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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第二章:棺桶の就職
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64話:闇と光の開花

上部は三人称視点(エミル寄り)の話です。途中から一人称視点(カーン視点)の話に切り替わります。


「カーン様、初めて会った時のこと、覚えてる?」


 エミルは【竜眼石の杖】を握り締めて、【治癒】を唱え続ける。


「あの時のカーン様、すごくかっこよかったんだよ」


 逃亡生活を送るエミルが結晶迷宮で出会った、闇の力を持つ存在。


 自身と同じ力を持つ者。

 それは、エミルが今までずっと探し求めていた人物だった。


「あたし、カーン様に憧れたの。

 あたしも、闇の血を引いているから……」


 過去を思い出す度に感情が溢れ出し、目の前が涙で潤んでいく。


 カーンには、ずっと傍にいて欲しい。死んで欲しくない。

 こんな形で別れるなんて、嫌だ。絶対に、嫌だ。


 エミルは顔を上げ、床に倒れ伏すカーンに感情を吐露した。


「カーン様! ねぇ、目を覚ましてよ! じゃないとあたし、本当に一人ぼっちになっちゃう!

 そんなの、寂しいよ! 絶対やだよ!」


 涙を零しながら、告げる。


「――お願い、目を覚まして!」





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――




 前々から思っていたことがある。



 僕はそんなに強くない。



 身を呈して狙撃を防ぐ。

 それぐらいしかやれることはない。



 どうしてなんだろう。

 どうして僕は、ここでもダメなんだろう。



 弱いからか。

 凡人だからか。

 超人じゃないとダメなのか?

 天才じゃないとダメなのか?



 凡人はどこにも居場所が無いのか?



 未来のビジョンが見えない。何も見えない。



 乏しい才能を尽くしても上は遥かに高く、きりが無い。



 そうとも。僕は凡人。

 超人でもなければ天才でもない。



 無いものを捻り出した才気を全力でぶつけても、己自身の恐怖に打ち破られ、血を滲ませた努力は遂には裏切られる。



 地球での僕は、いつもそんな恐怖と裏切りと戦ってきた。



 なんて悪趣味な世界なんだ。

 地球には恐怖と裏切りが蔓延している。

 そこから逃れたくてこの世界で足掻いているのに、恐怖と裏切りはどこまでも追ってくる。



 僕はどうすればいい?

 どうすれば、恐怖と裏切りに勝てるんだ。



 いっそのこと、全て諦めて、闇に沈めばいいのか。



 僕という存在を停止して、安らかな闇へと沈めば、全て救われるのか。



 そうだな。

 それもいいのかもしれない。



 一度は実行したんだ。

 二度目も簡単だ。



 僕は自分自身の魂に手をかけた。







『……ねがい……まして……』






 闇に沈む僕の心に、一筋に光が差し込んだ。


 眩しい光だった。


 かつて失った輝きがあった。




 どうしてこんなにも美しいのか。


 どうしてこんなにも無垢なのか。





 魂が擦り切れた僕には、それはひどく輝いて見えた。



 どうしてだろうか。

 その光を見ていると、擦り切れた魂が躍動する。



 なぜなのか。

 僕にも分からない。



 暗闇の中に差し伸べられた光に、僕はそっと腕を伸ばした。



『お願い……目……て……』



 強くなりたい。

 もっと――もっと、強くなりたい。



 あの光に救って貰いたい。

 あの光と並びたい。



 そのために、強くなりたい。



『お願い……目を覚……』



 でも、強くなって、その後は?



『お願い――』



 分からないけど、聞こえる。

 あの子の声が。



『――目を覚まして』




 ――そうだ。


 何を忘れていたんだ。




 僕は、フラスフィンさんが世界を破壊する日まで、この世界を守り、育てる。




 僕は、信じた人の世界観を守る。




 その決意に、間違いはないのだから。




 僕の意識は浮上した。

 【浮上する(インフレーション)(ライト)】が活性化し、進化の鼓動を内より呼び覚ます。



 僕は涙を零しながら語りかけるエミルに、そっと応えた。



「わかったよ。だから、そんなに泣くな」



 そのために自己定義を更新する。

 手段は問わない。



 他のルートの僕が使わなかった手段を、僕は使った。




 ――スキル【AaE開花進化】、オン。





 ピコン。


奈落の種子(アビス・シード)を消費して、【AaE開花進化】を実行します』






 直後――

 僕に向けられた敵意と悪意が逆流・具現化し、【恐怖テラー】と【裏切り(ビトレイヤル)】に突き刺さった。






●ステータス

 名前:カーン・オケ

 本名:佐藤孝一

 LV:???

 性別:男性

 種族:???

 職業:無職

 HP:692

 MP:267

 SP:572

 STR:602

 VIT:498

 DEX:185

 INT:125

 AGI:356

 LUK:112

 称号:古代兵器級

 装備:対魔殺戮剣・超絶限界加速式+++封印形態(封印解除)

 所持品:雷電器官、元素硬化爆弾など

 スキル:存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、竜の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、思考超加速、無限加速宇宙、未来集約、主人公交代、幼き日の光、AaE開花進化

 存在ストック:リスタルサーク、リスタルサーク、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース

 存在ストック上限:8/50

 パーティ:【安らかなる旅路】に所属

 パーティメンバー:フェリス、エミル、イリシャ、セイル、フラスフィン


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