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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第三章:魔王の日常
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8話:スーパー多神大戦的な何かに巻き込まれる魔王


 王城頂上に設置したカタパルトは電磁式だ。電磁投射砲レールキャノンの親戚と言ってもいい。ちなみに弾は自分だ。ここは笑う場面なので笑って欲しい。


 さて、肝心要の空飛ぶ(フライング)要塞(フォートレス)のスペックですが、こんな感じです。


 全長1225メートル。基本重量75万トン。最大収容人数約10000人。


 外観形状は四角形。空気抵抗なんてものを一切考えていない、パイロットを殺すとしか思えない四角形そのものです。


 前部ブロックは単なる鉄の固まり。パイロットは要塞の中心部で神経接続を行い、各部位をコントロールする。側面には使い捨ての燃料タンクを4基搭載。


 後部ブロックには左右併せて4つのブースターを搭載。当然ながらバランスが酷く悪くなるため、安定性を得るため、後部に可動式のロングスタビライザーを1本搭載。


 取り回しは非常に――というか、極悪級に悪い。出来ればさっさと改修したいところだが、時間がそれを許してくれないのが悲しいところだ。


 次にこれを改修する機会があれば、絶対に負担がかからない仕様にしてくれる。


 内部には発電施設を始めとして、休憩室、自動掃除機、食堂、温泉、3時のおやつ、食料庫、調理器具などを搭載。


 休憩室にはソファとかベッドが置いてある贅沢っぷりだ。寝転がっておやつとか食べられますぜゲヘヘ。これぞ堕落の極み。


 とまあ、これが空飛ぶ(フライング)要塞(フォートレス)の概要なわけです。空飛ぶショッピングモールと言った方がいいのかもしれない。これを戦場に届けるのが僕の今回の役目だ。


 闇竜神に変神している状態であっても、75万トンの物体を常に装着しているのはきつい。移動速度の大幅な低下も免れない。


 そんなわけで、少しでも速度を稼ぐために、カタパルトで僕ごと射出する必要があった。




 それにしても、なぜこんな代物を用意するのか? 答えは以下の通りになる。




 僕は数年前からエルフと戦っているわけで、エルフの戦術は理解している。


 エルフは魔法の矢を使う。トラップも使う。恐竜も使う。そこに加えて森ですよ? この組み合わせはまさしくゲリラの戦い方だ。


 ゲリラとまともに戦っても損をするのはこっちだ。だったらゲリラが行動不可能なまでに環境を破壊するしかない。


 つまり、爆撃だ。そして、爆撃に使う爆弾は僕なわけです。


 爆弾投下後は自陣に有利な環境を築く。空飛ぶショッピングモールで兵士を慰労し、超長期間の戦闘に耐え得る環境を即時作成するという寸法です。



 自身の脚部底面をカタパルトに固定ロックし、発射準備を整える。


 カタパルト、通電完了。電気が周囲の元素と干渉してバリバリ唸っています。


 ヘイ、フラスフィンさん! こっちは準備OKだよ! カウントダウンよろしく!


『5、4、3――発射』


「2と1が抜けているぅぅぅ!!」


 しかも5、4、3の部分は早口言葉だった! フラスフィンさんは変なところでお茶目だ!


 ――ズバァァァッ!


 うひぃ!! 南部国境めがけて発射された僕に風の元素が壁の如く襲い掛かる!


 殺人的空気抵抗だ! 誰だよ、こんな狂気の代物を考案した奴は!


 僕です。すいませんでした。


『時間がありません。移動中に説明します』


 アッ、ハイ。

 こっちはろくに身動きも取れない状態なので頼みます。


『現在、南部国境付近にて魔軍とオールス国軍が交戦中。

 現地にて【ワールド】の展開を確認。データベース照合。

 照合完了。現地にて発生した【ワールド】の波長から推測するに、封印指定精霊【ベルゼブブ】が受肉した模様。

 ベルゼブブが展開した【ワールド】に多数の国民が囚われています。至急、救出して下さい』


 ベルゼブブぅ!? 


 それってあれじゃん! 地球のRPG『真・多神転生』で強力な蠅の魔王として出てきた悪魔じゃん!!


 というか待って? 【ワールド】が展開されましたとかさらっと言ってるけど、マジなの? マジで僕と同じ【ワールド】持ちなの?


肯定イエス()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



 ………………。



 僕、絶句。

 これこそ際限の無いパワーインフレってやつですね。ああ、おそろしや。


 現実逃避しても仕方がない。

 ヘイ、フラスフィンさん、どうしたらいいの? 僕が持っている2つのワールド――【ニヴルヘイム】と【ヘルヘイム】でベルゼブブのワールドに対抗できるの?



『封印指定精霊が内包するワールドには、【古代の叡智】や【古代の神性】、【古代の魔性】と言った権能が付与されています。

 新しい神性は古の神性には敵いません。

 これは仕様上の問題ですので、解決不可能な事象と捉えても問題ありません』



 うん? う、うん。



 ぽくぽくぽくぽく、ちーん。



 なるほど! 僕たちは新しい神々だから、古い神々や悪魔には敵わないってことだね!! すごーい、わかんなーい!!



 冗談はさておき、もうこれはあれだね。古き神々と新しき神々の争いだ。スーパー多神大戦的な何かってやつだ。



『【ワールド】に進入するには【ワールド】を用いるしかありません。

 【ニヴルヘイム】をフル出力で展開し、ベルゼブブの【ワールド】境界面を打ち破って下さい。

 そこから先は、肉弾戦です』



 なッ、ニヴルヘイムをフル出力で展開するだって!?



 そんな……こんなのあんまりだ! あまりにも残酷すぎる!



 だって、だって!



 ――お腹が空いちゃうじゃないかッ!



『もう一度作戦を説明します。

 【ニヴルヘイム】をフル出力で展開してベルゼブブの【ワールド】に進入した後、3時のおやつを使って速やかにカロリーを補給し、ベルゼブブ本体を打倒して下さい。

 そうでなければ、貴方の体が保ちません」


 うう、了解しました。

 やりますよ。やらないとフラスフィンさんとキャッキャウフフできないからね!!



 さあ、お空をヤッホーしている内に、黒い波に侵食された円状の空間が見えてきました。


 あーあ、森林地帯が真っ黒に塗り潰されてるよ。直径100キロメートルぐらいは侵食されてるようです。うむぅ、これがベルゼブブの【ワールド】かぁ。外側からじゃ内部がどうなってるのかさっぱり分からないね。


 仕方ない。ワールド内部に進入するために【ニヴルヘイム】を展開しますか。


 空飛ぶ(フライング)要塞(フォートレス)、ブースター点火。ぐぐっと加速。一気に燃料が消費されていく。


 使い終えた燃料タンクをパージ。よし。これで少し軽くなった。燃料タンクは嫌がらせとして地上のエルフ兵たちの頭上に落としてあげました。一石二鳥だね!


 マッハ3の速度でソニックブームを撒き散らしながら、僕は漆黒の空間に突き刺さった。


 【ワールド】境界面に接触した前部ブロックが瞬時に蒸発していく。


 それでいい。元よりこの前部ブロックは、着地時の衝撃吸収材として用意したものだ。


 蒸発していく鉄の塊を見据えながら、僕は左腕を前に伸ばした。


「――国民に昼寝とおやつの時間を提供するため、これより戦闘行動を行う!

 【ニヴルヘイム】、展開!!」


 左腕に装着したヘルヘイム外殻を起点としてニヴルヘイムが現出する。


 増殖氷剣が現実世界を侵食し、黒い波とぶつかり合う。


 ……ぐっっ! なんて反動だ! ワールドを展開したにも関わらず、押し負けているようにすら感じる。


 これが古き神性と新しき神性の違いなのか――!?


『危険。アリシアとの戦闘により、ニヴルヘイムが破損している状態です。

 【ニヴルヘイム】の機能低下を確認。

 別の手段で【ワールド】を突破して下さい』


「別の手段!?」


『フェンリルクローです』



 !



 その手があったか!



 フェンリル、力を借りるよ!



「――うおりゃあああああああああ!!」



 ヘルヘイム外殻から3本の氷爪を射出し、ワールド境界面を引き裂く。


 不足する神性をフェンリルの神性で補い、僕は境界面を突破してベルゼブブのワールドに進入した。


「3時のおやつ!!」


 バナナを練りこんだレーションを急いで食べてカロリーを速やかに補給し、黒水満ちる湖に着地する。



 ――ドバッシャアアアアアン!!



 盛大に湖に突っ込みました。



 ふう。敵と戦う前に危うく餓死するところだった。



 さてさて、状況はどんな感じかな?



 周囲一帯はなぜか湖になっていました。コールタールのようなどす黒い水が地面に湛え、空は不気味に赤く染まっているではありませんか。



 これがベルゼブブの【ワールド】かー。こわいよう。



 空飛ぶ(フライング)要塞(フォートレス)を背負ったまま、ばしゃばしゃと水をかき分けながら進んでいくと、あちこちに魔軍のオーク兵が昏倒して浮かんでいるのが見えました。



 うわぁ。何があったんだ。



 湖をすいすい泳ぐ僕の傍らで、ふと、声が聞こえた。



「カーン……様……」


 うおっ!? 何者か!?


 よく見たらドライアドっぽい人でした。



 ぽくぽく、ちーん。



 ああ、なるほど。この子はオークからドライアドっぽい方向に進化した子か。【進化の風】は誰にでも吹くから、オーク兵が進化しても不思議ではない。



 目が死んでるドライアドっぽい子に、僕は闇竜神として、逞しい上腕二頭筋を見せた。



 安心して下さい。僕が来たからにはもう大丈夫です。



 しかしインパクトが弱い気がしたので、お約束の言葉を添えておいた。



「――待たせたな。ここから先は、パスタの時間だ!」





●ステータス


 名前:カーン・オケ

 LV:system error(測定不能)

 性別:男子

 年齢:3才

 種族:AaE限使

 職業:魔王

 HP:system error(975)

 MP:system error(798)

 SP:system error(931)

 STR:system error(895)

 VIT:system error(821)

 DEX:system error(610)

 INT:system error(311)

 AGI:system error(829)

 LUK:system error(159)

 称号:古代兵器級、鉄壁の魔王、冥王

 装備:星剣【蛇遣い座】、ヘルヘイム外殻、空飛ぶ要塞(NEW!)

 所持品:雷電器官、元素硬化爆弾、機械細胞×90、電子信号爆弾、ボーンスピア・オブ・グラムグレイズなど

 特徴:AaE限使の能力はAaE限使自身の想像力に依存する

 スキル:system error(存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、全属性耐性・強、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、竜の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、思考超加速、無限加速宇宙、過去集約、主人公交代、幼き日の光、覇王闘気、覇王竜斬波、多重並列発動、超成長、ノヴァ、フレア、AaE開花進化など)

 人工冥界:リスタルサーク×93、リスタルサーク・レッド×20、リスタルサーク・ブラック×10、リスタルサーク・イエロー×30、リスタルサーク・ピンク×5、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース、貪欲の黒剣、フェンリル

 人工冥界居住可能人数:165/一世界

 世界所持数:2(人工冥界ニヴルヘイム、量子世界ヘルヘイム)

 搭載機能:技能情報・閲覧/読込、技能・疑似発動

 パーティ:【安らかなる旅路】に所属

 パーティメンバー:フェリス、エミル、フラスフィン

 損傷状態:騎士ルート喪失、アイドルルート喪失、ニヴルヘイム損壊

 誓約:仕事を終えるまで光堕ちしない

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