3話:棺桶は戦えるのか?
棺桶は戦えるのか?
哲学的命題だ。多分。
まあ、普通は無理なんですけどねーーーー!
そう。普通は無理。だけどここは異世界! きっと何かあるはずだ!
転生特典チートスキルを見つけて撃退するんだよ! てかそうしないと僕、死ぬんで! マジで!
メニューメニュー。メニューを開いてかくにーん。
おっ、あった。【スキル】の項目だ! 早速開きましょー。
僕の視界にスキルウィンドウが開くよー? さーて、何があるかなー? チートスキルはあるかなー? 出来れば敵全体を一掃できる魔法があるといいなー。わくわく。
……という、手間がかかる行為に耽っている間に、盗賊連中の魔法が発動した。
ですよねー!
あかんわ。スキルを探している間に僕、死ぬわ。
絶体絶命! 僕、子供ちゃんと一緒に死んでしまうわ!
発動する魔法! 迫り来る衝撃波!
さすがにこれ全部受けたら棺桶粉々だわ! だ、誰でもいい! 誰かー、助けてぇぇぇぇぇぇ!
その時でした。突然、黒の疾風が僕の前を走り去ったのは。
黒い疾風は衝撃波を全部薙ぎ払うと、盗賊集団を睨み付けました。
え、ナニコレ。ちょーかっこいい。なにこのヒーローアニメじみた展開! わくわくしちゃうじゃん!
しかも! 僕と子供ちゃんを助けた黒い疾風の正体! それは……
黒いお馬さんです! ええ、立派な立派なお馬さんなのです!
黒いお馬さん、ブルルと鼻息を荒くして、ヒヒーンと鳴きます。
盗賊集団っぽいアサシン集団がビビッて、その内の1人がなんか言った。
「bImrwErA!?」
わかんねー。何言ってんだか全然わかんねー。
とりあえず翻訳! 翻訳させて下さいな! でないと状況わからないんで!
ピコン。
『スキル【自動翻訳】を獲得しました』
●ステータス
本名:佐藤孝一
LV:1
種族:不明
職業:無職
スキル:自動翻訳(NEW!)