22話:この世界の竜人族は普通に毒キノコを食べるらしい
キノコ。
いいのか? 食えるのか、それ?
見た目が赤黒いよ? どう見ても毒キノコだよ?
ナイトメア君、キノコを食っておくれ。ちょこっと、ちょこっとね。
パクッ。
ぐぇぇぇぇぇぇ! まずい! なんか食感がきしょい! ナイトメア君の舌が痺れる!
ピコン。
『状態異常《毒》にかかりました』
!?
毒!? HPゲージ! チェック!
HPゲージがちょっとずつ減っていってる……。
ど、毒だ! 間違いねぇ、こいつは毒キノコだ!
ピコン。
『スキル《毒耐性・弱》を獲得しました。スキル《毒耐性・弱》の効果により、状態異常《毒》の抵抗と解除に成功しました』
ぐぬぬ。
折角HPが全回復したのに、毒のせいでまたHPが減っちゃったよ。
新たに獲得した《毒耐性・弱》のお陰でHPは減らなくなったけど、ちょっとなー。どこからMOBが湧くか分からないと判明した以上、万全の体勢にしておきたいんだよねー。
『ねぇ、どうしてカーン様は悶えてるの?』
『お、お主らはこのキノ……いや、《シマスルム》を毎日食べているのか?』
『うん! 《シマスルム》は焼くと美味しいの! あたしたち竜人族にとっては日常的な食べ物なんだよ!』
『味見したところ、毒があるようなのだが、害は無いのか?』
『?』
エミルちゃんが首を傾げた。え、そこって疑問に思うところなの?
『大丈夫だ。竜人族は皆、《毒耐性》を持っている』
おっと、この声はフェリスさんだ。
テントで処置を済ませたフェリスさんは、最初に会った時と同様のキレイ美人になっていた。
あれだけ出血して鎧も壊れてたのに、綺麗さっぱり治っているとは。この文明、スゴイな。
『純粋人間族なら《シマスルム》の毒にやられはするだろうが、我らは竜人族。この程度で死にはしないさ』
恐るべし、竜人族! 生まれついての《毒耐性》持ちめ!
こうも感覚が違うとやっぱりあれか。竜人族は純粋人間族を「下等な人種めーげへへ」とか思ってそうだな。
それにしても、《シマスルム》、まずい。毒のせいでまずく感じるし、食感がどうもなー。火を通さないとダメか?
一本丸ごと食べてみよう。むしゃー。
……。
うげー! やっぱりダメだ! 火を通さないと食感がダメだ!
ピコン。
『スキル《毒耐性・弱》がスキル《毒耐性》になりました』
お、おお。スキル進化したぞ! 一本丸ごと食べたお陰か!?
僕をじっと見るエミルちゃんは、フェリスに言った。
『フェリスー。カーン様はなんで悶えてるの?』
『わからん……。何か崇高な考えがあり、ああして悶えているのだろう』
いやいやいや、崇高じゃないから! 毒食らって悶えてたの!
くっ。しかし毒キノコの見分け方は分かったぞ。
ズバリ! 毒々しい見た目のキノコは、毒を持っている!
ピコン。
『スキル《素材発見LV1》が《素材発見LV2》になりました』
うん。
こんなところで何やってんだろ、僕。
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黒々とした空を見上げ、青い髪の少女が呟く。
「やれやれ。《慈悲》を乞う者がこうも増えるとはな」
この世界の空に星は無い。かろうじて月のみが世界を照らしているだけだ。
今宵もまた、天に昇る魂が月を輝かせる。
月明かりを浴びる青髪の少女は、ちらりと北の山に視線を向けた。
「――結晶迷宮の生態系波長に乱れが生じたか。
さて、我の寝床を荒らしたのはどこのどいつだ?」
少女が両拳を握り締めると、青色の闘気が膨れ上がった。
闘気を翼に変え、少女は結晶大山脈へと飛ぶ。
少女の名はミゼルローン。
この世界の青を司る者にして、《慈悲》を司る神帝。
●ステータス
名前:カーン・オケ
本名:佐藤孝一
LV:2
種族:不明
職業:無職
称号:人殺し、忍耐の精神、守護の精神
スキル:存在同化、自動翻訳、情報把握・強、地属性耐性、疾走撃、味見、素材発見LV2(NEW!)、素材採取LV1、毒耐性(NEW!)、ナイトメアの色々なスキル、傲慢LV1、同化存在解放、蚊の飛翔、吸血、細菌注入
存在ストック:ナイトメア、ローグドモスキー
存在ストック上限:2/3
パーティ:フェリスのパーティに所属




