表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第三章:魔王の日常
188/240

7話:戦争の掟を作る魔王


 ところ変わり、ここは王城内に設けられた王族関係者専用会議室。

 僕とフラスフィンさんとシロガネ大臣が木造椅子に座り、会議をしています。



 いやぁ、この会議室を作るのも苦労しました。聞くところによると、今まで首都ゴルバンでは謁見の間で会議していたらしいんですよ? 思わずクラッと来ましたよ。



 しかし今では王城内にも会議室があるのです! 会議室があるっていいことだよねー。



 会議室の材料は防音効果が付与エンチャントされた煉瓦です。赤を基調として金の刺繍が施された絨毯も敷かれています。ドワーフの職人さんたちが丹精込めて作ってくれたので、とてもイイ感じです。



 それはさておき、本題に移りましょう。



 本題。それは、『戦争に必要なもの』です。



 戦争を行うにも必要なものがあります。

 僕はそれを、掟という形で表現することにしました。

 戦争の掟はこんな感じです。



●原則として、殺人と略奪と強姦を禁じる。


●スキル【異次元収納】、もしくはそれに類するスキルを使える魔法使いを必ず動員せよ。倒した敵は異次元に収納して捕虜とせよ。


●敵の死体に触ることなかれ。



 これらの掟を破った者には、禁固10年もしくは財産の没収を行う。

 ただし、以下の条件に該当する場合は例外とし、殺人を許可する。



●同一人物から自身の体の三分の一を損壊させられた場合は、敵勢力に属する人物を1人殺しても良い。


●同一人物から自身のフレンドを3人殺された場合は、敵勢力に属する人物を1人殺しても良い。


●敵勢力が資源の奪取ではなく、殺戮や虐殺を目的として行動していると判明した場合、王が直々に敵勢力の殲滅命令を下す。その場合、速やかに敵勢力を殲滅せよ。



 例外条件を作るに当たって、僕は過去の出来事を参考にしました。

 僕がこの世界に転生した時、僕は盗賊やらナイトメアの攻撃を食らって瀕死寸前の状態になり、盗賊集団を殺害しました。正当防衛ってヤツですね。



 僕の提案に対して、シロガネ大臣は確認を取ってくれました。うんうん、ほうれんそうは大事だよね。



「確認となりますが、殺人と略奪と強姦の禁止はどのような理由に基づいておりますかな?」


「殺人を大々的に許可すれば国が荒れる。略奪と強姦もまた同様。いずれも国を荒れ果てさせる要因となる」


「フーム、なるほど。

 しかし、一方で例外を設けているようですな。これは復讐を正当化させるためですかな?」


「以前に大臣も言った通り、復讐も重要だ。復讐を完遂しなければ救われない魂もある。

 だが、規律無き復讐は許可できない。故に、我輩は規律ある復讐を求める」


「仮に兵士が悪辣であった場合、この掟を逆に利用されるというお考えはありますかな?

 例えば――わざと自分の肉体を敵に切らせれば、敵を1人殺せるという考えに至る者もいるのではないですか?」


 大臣の懸念ももっともだ。


 生き物が皆、善人であるとは限らない。僕が掲げた提案は、国民が善人であることを前提としたものではあるが、中には根っからの悪人もいるかもしれない。


 ルールを作っても、ルールを悪用されることはある。


 なので、僕の意見としては以下の通りとなる。


「そうだよ? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()というのがこの掟の主旨だ。

 そういう人物の行動が目に余るようだったら、敵勢力として計上すればいい」


 そうすれば、悪人を合法的に利用した上で、合法的に始末できる。実に効率的だ。

 僕の意見に大臣は納得してくれたようだった。


「でしたら問題はないですな。

 次の項目に移りましょう。このフレンドの3人というのはどういう基準で?」

「僕から見た家族の数だよ」


 エミルちゃん、フェリスさん、フラスフィンさん。僕を助けてくれている人たち――つまり僕の家族に加わった人物の数だ。


 3という数にそれ以上の意味は無い。もし家族を3人殺されたら、殺しの首謀者を1人殺しても良い。その程度の意味合いでしかない。


 大臣は少しばかり難しい表情になった。


「……フーム。なるほど、なるほど。

 このシロガネ、カーン様の意図を承知しました」


 おっ、僕の意図は大臣にちゃんと伝わったようだぞ。


 フラスフィンさんはと言うと――優雅に紅茶を口にしている。特に異議は無いようだ。


 まあ、フラスフィンさんが動き出すと文字通りの意味で全てが終わってしまうので、それはそれで困るわけですが。


 考え事をする僕に、シロガネ大臣が告げた。


「カーン様の掟が成立されますと、今後起きる戦争は例を見ないほどに規律ある戦争となりますな」


 うん? 例を見ないほどに?


 ほほう。面白い言葉を聞いたぞ。


「王として興味がある。今まではどんな戦争をしていたのだ」


 シロガネ大臣は一拍置いて、複雑な面持ちで語り始めた。


「……その時の王の気分次第ですな。

 ある時には、気に入らない国に戦争を仕掛けて回る暴君がいました。

 ある時には、意味もなく戦争を仕掛ける愚王もおりました。

 カーン様とフラスフィン様は――」


「まさか、賢王とでも?」

「いえ。冥王ですな」


 冥王と来ましたか。

 冥王と言うと、ギリシャ神話に出てくるハデスが思い浮かぶわけですが……マジなの? マジで冥王なの? 自称冥王じゃなくて他称冥王ってことになっちゃうの?


「今のカーン様は明確な規律を以てこの世の生と死を管理してらっしゃる。

 人工冥界の存在や、【蘇生リバイブ】を使って国民の生き死にを制御している件もありますからな」


 そう言うと、シロガネ大臣は華桜国特産の緑茶をずいーっと飲み干しました。


「この世の生き死にから一歩引いた姿勢で国を動かす王というのは、王としては異質な在り方です。我が道を行く覇王でもなければ、戦乱の種を蒔く戦王でもない。

 よって、冥界の王、冥王と呼ぶにふさわしいかと」


「我輩が冥王か。良かろう。実にいい呼び名だ」


 これで僕も自称冥王から他称冥王になったわけだ。


 フラスフィンさんが一言だけ、忠告を発した。


「それを言うなら『私たち』でしょう?」

「仰る通り」


 この体はフラスフィンさんの転生体で出来ている。


 呼び名を家族で共有するのも悪くはない。僕はそう思った。


●ステータス


 名前:カーン・オケ

 LV:system error(測定不能)

 性別:男子

 年齢:3才

 種族:AaE限使

 職業:魔王

 HP:system error(975)

 MP:system error(798)

 SP:system error(931)

 STR:system error(895)

 VIT:system error(821)

 DEX:system error(610)

 INT:system error(311)

 AGI:system error(829)

 LUK:system error(159)

 称号:古代兵器級、鉄壁の魔王、冥王(NEW!)

 装備:星剣【蛇遣い座】、ヘルヘイム外殻

 所持品:雷電器官、元素硬化爆弾、機械細胞×90、電子信号爆弾、ボーンスピア・オブ・グラムグレイズなど

 特徴:AaE限使の能力はAaE限使自身の想像力に依存する

 スキル:system error(存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、全属性耐性・強、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、竜の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、思考超加速、無限加速宇宙、過去集約、主人公交代、幼き日の光、覇王闘気、覇王竜斬波、多重並列発動、超成長、ノヴァ、フレア、AaE開花進化など)

 人工冥界:リスタルサーク×93、リスタルサーク・レッド×20、リスタルサーク・ブラック×10、リスタルサーク・イエロー×30、リスタルサーク・ピンク×5、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース、貪欲の黒剣、フェンリル

 人工冥界居住可能人数:165/一世界

 世界所持数:2(人工冥界ニヴルヘイム、量子世界ヘルヘイム)

 搭載機能:技能情報・閲覧/読込、技能・疑似発動

 パーティ:【安らかなる旅路】に所属

 パーティメンバー:フェリス、エミル、フラスフィン

 損傷状態:騎士ルート喪失、アイドルルート喪失、ニヴルヘイム損壊

 誓約:仕事を終えるまで光堕ちしない



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ