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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第二章:棺桶の就職
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74話:Abyss and Eden


 【貪欲の黒剣(ニーグルムエフシオ)】と星剣【蛇遣い座(オフィウクス)】が激突する。


 しかし、【貪欲の黒剣(ニーグルムエフシオ)】のドレイン効果は発揮されない。触れればドレイン効果を発揮する剣は、今の僕には通用しなかった。


 シュトルムが声を発する。こちらの素性を訝しむ声音だった。


「貴様、如何なる種族に進化した?

 【貪欲の黒剣(ニーグルムエフシオ)】の付与エンチャントが効かない相手は珍しい。

 答えよ。今の貴様は何者だ?」


 この鍔迫り合いを通じて、僕は直感的に理解していた。


 世界記述を超越した存在に対して、付与エンチャントの動作は保証されない。


 僕は仔細を語ることにした。


「僕はAaE限使に進化した」

「AaE限使。初めて聞く名だ」


 スキル【過去集約ギャザーパスト】、オン。

 AaE限使の簡易説明文を網膜に表示せよ。



「AaEとはAbyss(アビス) and(アンド) Eden(エデン)の略だ。

 【AaE限使】とは、【種子起源世界AaE】に由来する能力を限定的に行使できる種族を意味する」

「種子起源世界だと――?」


 僕は、異世界【種子起源世界AaE】のことを語った。


「この世界の他にも異世界はある。()()()()()()()()()()

 どうやら僕は、【AaE開花進化】を通じて、【種子起源世界AaE】と繋がったらしい」



 【奈落の種子(アビス・シード)】と【楽園の種子(エデン・シード)】。名前こそ違うが、全く同一の種だ。



 元を正せば、【奈落の種子(アビス・シード)】と【楽園の種子(エデン・シード)】は、想像が具現化する世界より生まれた。

 それらの種子は、己の種を拡散するために、爆発的開花を通じて他の異世界を渡るようになった。



 想像が具現化するということは、想像次第で現実が奈落アビスにも楽園エデンにも成り得るということだ。よって、その世界はAbyss(アビス) and(アンド) Eden(エデン)――略してAaEと名付けられているらしい。ついでに言うと、その世界の起源は種子なので、【種子起源世界AaE】という名称になっているんだとか。


 僕が【AaE開花進化】を実行した際、僕という存在はウラグルーンの世界記述を超越し、【種子起源世界AaE】と繋がってしまった。


 言ってしまえば、まあ、こういうことだ。


「僕はこの世界の住民とは言い難い種族になったようだ」


 今の僕は【ウラグルーン】の住民でもあり、【種子起源世界AaE】の住民でもある。


 言うならば、バグキャラだ。バグったというよりは、周囲にバグを撒き散らすバグそのものになった。


 というわけで、今の僕には【ウラグルーン】の住民でありながら住民ではない。【貪欲の黒剣(ニーグルムエフシオ)】は世界記述下でのみ機能する剣なので、世界記述を超えた僕には効かない。


 僕の状況を察したシュトルムは、激昂した。



「――貴様、今の自分の立場を本当に理解しているのか!?」



 シュトルムは、【貪欲の黒剣(ニーグルムエフシオ)】越しに警告を発した。


「今の貴様は、神を超えた域に入ってしまっている!」


 本来の僕は、人工闇竜から闇竜神に進化するはずだった。


 しかし、僕は【AaE開花進化】を実行した影響で、その工程を一段階どころか二段階ぐらい抜いてしまい、神を超えてしまった。


 シュトルムは、僕にその危うさを警告しているのだ。


 歩むべき階段を一気に抜かしてしまったが故に生まれる、絶対的なまでの経験の無さ。神を超えた者に対する祝福の無さ。



 それらは全て、自信の無さに繋がってくる。



 自分で言うのも何だが、これはまずいなと思った。

 極めて不安定な状態に置かれていると自覚するには十分すぎる環境だ。


 僕が心の中で弱音を吐き出す中、エミルちゃんの声が響き渡った。


「――大丈夫! カーン様なら大丈夫だよ、きっと!」


 客観的に見れば何の根拠もない言葉だ。

 だけど、僕をちょっとだけ勇気づけるには十分な言葉だった。


 そうだな。

 多分、大丈夫だ。


 シュトルムは床を蹴って後退すると、【貪欲の黒剣(ニーグルムエフシオ)】を構えた。


「覇王――」


 シュトルムの体から【覇王闘気】が膨れ上がる。


 周囲を圧する闘気を前にして、びりびりと周りの元素が震える。



 スキル【地雷操作】、オン。

 足元に【元素硬化爆弾】を設置し、即座に起爆する。



「――竜斬波!」



 激烈なる闘気の波が迸った。

 設置したばかりの元素硬化壁が薙ぎ倒されていく。



 だが、元素硬化壁のお陰で、斬波の威力は大幅に削がれている。



 僕は自分に課した約束を果たし、シュトルムのスキルを受け止めた。


 星剣【蛇遣い座(オフィウクス)】を盾代わりに使用し、斬波を防御。


 凄まじい衝撃が僕を襲った。


 衝撃が強すぎて、吹き飛ばされそうだ。僕は星剣【蛇遣い座(オフィウクス)】の切っ先を床に突き刺し、防波堤とする。



 耐えろ。



 今の僕なら、耐えられる!



 受け止めて――跳ね返せ!




 ピコン。

 ピコン。


『【王級】の攻撃の防御に成功。熟練度が100増加しました。

 スキル【覇王闘気】を獲得しました』


『【王級】の攻撃の防御に成功。熟練度が100増加しました。

 スキル【覇王竜斬波】を獲得しました』





●ステータス

 名前:カーン・オケ

 本名:system error(佐藤孝一?)

 LV:system error(測定不能)

 性別:男性

 種族:AaE限使

 職業:system error(無職?)

 HP:system error(692?)

 MP:system error(267?)

 SP:system error(572?)

 STR:system error(602?)

 VIT:system error(498?)

 DEX:system error(185?)

 INT:system error(125?)

 AGI:system error(356?)

 LUK:system error(112?)

 称号:system error(古代兵器級?)

 装備:星剣【蛇遣い座】

 所持品:雷電器官、元素硬化爆弾など

 特徴:AaE限使の能力はAaE限使自身の想像力に依存する

 スキル:system error(存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、竜の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、思考超加速、無限加速宇宙、過去集約、主人公交代、幼き日の光、覇王闘気(NEW!)、覇王竜斬波(NEW!)、AaE開花進化など)

 人工冥界:リスタルサーク、リスタルサーク、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース

 人工冥界居住可能人数:8/一世界

 世界所持数:1

 パーティ:【安らかなる旅路】に所属

 パーティメンバー:フェリス、エミル、イリシャ、セイル、フラスフィン



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