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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
中間エピソード:勇者が見る夢
170/240

1:予知夢

第三章の前振りに当たる部分です。


 彼女は夢を見ていた。

 白の光で満たされた神殿の跡地。新緑が繁茂する大理石の破片。光差す瓦礫の中心に、“彼”は佇んでいた。


 “彼”は、眼前の大竜を睨み付けた。


「――僕が異世界を使い潰すとでも?」

「先代闇竜神がやったことは、まさにそれなんですよ。闇竜神となったあなたも、彼女と同じことができるんです」

「闇竜神にそんな権限は無いだろ」

「あるんですよ。

 万物の死と再生を司る闇竜神なら、それができるんです」


 彼は、自身の左腕に嵌めている小さな棺桶から世界の一部を引き出した。


 ――魔狼フェンリル……。


 伝承の彼方に語られる存在。

 神々に災いをもたらすと囁かれる魔狼の爪が、現世に顕現する。


「地球の日本でやってたCMコマーシャルみたいな言葉を並べても、僕を倒す理由にはならないぞ」

「地球の話など……。あなたと話していると神格が下がる」

「神格低下系パッシブスキルだよ。話しているだけで自分と相手に精神的なダメージを与えるんだ。自虐の一種だな」

「なっ!? そのようなスキルが存在するとは……! 世界は広いですね」

「いや、冗談だから! 頼むから、冗談を真に受けないでくれ!」

「自虐と冗談を混ぜて精神攻撃を与えるとは……! 恐れ入ります」

「そんなトコは恐れないでいいから! お前は本ッ当に相変わらずだな――




 ――待て。誰かが僕らの会話を見ている。

 ()()?」




 アリシア・アルシエルは、目を覚ました。



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