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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第一章:棺桶転生
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16話:蚊だけは許せん!


『フェリス! この振動は蚊の仕業か!』


 颯爽と立ち上がった僕は蚊の殲滅に闘志を燃やしていた。


 蚊だけは絶対に許さん! この世界の蚊が如何に強大な存在だとしても、命と引き換えに屠ってやる!


 揺れるテントにビクつくエミルちゃん。フェリスは剣を手に取り、テントの入り口に視線を向けた。


『うむ。これは蚊の魔物――【ローグドモスキー】の仕業だな。

 しかし妙だな。なぜ地底湖に【ローグドモスキー】が……?』

『四の五の言っている場合ではない! 行くぞッ!』

『う、うむ!? エミル、ここで留守番を頼む!』

『えっ!? う、うん、いってらっしゃい?』


 状況を飲み込めないエミルちゃんを留守番とし、テントから出た僕とフェリスを待ち受けていたのは――巨大な蚊だった。


『《疾走撃》ぃぃぃぃ!』


 躊躇わずにスキルを発動。鍾乳洞を駆ける僕はそのままローグドモスキーなる巨大蚊に向かう!


 蚊よ、死ね!


 フェリスの忠告が響き渡ったのは、その直後だった。


『いかん! カーン殿、【疾走撃】は――物理スキルだ!』


 な に ?


 気づいた瞬間には、地底湖に突っ込んでいた。


 ぶくぶくと沈む僕の頭上で、《ローグドモスキー》がぶんぶんと飛んでいる。

 宙を自在に舞う巨大蚊の姿は、まるで僕を嘲笑っているかのようだ。


 フェリスさんが精神会話を通じて、忠告を発してくれた。


『魔法スキルなら湖の上を疾走できる! だが、物理スキルではダメだ!』


 くっ! そういうことか!


 フェリスさんの忠告を聞いて、僕はようやく、【疾走撃】を発動した時にSPゲージが減る理由を理解した。

 恐らく、【疾走撃】は純粋な物理スキルだ。魔力(MP)を使わず、スタミナ(SP)を消費するのだ。

 あれだな。地球の『魔王クエスト』で言うところの『とくぎ』ってやつだ。



 おのれぇ! 分かっていればこんな醜態を晒さずに済んだものを!


 って、しょっぱ! なんだ!? 下半身のナイトメア君の舌を伝わって妙なしょっぱさが伝わってくるぞ!?



 はい。

 ぶくぶく言ってる僕の下半身(ナイトメア君)が、湖の水を飲んでしまったようです。



 なんで湖の水がしょっぱいんだろうね。不思議だね。



 なーんて哲学的問題に浸っている場合ではなーい! 

 常識的に考えて、しょっぱい水とは塩分を含んだ水ッ! 海水だッ!


 この地底湖、海と繋がってやがる! ちくしょう、ハメられたぜ!


 ピコン。


『スキル【味見】を獲得しました』


 ナイトメア君……。君、味見できなかったのか。


 あーーーーもう! スキル獲得は嬉しいけど! この状況、どうにかできないのか!?


『ぬっ、カーン殿、大丈夫か!?』


 いえ。大丈夫じゃないです。ぶくぶくしてます。

 水中にいるせいか、HPゲージが減っていきます。死にそうです。



 丁寧口調で状況を説明してる場合じゃねーーーー!

 地上でフェリスさんが蚊と戦っている間に、湖の底に脚がついちゃったじゃん! ここから挽回できんの!? ねぇ、大丈夫!?


 いや! やるしかない! 僕がやるしかないのだ!


 頼むぞ、ナイトメア君! 僕の下半身!


 ――【疾走撃】、発動!



●ステータス

名前:カーン・オケ

本名:佐藤孝一

LV:2

種族:不明

職業:無職

称号:人殺し、忍耐の精神、守護の精神

スキル:存在同化、自動翻訳、情報把握・強、地属性耐性、疾走撃、味見(NEW!)、その他色々なスキル、傲慢LV1、同化存在解放

存在ストック:ナイトメア

存在ストック上限:1/3

パーティ:フェリスのパーティに所属

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