18話:スキルは二重発動できません
《疾走撃》は、一度使うと、SPゲージが四分の一減る。パーセント表示換算で約25%だ。
《疾走撃》のクールタイムは、60秒だ。
盗賊集団に《疾走撃》を使ったので、SPゲージは75%ぐらいだったかな。
蚊に《疾走撃》を1回使ったから、SPゲージは50%ぐらい。
クールタイムを挟んで《疾走撃》を発動したから、SPゲージが25%ぐらいに減る。計算上はそうだ。
でも、ちょっと待って。
あれれ、おかしいなー。SPゲージがもう赤色(10%以下)だよ。計算上は半分残るはずなのになー。
――ハッ! あれか! 《疾走撃》にパワーを込めると瞬発力や持続時間が増す代わりに、SPもガンガン減っていくって仕組みか!?
有り得るー。てかその線しか有り得ないし。
モリモリ減っていくSPゲージ! やるなら今しかない! SPゲージが尽きてしまう!
本当だったら蚊と同化したくはなかったんだけどなー。
だが、今は例外だ。フェリスさんが巨大蚊にやられそうになっている。
残る手段はただ一つ。一撃で敵を即死せしめるスキル――《存在同化》だ。
よし! 上手い具合に巨大蚊に肉薄できそうだ! 蚊の野郎はフェリスさんに針を突き刺そうとするのに必死で、僕の存在に気づいていない!
《存在同化》だぁぁぁぁぁぁ!
ピーーーーー。
『スキルは二重発動できません』
おい。嘘だろ。
あっ、待って! 待ってシステムメッセージさん! 《疾走撃》キャンセル! キャンセルしたい!
『《疾走撃》をキャンセルします』
ほー、良かった。
じゃ、改めて。
『――《存在・同化》ぁぁぁぁぁ!』
慣性に任せるまま《ローグドモスキー》に体当たりを食らわした僕は、忌まわしき強敵である蚊と同化したのだった。
●ステータス
名前:カーン・オケ
本名:佐藤孝一
LV:2
種族:不明
職業:無職
称号:人殺し、忍耐の精神、守護の精神
スキル:存在同化、自動翻訳、情報把握・強、地属性耐性、疾走撃、味見、ナイトメアの色々なスキル、傲慢LV1、同化存在解放、ローグドモスキーのスキル(NEW!)
存在ストック:ナイトメア、ローグドモスキー(NEW!)
存在ストック上限:2/3
パーティ:フェリスのパーティに所属