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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第三章:魔王の日常
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7.5話:花嫁を撃ち殺した思い出

カーン視点(一人称)のお話です。



 1日3食&昼寝&おやつ付きの職場環境を守るために空飛ぶ(フライング)要塞(フォートレス)を作っていた僕は、疲労のあまり、いつしか眠りに就いていた。


 微睡みの中で、地球での出来事が脳裏に蘇った。




 結婚。

 結婚式場。

 誓いの接吻。

 変異する花嫁。

 同僚や上司は全員死亡。

 仕組まれた破滅。

 血染めの結婚式。

 結婚の破棄。

 僕は花嫁を撃ち殺した。




 ――ああ、そうだったな。


 地球で結婚式を挙げる予定だった嫁さんが僕を裏切った原因は、僕の父親にあった。


 テラ・コンダクトの特異点保管庫から流出した楽園の種子(エデン・シード)は、地球全土に拡散し、その内の一粒が嫁さんの一家に寄生した。


 楽園の種子(エデン・シード)に寄生された『彼女』の一家の人生は滅茶苦茶になった。常人とはかけ離れた存在となったがために、彼女の両親は殺害された。彼女自身は同級生から陰湿ないじめを受け、マスコミから差別的な扱いを受け、更には、社会から異物として排除された。



 人権?

 人ではないのだから、人権など無かった。



 楽園の種子(エデン・シード)に寄生された人間というのは、大概がそういう扱いだった。

 彼女は、『なぜ自分がこんな目に遭ったのか』を探る内に、楽園の種子(エデン・シード)を管理している元凶――即ち、テラ・コンダクトの存在に気付き、接触を試みた。



 勿論、復讐のための接触だ。



 だけど、テラ・コンダクトは強大すぎた。

 楽園の種子(エデン・シード)の力によって超人じみた存在に変異した彼女でも、テラ・コンダクトには敵わなかった。



 テラ・コンダクトは特異点保管庫を持っていた。

 人類の歴史を数百年分は強制進歩させると謳われる物体型事象改変時空構造体――通称、【特異点】。

 特異点を無数に擁するテラ・コンダクトはあまりにも強すぎて、彼女は、末端構成員にすら勝てなかった。



 彼女の心に燻る復讐は静かに燃え盛った。

 全ては、テラ・コンダクトを崩壊させるために。



 彼女は戸籍を偽造した。事情を隠して僕に近づき、清い交際を経て、結婚し……僕を通じてテラ・コンダクトの中枢に侵入し、内部から組織を破壊するつもりだった。



 だけど、僕は気づいてしまった。


 結婚式のあの日。


 誓いの口づけを交わした瞬間に。



 僕の体内に移植された楽園の種子(エデン・シード)が、『彼女』もまた、楽園の種子(エデン・シード)の保持者だと気づかせた。



 彼女もまた、僕の素性に気付いた。



 何ということもない。僕も彼女も、楽園の種子(エデン・シード)の保持者で、()()()()()()だったんだ。



 彼女は狂乱した。

 折角、テラ・コンダクトの子に近づけたと言うのに。

 これから復讐が始まると言うのに。

 その復讐の相手ですらも、テラ・コンダクトの実験台に過ぎない。



 いわば、()()()だったのだ。



 彼女は、式に集まった僕の同僚と先輩と後輩と上司を皆殺しにした。

 テラ・コンダクト傘下の会社に対するささやかな、しかし、明確な復讐だった。




 だけど、そこまでしても僕は無傷だった。僕には僕の【特異点】があったからだ。




 そして、捨て駒には捨て駒の役割がある。




 僕は彼女を殺さなければならなくなった。



 そうだな。あの時は、会社から支給された可変式翼鳥型パワードスーツを使っていたっけ。独立して行動し、飛行し、変形し、ネットワークにいつでもアクセスでき、ハッキングと爆撃機能を搭載した、僕をいつでも守ってくれる鋼の鎧。アメリカの漫画に出てきそうな鋼の鎧(パワードスーツ)に僕は守られていた。



 だけど、鋼の鎧が心までをも守れるとは限らない。



 幾ら強くても、幾らチートじみていても、それは会社の所有物に過ぎない。



 僕が持つものは限りなく薄っぺらで、空虚で、空っぽで――

 復讐と怨念に満ち満ちた花嫁を撃ち殺したあの日、僕には何も無いのだと思い知らされた。



 薄々感づいてはいたんだ。

 僕には何も無いのだと。







「――ごめん。何分眠ってた?」


『5分です』


 フラスフィンさんが【精神会話】で僕に伝える。



 5分か。まあ、眠れた方かな。



 目を覚ました僕は、3時のおやつと食材と調理器具などを備えた空飛ぶ(フライング)要塞(フォートレス)を装着し、王城頂上のカタパルトに乗った。




●ステータス


 名前:カーン・オケ

 LV:system error(測定不能)

 性別:男子

 年齢:3才

 種族:AaE限使

 職業:魔王

 HP:system error(975)

 MP:system error(798)

 SP:system error(931)

 STR:system error(895)

 VIT:system error(821)

 DEX:system error(610)

 INT:system error(311)

 AGI:system error(829)

 LUK:system error(159)

 称号:古代兵器級、鉄壁の魔王、冥王

 装備:星剣【蛇遣い座】、ヘルヘイム外殻、空飛ぶ要塞(NEW!)

 所持品:雷電器官、元素硬化爆弾、機械細胞×90、電子信号爆弾、ボーンスピア・オブ・グラムグレイズなど

 特徴:AaE限使の能力はAaE限使自身の想像力に依存する

 スキル:system error(存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、全属性耐性・強、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、竜の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、思考超加速、無限加速宇宙、過去集約、主人公交代、幼き日の光、覇王闘気、覇王竜斬波、多重並列発動、超成長、ノヴァ、フレア、AaE開花進化など)

 人工冥界:リスタルサーク×93、リスタルサーク・レッド×20、リスタルサーク・ブラック×10、リスタルサーク・イエロー×30、リスタルサーク・ピンク×5、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース、貪欲の黒剣、フェンリル

 人工冥界居住可能人数:165/一世界

 世界所持数:2(人工冥界ニヴルヘイム、量子世界ヘルヘイム)

 搭載機能:技能情報・閲覧/読込、技能・疑似発動

 パーティ:【安らかなる旅路】に所属

 パーティメンバー:フェリス、エミル、フラスフィン

 損傷状態:騎士ルート喪失、アイドルルート喪失、ニヴルヘイム損壊

 誓約:仕事を終えるまで光堕ちしない

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