9話:スキルを奪取される魔王
『警告。角度+70、1時の方角より攻撃反応』
【精神会話】を通じて、フラスフィンさんが忠告を発する。
角度+70、1時の方角ってことは、右上頭上から攻撃が来るってことだ。
良し、避けるぞ。僕は左側にジャンプしようとした――が、空飛ぶ要塞が重い!
ヒィヒィ言いながらブースターを点火し、左方向に強引に移動する。直後、緑色の衝撃波が僕が元いた場所を襲った。
「今のを避けるとはやるじゃねぇか。完全に気配を消していたんだがな」
赤き空の中心より飛来するは、髑髏の模様を備えた4枚の羽。
頭部に宿るは深紅の巨眼。胴体に生えるは8本の脚。
杖持つ蠅の魔王。
そいつの名は、ベルゼブブ。
うーん、あれだな。
神や悪魔がポンポン出てくるようになっちゃったよ。やっぱりスーパー多神大戦じゃないか。
『解析完了。ベルゼブブが内包するワールドの名称は【歪曲の天地】です。
――気を付けて下さい。貴方がいるそこは地面ではありません。そのワールド内では、天地が逆転しています』
なっ、天地逆転ですとな!?
すると、この湖の底は空で、赤い空が大地で……つまり、この湖に底は無い?
あ、あぶねーーー!! 底なし沼だったのかよ!!
ずぶずぶと沈んでいく肉体をブースター点火で強引に引き上げた直後、ベルゼブブが杖を掲げた。
「【サンダーストーム】!」
サンダーストーム。天から雷と豪雨を降らす精霊魔法だ。
頭上から攻撃が来ると分かっているなら話は早い。僕は頭上に向けてヘルヘイム外殻を向け、防御体勢に移行したが――
『警告。【サンダーストーム】の発生源が逆です』
あ……そうか!
足元の湖から天に向かって発射された豪雨と雷が僕に直撃した。ビリビリビリー! いたーい! しびれるー!
――ああ、しまった。【歪曲の天地】の作用でスキルの発生源が逆転しているんだ。
HPゲージが2割減少。ダメージ量はそれほど多くはないが、妙な感覚に襲われた。まるで、魂から何かを抜き取られたような、そんな感覚が。
視界に表示された次の文章に、僕は驚愕した。
『危険。【暴食LV10】の効果により、幾つかのスキルを奪取されました』
ホワッツ? 嘘でしょ?
●ステータス
名前:カーン・オケ
LV:system error(測定不能)
性別:男子
年齢:3才
種族:AaE限使
職業:魔王
HP:system error(975)
MP:system error(798)
SP:system error(931)
STR:system error(895)
VIT:system error(821)
DEX:system error(610)
INT:system error(311)
AGI:system error(829)
LUK:system error(159)
称号:古代兵器級、鉄壁の魔王、冥王
装備:星剣【蛇遣い座】、ヘルヘイム外殻、空飛ぶ要塞
所持品:雷電器官、元素硬化爆弾、機械細胞×90、電子信号爆弾、ボーンスピア・オブ・グラムグレイズなど
特徴:AaE限使の能力はAaE限使自身の想像力に依存する
スキル:system error(存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、全属性耐性・強、味見、傲慢LV2、同化存在解放、リフレッシュヒール、サンダーシールド、サンダーストーム、剣化、竜の飛翔、受け流しLV10、二刀流、闘気制御、自己電気制御、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、思考超加速、無限加速宇宙、過去集約、主人公交代、幼き日の光、多重並列発動、超成長、ノヴァ、フレア、AaE開花進化)
人工冥界:リスタルサーク×93、リスタルサーク・レッド×20、リスタルサーク・ブラック×10、リスタルサーク・イエロー×30、リスタルサーク・ピンク×5、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース、貪欲の黒剣、フェンリル
人工冥界居住可能人数:165/一世界
世界所持数:2(人工冥界ニヴルヘイム、量子世界ヘルヘイム)
搭載機能:技能情報・閲覧/読込、技能・疑似発動
パーティ:【安らかなる旅路】に所属
パーティメンバー:フェリス、エミル、フラスフィン
損傷状態:騎士ルート喪失、アイドルルート喪失、ニヴルヘイム損壊、暴食LV10のスキル奪取効果により幾つかのスキルを喪失
誓約:仕事を終えるまで光堕ちしない