表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第三章:魔王の日常
179/240

2話:スケルトンにボコられる魔王


 真っ昼間の広場でミゼルローン様が宣言する。


「ルールはハラペコ式! 決闘開始!!」


 ここ数年で、僕はウラグルーンの決闘が便利だと気づいた。


 特にハラペコ式は便利オブ便利だった。周りに無用な被害を出さずに済み、相手を物理的に傷つけることがない。ダメージは全て空腹度に変換されるのだから、これほど便利なルールはない。


「悪いね。全力でいかせて貰うよ。

 ――力を授けたまえ、【フェニックス】!」


 ミゼルローン様が決闘のゴングを鳴らした瞬間、ロミオンが赤い闘気を噴出させた。


 なんだ? 闘気が鳥のような形に変化していく。まるでこれは……そう、地球のRPG『ラストファンタジー』に出てくるフェニックスみたいじゃないか!


「――魔剣【火にくべる永遠(クレマツィオーネ)】!!」


 ロミオンが深紅の閃光と化し、僕の体を貫く。


 これは……元素化か!


 イリシャとの決闘の時に僕が無意識の内に放った一撃を、ロミオンは初手で放ってきたのだ。



 元素化。それは、自身の存在を元素レベルにまで希釈させる現象だ。

 しかし、これでは読者の皆さんに分かりにくい。地球の言葉で例えるなら、自分の肉体を原子レベルにまで分解した上で、意識を保って行動すると言えばいいのだろうか。


 ウラグルーンでは、AGI(敏捷性)を極限まで鍛えた生物は分子運動に干渉できる。おおよその目安としてはAGI999以上が分子運動に干渉できるラインだ。


 AGIが999以上のステータス構成ならば、原子や分子が振動するよりも早く行動できる。そのため、分子振動に強制停止をかけて絶対零度の凍結現象を引き起こしたり、自身の魂を元素に介入させたり、壁を通り抜けたりと、おおよそトンデモ系としか思えない芸当が可能となる。


 というわけで、僕は推定AGI999のスケルトンから斬撃を受けて貫通された。


 ぐはっっっ。ハラペコ式ルールに則りダメージが空腹に変換される! 満腹だったのに一気にハラペコになった!


 現在の満腹度は70%ぐらいか。一撃で30%も持っていくとは侮りがたし。


「これで少しはぼくらの実力が伝わったかな?」


 僕の背後でロミオンが告げる。


 ああ、強いな。認めるよ。


 と同時に思う。スケルトンがなぜこんなに強いんだ、と。


 そう思っている内に、フラスフィンさんがロミオンの強さの秘密を【精神会話】で教えてくれた。


『ロミオンは封印指定精霊【フェニックス】と契約しています』

『精霊の力を借りてステータスを底上げしているってことか』


 この世界には精霊魔法というものがある。

 精霊魔法というのは、契約した精霊の力を借りて行使する魔法だ。それと同じ理屈で、精霊と契約すればステータスは上がる。

 さっき見えた火の鳥みたいな闘気は、フェニックスと契約している証みたいなものなのだろう。


 なるほど。精霊との契約でステを底上げして強烈な一撃を見舞うタイプか。純粋なアタッカーってやつだな。


 だったら、精霊には精霊で対抗だ!


「スキル【多重並列発動】、オン!」


 スキル【多重並列発動】は、複数のアクティブスキルを同時に発動できるようになるパッシブスキルだ。

 通常、アクティブスキルは一度に一回しか発動できない。しかし、このスキルをオンにするとあーら不思議、こんなことが出来てしまうのだ。


「【マグマシールド】、【マグマシールド】!

 【サンダーシールド】、【サンダーシールド】!!」


 僕を守るようにして4枚のマジックシールドが張り巡らされる。

 これで防御は万全だ! フハハハハ、【鉄壁の魔王】の仇名は伊達ではないのだ!



 ――ところがどっこい!



「【ディスペルマジック】を唱えますわ」


 ジュリエンの背後に白い人影のようなものが浮かぶ。

 続けて、その足元に白い魔方陣が広がり――


「!?」


 魔力干渉が引き起こされ、僕が発動したマジックシールド4枚がパリンと割れてしまった。それはもう、見事なまでに、全て割れてしまった。


 この現象もまた、フラスフィンさんが解説してくれた。


『ジュリエンは封印指定精霊【フレイヤ】と契約しています』

『フレイヤって北欧神話に登場する女神のはずじゃ……まあいいか』



 地球では神や幻獣の類とされた存在をスケルトンが契約している。なんともシュールな絵面だ。



 僕は遥か後方に跳躍してロミオンの背後を取ると、剣を横に構えた。



 ――いいだろう。

 神だろうが何だろうがかかってこい。

 まとめて薙ぎ倒してやる。



 【闘気制御】、オン!

 【覇王闘気】、オン!



 僕の輝かしい結婚生活のために犠牲になるがいい、勇者よ!



 僕は闇の闘気を剣に収束させ、撃ち放った。



「――【覇王竜斬波】ッ!」













 決闘の最中、アリシアは唄う。

 世界を守護する剣を手に、詩を唄い続ける。



「――絶望よ。かくも世界を満たすか。


 満ちる絶望は生に絡みつき、苦しみの産声を上げさせる。


 生ある者、絶望から逃れられず。


 生は死に誘われ、流転す」



 音律に元素が誘導され、超振動フォノンが引き起こされる。



「――希望よ、我らが魂に灯れ」


●ステータス

 名前:カーン・オケ

 LV:system error(測定不能)

 性別:男子

 年齢:3才

 種族:AaE限使

 職業:魔王

 HP:system error(975)

 MP:system error(798)

 SP:system error(931)

 STR:system error(895)

 VIT:system error(821)

 DEX:system error(610)

 INT:system error(311)

 AGI:system error(829)

 LUK:system error(159)

 称号:古代兵器級、鉄壁の魔王

 装備:星剣【蛇遣い座】、ヘルヘイム外殻

 所持品:雷電器官、元素硬化爆弾、機械細胞×90、電子信号爆弾、ボーンスピア・オブ・グラムグレイズなど

 特徴:AaE限使の能力はAaE限使自身の想像力に依存する

 スキル:system error(存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、全属性耐性・強、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、竜の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、思考超加速、無限加速宇宙、過去集約、主人公交代、幼き日の光、覇王闘気、覇王竜斬波、多重並列発動、超成長、ノヴァ、フレア、AaE開花進化など)

 人工冥界:リスタルサーク×93、リスタルサーク・レッド×20、リスタルサーク・ブラック×10、リスタルサーク・イエロー×30、リスタルサーク・ピンク×5、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース、貪欲の黒剣、フェンリル

 人工冥界居住可能人数:165/一世界

 世界所持数:2(人工冥界ニヴルヘイム、量子世界ヘルヘイム)

 搭載機能:技能情報・閲覧/読込、技能・疑似発動

 パーティ:【安らかなる旅路】に所属

 パーティメンバー:フェリス、エミル、フラスフィン


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ