動作保証
色々なキャラの視点が混じった特殊な形式です。
■ フラスフィン視点 ■
ダウングレードとは、自身の存在の格を下げた上で、更にレベル1に戻る行為だ。
ダウングレードを実行するに当たり、フラスフィンに対する救済措置として、ステータスポイントとスキルポイントが1000与えられた。
フラスフィンは新規にステータスポイントを割り振り、以下のような形にした。
『ステータス
名前:フラスフィン
LV:1
性別:女性
種族:system error
職業:system error
HP:100
MP:0
SP:200
STR:100
VIT:100
DEX:300
INT:0
AGI:200
LUK:0
装備:人工なる破滅の杖、神帝のローブ
スキル:暗殺無効、味見
称号:system error
ステータスポイント:0
スキルポイント:1000』
ステータスとは、世界記述下で動作が保証された能力だ。
例えばの話、仮に知識を大量に保有していたとしても、INT(知力)が高いとは限らない。逆に、INT(知力)が高くても知識を大量に保有しているわけではない。
と言うのも、ステータスとは世界記述下において作動する自動的な装置だからだ。
ステータスは本来の能力とは似て非なる能力であり、人格や記憶とは関係がない。
世界記述下におけるINTとは『世界記述下で動作が保証された知力』という意味での知力であり、元来の知力とは異なる。
例えINT(知力)がゼロであっても、元来の知識や知恵がゼロというわけではない。それはSTR(筋力)やVIT(体力)やDEX(技量)やAGI(敏捷性)やLUK(運)も同じだ。
フラスフィンは所持スキルに意識を移した。
所持スキルは【暗殺無効】と【味見】のみ。
装備品である【人工なる破滅の杖】にはスキル【試作型概念剣】が秘められている。
現在のフラスフィンは、スキルポイントを1000ポイント所持している。
この世界では、スキルポイントを消費することでスキルを獲得できる。
フラスフィンはスキルポイントを1000消費して、パッシブスキル【棒術】を獲得した。
■ 全体視点 ■
――亡霊を敵の体内に転移させられない。
この事実を知った【恐怖】は、多数の亡霊による包囲作戦に切り替えた。
(奇襲が効かないなら、他の方法で圧倒するまでよ)
1000体の亡霊を首都の周囲に転移。
首都を取り囲むようにして亡霊を配置し、全方位から王城に向かって進軍するよう指示する。
「レ、亡霊だぁぁぁぁ!!」
「ぎゃああああ! お化けぇぇぇぇ!」
城壁を通り抜ける亡霊たちの姿を見た原住民の悲鳴が木霊する。
「亡霊に触るな! 生命力が吸い取られるぞ!」
「何だって亡霊がこんな場所にいるんだよ! どこから湧いて出た!?」
四方八方から押し寄せる亡霊を目の当たりにして、首都は大混乱に陥った。
「転移? 転移?」
「転移! 転移!」
「「スフィンクス!」」
監視塔のサイクロプスとガーゴイルは、スフィンクスに伝言を託した。
「転移だよ! 転移! この亡霊は転移して来ているんだよ!」
スフィンクスは街中を飛翔して、サイクロプスとガーゴイルの言葉を伝えて回る。
オーク兵を率いるオーク・ジェネラルは「今がその時か」と重い腰を上げた。
国王並びに大臣からの通達は何も無い。最悪の事態がオーク・ジェネラルの脳裏をよぎった。
有事に際してヴァラド国軍は独自に権力を発揮できる。オーク・ジェネラルは懲罰を覚悟の上で、国民を守るために兵に指示を下した。
『構え! 迎撃せよ!』
【精神会話】を通じてヴァラド国軍に指示が行き渡り、城下町の各所でオーク兵が槍と盾を構えた。
オーク兵たちもここまで深刻な事態が起こるとは思ってはいなかったようで、中には狼狽する者もいた。
【領土守護結界】が出来て以来、ヴァラド国は結界に守られてきた。
小規模な内乱はあれど、ここまで大規模な戦闘が起きるとは想像できなかったのだ。
平和な時代を生きてきた若きオーク兵たちは、ゆっくりと迫り来る亡霊の軍団と対峙した。
「どうするんだよ、これ! 本当にどうにかなるのか!?」
「ああ、六竜神様、我らにご加護を!」
「死なないように、死なないように……」
「おいおいお前ら、そんな辛気臭い顔すんなよ」
兄貴分として親しまれる先輩オーク兵が後輩オーク兵の肩を叩いた。
「兄貴!」
「国民を守るのが兵士の役目だ。俺の動きを見ていろ!」
先輩オーク兵が槍と盾で亡霊に突っ込む。
槍を繰り出すも、何の魔法効果も付与されていない攻撃では亡霊には効かない。
亡霊は動きを止めると、先輩オーク兵の魂を爪で引き裂いた。
「ぐはっ!」
魂を抉られ、先輩オーク兵の生命力が奪われる。
後輩オーク兵は狼狽えた。
「兄貴! やっぱり無茶がありますよ!」
「そうかい? だが、時間稼ぎにはなるだろう?」
事実、その通りではあった。
亡霊は無敵というわけではない。攻撃を仕掛ければ、反射的に反撃してくる。
亡霊が動きを止めて反撃すればするほどに、国民が避難するための時間を稼げるという寸法だ。
「皆さん、聖堂に来て下さい! 聖堂なら安全です!」
サキュバス僧侶が国民を非難誘導する。
聖堂には六竜神の加護が宿っている。魂が闇に堕ちた亡霊にとって、神の加護は眩しい。
聖堂に避難していく国民の姿を見て、先輩オーク兵は語る。
「どうだい? 俺たちの活動も捨てたもんじゃないだろ?」
「そ、そうか……」
後輩オーク兵は先輩オーク兵の行動から学んだ。
兵士は国民を守るためにある。兵士は盾であり、矛である。
改めて己の役割を自覚した後輩オーク兵は、高らかに槍を掲げた。
「俺たちは何を忘れていたんだ! 国民を守るのが兵士の仕事だ! 亡霊を恐れるな!」
「国民は!」
「俺たちが!」
「「守る!」」
オーク兵たちは方円の陣を組み、亡霊の侵攻を食い止めていく。
●ステータス
名前:フラスフィン
LV:1
性別:女性
種族:system error
職業:system error
HP:100
MP:0
SP:200
STR:100
VIT:100
DEX:300
INT:0
AGI:200
LUK:0
装備:人工なる破滅の杖、神帝のローブ
スキル:暗殺無効、味見、棒術(NEW!)
称号:system error
ステータスポイント:0
スキルポイント:0