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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第一章:棺桶転生
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《白蛇教団》の追跡者:2:報われない生

《白蛇教団》の手先こと、ナンバー10の視点。

ホラーっぽい描写ありなので注意。


時系列的には、30話と39話の中間の話です。



 そろそろ死にそうだな。

 俺はそう思った。



 魔力が既に尽きている。

 結晶迷宮の冷気に体力が奪われ、今にも眠りに落ちてしまいそうだ。


 皆、死にそうだった。


 同士が死の眠りに就きかけている頃、ナンバー9が言った。


「なにかが……来るぞ……」


 《気配感知》に反応があった。

 何者かが近づいてくる。


 誰だ。

 誰が来る?


 救いか?

 階級闘争に負けた我らに救いが差し伸べられるのか?



 最上層民にして最下層民たる純粋人間族の中にも階級は存在した。



 階級。その名は、自意識。



 俺たちは硝子の檻を壊し、脱走した身だ。


 なぜ檻を破壊したのか。なぜ最上層民の暮らしに適応できなかったのか。



 今でも覚えている。俺ならもっと上手くできると勘違いしたからだ。



 俺ならもっと上手くできる。

 他種族よりも、純粋人間族の方が、もっと上手くできる。

 他の純粋人間族よりも、俺の方が、もっと上手くできる。

 俺の方が。

 俺の方が。

 俺の方が。

 俺の方が!





 


 いま思えば、何がもっと上手くできたのだろう。









 何が? 何を? 誰が何を上手くやるって?



 笑えてくる冗談じゃないか。



 結局、俺たちは何も出来なかった。


 野垂れ死にするしかなかった。


 そんな俺たちを、《白蛇教団》が救ってくれた。

 教団は俺たちに衣と食と住を与えてくれた。

 税金で恵まれた暮らしをしている純粋人間族の檻から脱走した俺たちを、馬鹿な俺たちを、教団は救ってくれた。



 そうだ。

 救ってくれたのだ。



 願わくば、白蛇神よ。



 我らに、救いを。



 一抹の希望にすがり、俺は《鑑定》を発動した。


「鑑定……する」


 成功。


 迫り来る『脅威』の鑑定結果を見て、ナンバー10は心の中で舌打ちした。


「《リスタルサーク》かッ……!」


 僅かな希望は、絶望に変じた。


 リスタルサークが持つスキルは、《晶化斬》だ。このスキルの抵抗に失敗した場合、体が《結晶化》して死に至る。


 ただでさえ厄介な結晶迷宮のど真ん中で、リスタルサークに襲われる?

 魔力が切れている状態で?

 体力が失われた状態で?


 どこまで計算が狂えば気が済む?


 否。



 純粋人間族として生まれた者に計算など必要だったのか?



 所詮は――使い捨ての駒か。



 どこまでもどこまでも、俺たちは、ただの駒で、ただのゴミで、ただのクズで……。



 リスタルサークが同士の体を貫いていく。

 同士の体が結晶と化し、砕け散っていく。



 悪魔め。

 この世界に巣食う、悪魔め。


 悪魔が切っ先を俺に向ける。


 次は俺の番か。




 切っ先が俺の心臓を貫いた。




 意識が――遠のく。


 ああ、終わりか。






 そうじゃない。


 《恐怖》が俺たちの魂を離してはくれない。


 魂が磨り減るまで、奴らを追い続けろと命じている。

 命令を実行せよ。


 《影》が《光》に成り代わるのだ。




 ――同士の言葉が蘇る。



『《恐怖》に魂を捧げれば、死した後も、その者は生きた骸となりて敵を追うと言う。

 例え肉削がれ、骨が砕け散ろうとも、亡霊となりて……』



 そうだ。


 俺たちは、亡霊レイスになるのだ。



 死。

 死。

 死。



 皆、死ぬ。



 皆、死ね。



 死ね。

 死ね。

 死ね。

 死ね!



 生ある者、皆、死に滅びよ。

 生ある者、皆、我らと同化せよ。

 死の祝福を受けよ。

 死と同化せよ。




 死よ。

 生に死を与えよ。




 世界よ、死に染まれ。

 

 



 ピコン。

 ピコン。

 ピコン。

 ピコン。

 ピコン。



『全ての装備品が解除されました』

『全ての所持品の紐付けが解除されました』

『全てのスキルを失いました』

『全てのレベルを失いました』

『全ての称号を失いました』

『全ての職業を失いました』

『装備品が落下します』

『所持品が落下します』

『世界に呪いをかけます……』


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