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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第三章:魔王の日常
173/240

0-2:魔王の日記(リスタルサークの養殖とイリシャの行方)


六竜歴1559年6月20日:

 養殖の夢を叶えるため、リスタルサークの生態を研究し始めました。

 同化した影響でリスタルサークのおおまかな情報は把握していますが、世代交代による環境適応や遺伝子の変化までは確認できていません。また、現実空間で交配はできるのか? 人工冥界【ニヴルヘイム】内でも交配はできるのか? などなどの疑問が生じている状態です。

 現実空間と人工冥界【ニヴルヘイム】内の両者にリスタルサーク数十体を配置させ、幾つかの実験を行いました。

(注:食事を変えてみたり、環境を急激に変化させた場合に肉体にどの程度の影響をもたらすのか、また、交配を重ねた場合にどのような変化が生じるのかと言った実験です)

 実験結果は日記に記載することにします。



六竜歴1559年6月21日:

 同化済みのリスタルサークを、A群、B群、C群、D群、E群という具合にグループ分けして、テストします。

 実験のテーマは、『特定の食事を与え続けた場合に生じる肉体への影響』です。

 A群にはランダムな食事を与えます。

 B群には赤ピーマンなどと言った、色の赤い食事を与えます。

 C群には黒豆や黒ゴマと言った、色の黒い食事を与えます。

 D群にはカレーなどの色の黄色い食事を与えます。

 E群にはベタシニアンを含んだ、ピンク色の食事を与えます。

 この作業をしばらく続けます。結果がどうなるのかドキドキものです。



六竜歴1559年7月7日:

 今日はエミルちゃんの誕生日です。僕はケーキを焼いて、エミルちゃんとフェリスさんとフラスフィンさんと一緒にケーキを食べました。

 この日、エミルちゃんは9才になりました。



六竜歴1559年7月25日:

 今日はフェリスさんの誕生日です。僕はケーキを焼いて、エミルちゃんとフェリスさんとフラスフィンさんと一緒にケーキを食べました。

 この日、フェリスさんは24才になりました。

 誕生日会の最中にちらっと話を聞いてみたところ、どうやらフェリスさんは騎士学校の教官に転職するそうです。フェリスさんが育てた騎士はどんな騎士になるんだろうなぁ、と思いました。



六竜歴1559年8月5日:

 養殖中のリスタルサークが交配を始めました。



六竜歴1559年12月5日:

 養殖中のリスタルサークから放出された卵から、色々なリスタルサークが生まれてきました。



六竜歴1559年12月11日:

 リスタルサークを研究している内に、面白いことが分かってきました。

 食事の際に特定色の料理を与え続けると、交配後に色違いのリスタルサークが生まれやすくなるようです。赤い料理を与えていると赤いリスタルサークが生まれる、と言った具合です。

 リスタルサークは環境の変化には弱いですが、環境の変化に耐えた個体は適応し、進化します。やはりと言うべきか、リスタルサークにも【進化の風】が吹いているようです。 

 また、現実空間でも人工冥界【ニヴルヘイム】内でも、リスタルサークは繁殖に成功しました。つまり、死後の世界たる僕の体内であっても、生物は繁殖できるのです。生命って凄いと思いました。

 とりあえず、人工冥界【ニヴルヘイム】内で生まれたリスタルサークは人工冥界内で生存させることにし、現実空間で生まれたリスタルサークは現実空間で生存させることにしました。生まれたての赤ん坊を同化するのは気が引けたので、現実空間で生まれたリスタルサークはなるべく同化しないように心がけます。

 僕の権限によって現実空間で繁殖したリスタルサークには、目印を付けることにしました。錬金術師ルート最終形態ファイナルフォームに変神して【電子信号爆弾】を作成し、【地雷操作】でリスタルサークたちにくっつけました。

 この【電子信号爆弾】は、地球で言うところのGPSみたいなものです。爆弾と名は付いていますが、非常に微弱な電子信号を常時放出しているだけですので、リスタルサークや環境にも無害です。こうして、僕の視界上には、養殖されたリスタルサークの位置が全て表示されるようになったのです。



六竜歴1559年12月13日:

 現実空間で養殖していたリスタルサークの内、数体が亡くなりました。養殖地に侵入してきた野生の【北極ガガッツォ】に襲われたのです。

(注:ガガッツォとは、ウラグルーンの海に生息する巨大肉食魚のこと。肺と足があるため、陸上で活動可能)

 僕は複雑な思いに駆られました。弔い、供養、悲しみの払拭、気持ちの切り替え……色々な意味を込めて、死亡したリスタルサークたちを体内の人工冥界【ニヴルヘイム】に送りました。



六竜歴1559年12月16日:

 今日は僕の誕生日です。僕は2才になりました。

 フラスフィンさんとエミルちゃんとフェリスさんが僕を祝ってくれました。



六竜歴1559年12月25日:

 この世界に来て三度目のクリスマスです。

 試しにフェンリルのスキル【フレア】を使ってみましたが、まるで発動する気配がありません。一応、【マグマプロージョン】は発動するのですが、動作が安定しません。焼きにムラがあるというか、火力が足りないというか、とにかくそんな感じなのです。フラスフィンさんに聞いてみたところ、AaE限使になった影響です、とのこと。

 AaE限使は想像力に依存する種族であると同時に、世界記述を外れた存在です。世界記述から外れているので、スキルを正常に発動させる世界記述の恩恵が受けられません。というより、そもそもの話をすると、世界記述から外れている存在はスキルを発動できないのです。この辺りの設定はややこしいので、また後に記すことにします。

 しばらく戦闘らしい戦闘をしていなかったこともあり、僕の想像力は鈍っていました。僕は、ケーキとビッグチキンを焼くためのスキルと成り果てた【マグマプロージョン】を駆使して、ケーキと焼きビッグチキンを沢山作り、みんなでケーキと焼きビッグチキンを食べました。ケーキと焼きビッグチキンを食べている内に、まあ、こんな生活も悪くないかな、と思いました。



六竜歴1559年12月31日:

 ある日、エミルちゃんが僕に言いました。

「ねぇねぇ、カーン様。なんでイリシャちゃんは転校しちゃったの?」

「うっ」

 突っつかれたくない話題になり、僕はストローでちゅーちゅー吸っていたオレンジジュースを噴き出しそうになりました。

 この話題は少しばかり胃が痛くなるものでした。書類上はイリシャは他の国の学校に転校し、セイル先生は転任したという扱いにしてありますが、実際のところは、イリシャとセイル先生は戦争を避けるために【華桜国】に避難したのです。

『オールス国との戦争にイリシャを巻き込みたくはない。私は私の判断で離脱させて貰う。

 追伸:シロガネ大臣には君の口からきつく言っておいてくれ』

 ……というような文面の文書が送られてきたのが、僕が国王に就任してから数日後のことです。

 セイル先生の意図は僕にも理解できました。イリシャは、オールス国のエルフ族から捨てられた子です。イリシャがオールス国との戦争に巻き込まれれば、彼女が内に秘める復讐心を刺激し、やがて、虐殺の引き金を引くことになるでしょう。見た目は子供ですがイリシャは非常に強く、兵からの人望が厚いので、【魔軍】(注:リレイン・ヴァラド連合国が保有する軍隊を【魔軍】と呼称します。魔軍を構成する兵士は主にオークです)のコントロール権をイリシャに奪取される可能性がありました。

 ひとたび魔軍が動き出せば、魔軍とオールス国のエルフ軍が全面的に争うことになります。イリシャの苛烈な性格を鑑みると、どちらかが虐殺する・される関係になることは間違いないでしょう。

 地球で無差別爆撃を行っていた僕としては、この話の流れだけはノーです。猛烈にノーを突き付けたい気分です。リレイン・ヴァラド連合国に被害が出るにせよ、オールス国に被害が出るにせよ、虐殺だけはごめんです。多分、セイル先生も同じ気分だったのでしょう。

 僕は平静を装いつつ、尋ねました。

「エミルちゃんは、どうしてイリシャが転校したって思ったんだい?」

「学校で聞かれたの! 『友達が転校したら、普通は悲しむでしょ? なんで止めなかったの?』って」

 どうやら、学校のクラスメイトから昔の友人関係について色々と聞かれたようです。

 僕は心の奥で顔が引き攣るような気分に陥りました。僕は観念すると、イリシャとセイル先生のパーティ離脱理由をオブラートに包んで話すことにしました。

「……というわけなんだ」

「イリシャちゃんって、そんなに強いの?」

「強いんじゃないかな」

「カーン様よりも?」

「どうだろうね。さあさ、もうこんな時間だよ。良い子は早く寝なさい」

「はーい!」

 【竜機フレースヴェルグ】に進化したイリシャは、多分、強いのでしょう。

 イリシャの戦闘力は、すぐに発揮されることになりました。

 


六竜歴1560年1月1日:

 正月です。めでたいめでたいと言っている僕の正月気分は、イリシャによって早々に吹き飛ばされました。

 リレイン・ヴァラド連合国の領土内で冒険者たちに対して小競り合い(という名の殺し合い)をエルフが仕掛けてくる最中、金属の翼を生やした少女が空から現れ、エルフを襲撃したそうです。

 報告を聞いた僕は、早速現場に向かいました。

 現場は凄惨な光景となっていました。エルフ数百人を虐殺したイリシャは、僕にこんなことを言いました。

「あんた、まだそんな生ぬるいことやってんの?」




 パーティ離脱から2年と1ヶ月という時を経て、イリシャは【竜機フレースヴェルグ・フェイズ2】に進化していたのでした。



●ステータス

 名前:カーン・オケ

 LV:system error(測定不能)

 性別:男性

 種族:AaE限使

 職業:魔王

 HP:system error(958→975)

 MP:system error(763→798)

 SP:system error(922→931)

 STR:system error(835→895)

 VIT:system error(796→821)

 DEX:system error(533→610)

 INT:system error(256→311)

 AGI:system error(821→829)

 LUK:system error(113→159)

 称号:古代兵器級、鉄壁の魔王

 装備:星剣【蛇遣い座】

 所持品:雷電器官、元素硬化爆弾、アダマンタイト装甲、アダマンタイトコア、外部記憶装置、量子演算回路、放熱板×3、機械細胞×99、電子信号爆弾(NEW!)、ボーンスピア・オブ・グラムグレイズなど

 特徴:AaE限使の能力はAaE限使自身の想像力に依存する

 スキル:system error(存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、全属性耐性・強、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、竜の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、思考超加速、無限加速宇宙、過去集約、主人公交代、幼き日の光、覇王闘気、覇王竜斬波、多重並列発動、超成長、ノヴァ、フレア、AaE開花進化など)

 人工冥界:リスタルサーク×93、リスタルサーク・レッド×20(NEW!)、リスタルサーク・ブラック×10(NEW!)、リスタルサーク・イエロー×30(NEW!)、リスタルサーク・ピンク×5(NEW!)、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース、貪欲の黒剣、フェンリル

 人工冥界居住可能人数:165/一世界

 世界所持数:2(ニヴルヘイム、ヘルヘイム)

 パーティ:【安らかなる旅路】に所属

 パーティメンバー:フェリス、エミル、フラスフィン




(しばらくは日記形式で話が進みます)

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