのだが、『微』の部分を省略しても特に問題は無いッ!!
勝利こそが全てなのだッ!!
今日の勝利の美酒は確実に美味ッ! 絶対・確実にッ! 決定事項だッ!!
「ふぅ。こんなもんですか」
冒険者の一人が笑みを浮かべた。
あァ、こいつは確か、俺様とイリシャの仲裁をしたヤツだったな。柔和な笑顔が特徴的な爽やか美男子ってヤツだ。
見たところ、この美男子は《オーク族》だ。
若ェ。確実に、若ェ。
しかも、一人パーティか。
ハハァ。さてはこいつ、パーティを組んでくれる奴がいないに違いねェ。
一人パーティでも受け入れてくれるのが、《共同クエスト》のいいところだからな。
さっきから戦いっぷりは観察していたが、実力は悪くねェ。少なくともセイルよりはマシだ。
クックック。こいつは利用できそうな味がするぜ。
将来のためにも、ここはちょいと、俺様の威厳を示してやるとするか。
「おうともッ! 俺様のパーティに負けは無ェんだよッ!
どうだッ! てめェも俺様のパーティに入らねェかッ!!」
「いえいえ、違いますよ。
冒険者という生き物はこの程度の実力しか持たない。そういう意味でしてね」
次の瞬間、俺様のパーティの《前衛》全員の首が飛んだ。




