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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第二章:棺桶の就職
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情報収集

第一使徒と第二使徒視点の話です。


■ 【裏切り(ビトレイヤル)】視点■


 【恐怖テラー】が時間を稼いでいる間に、【裏切り(ビトレイヤル)】は【スナイプラント・ビトレイヤルリレイティブ】100体の人工転生に成功させていた。


 覇王竜斬波で崩壊した氷山を資源として利用し、【スナイプラント・ビトレイヤルリレイティブ】を【アイスナイプラント・ビトレイヤルリレイティブ】に転生させる。

 この転生には、先の狙撃の反省も活かされていた。


 実は、先の一斉狙撃により、100体の【スナイプラント・ビトレイヤルリレイティブ】は砲身過熱状態に陥っていた。


 そのため、異次元=地球から引っ張り出した楽園の種子(エデン・シード)を【スナイプラント・ビトレイヤルリレイティブ】に装填しようにも装填できなかった。


 砲身が過熱した狙撃植物で楽園の種子(エデン・シード)を発射しようものなら、暴発しかねない。そういった事態は避ける必要があった。



 そして、現在。

 氷山を構成物質として取り込んだ【アイスナイプラント・ビトレイヤルリレイティブ】は、氷山に多量に含まれる水の元素の作用により、砲身の急激な冷却が可能になった。


 これが意味するところは1つ。連続的な狙撃である。


 100体の【アイスナイプラント・ビトレイヤルリレイティブ】に楽園の種子(エデン・シード)を装填したビトレイヤルは、今度こそカーンたちを葬るべく、王城に照準を定める。


(連続狙撃でチェックメイトだ)


 【裏切り(ビトレイヤル)】が敵意と殺意をカーンに向け、【アイスナイプラント・ビトレイヤルリレイティブ】の引き金を引こうとした――その瞬間。


 カーンに向けられた敵意と殺意が逆流・具現化し、ビトレイヤルに突き刺さった。


「うごっ!?」


 無数に発生した闇の元素が刃の破片の如く【裏切り(ビトレイヤル)】に突き刺さる。これら全ての元素は、カーンが【裏切り(ビトレイヤル)】の意識を逆利用して生み出したものであった。


(馬鹿な! 何だ、この現象は! 何が起こっている!?)


 ――全くの想定外。急速に減少していくHPゲージ。

 ウラグルーンの元素を用いて製造されたパワードスーツ【元素外殻エレメント・シェル】を着用しているにも関わらず、カーンが発生せしめた元素は、無慈悲にも【裏切り(ビトレイヤル)】のHPを削り取っていく。


(し、死ぬ! 死んでしまう! 逃げなければ、死んでしまう!)


 死の危険を察知した【裏切り(ビトレイヤル)】は、精神会話で【恐怖テラー】に撤退の意向を伝えると、拠点に転移ワープした。




■ 【恐怖テラー】視点 ■



 カーンが具現化させた闇の元素は刃と化し、元素外殻エレメント・シェルを貫いて【恐怖テラー】の体に突き刺さった。


 と同時に、自在に宙を飛び回る闇の元素は【恐怖テラー】を上空へと吹き飛ばした。


 なぜ自身を上へ押し上げたのか? 【恐怖テラー】の脳裏に疑問がよぎる。


『て……撤退する!』


 【裏切り(ビトレイヤル)】にもまた同様の現象が発生したらしい。

 【裏切り(ビトレイヤル)】は状況悪しと見るや、さっさと転移ワープして撤退したようだ。元素外殻エレメント・シェルのレーダーマップには最早彼の姿は映っていなかった。


 王城の天井をぶち抜いて空へ吹き飛ばされる最中、【恐怖テラー】は瞬時に思考を切り替えた。



 敵を殺戮するための思考から、敵の正体並びにその力量を見極めるための思考にシフトする。



 【恐怖テラー】は民間軍事会社に属する人間であり、つまるところ、傭兵だ。軍人ではない。


 【恐怖テラー】の地球での仇名は“狂犬”だった。自身がどんな目に遭おうが、とにかく敵に食らいつき、最後の最後まで戦う。そういう類の人間だった。


 【恐怖テラー】は、自身の体を使って敵の情報を収集し始めた。闇の元素はどれぐらい痛いのか。どこから飛んできたのか。なぜ発生したのか。


 【恐怖テラー】は拠点に撤退せずに、最後まで居残り、敵の情報を可能な限り収集する。


 【恐怖テラー】は【裏切り(ビトレイヤル)】を心の底から信用しているわけではない――だが、【裏切り(ビトレイヤル)】が撤退すれば現場で獲得した生の情報をテラ・コンダクトに伝えられる。


 【裏切り(ビトレイヤル)】が取った選択には価値がある。【恐怖テラー】はそう思った。


 自身の思考と元素外殻エレメント・シェルを情報収集モードに切り替えた【恐怖テラー】は、青く広がる空に押し上げられながら、哄笑した。


「――ハハッ! いいねぇ、わくわくするじゃないかッ!!」




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