62話:まだ死んではおらず、魂もまた、まだ折れない
タイトル通りの展開です。
スキル【未来集約】で敵の狙撃に気づいた僕に出来ることは、かばうことだった。
迸るスキルは止まらない。
咄嗟に【貪欲の黒剣】の向きを変え、【覇王竜斬波】を僕の頭上に放ったシュトルムは、【思考超加速】の中で僕に驚愕の声を発した。
「貴様――!?」
僕は胸中で、笑った。
「言っただろ。万人が報われるようにするのが、僕の役目だって」
――シュトルム。僕が言う万人の中には、お前も含まれているんだ。
「ぐっ――!」
100発の【奈落の種子】が王城の壁を貫き、僕らに襲いかかる。
【思考超加速】状態では自分に迫る弾丸を目視できる。
しかし、思考を超加速しただけでは肉体は速度に追い付かない。
肉体が思考の速度に追い付くには、【寿命燃焼・超絶加速】しかなかった。
【対魔殺戮剣・超絶限界加速式】の封印を解除。ショートソードという偽装形態を抜き放ち、内部よりからくり仕掛けの剣を露わにする。
【寿命燃焼・超絶加速】、オン。
僕は魂の根源である【浮上する光】を燃やして、肉体を超加速させる。
燃やせ。
燃やせ。
食らえ。
食らえ。
僕の微小管に存在する量子を――
【浮上する光】を――
意志の力を、食らって、加速しろ。
僕の魂が燃え盛り、人工心臓の鼓動は加速し、肉体が思考の速度に追い付く。
仕事に移る前に、僕はフラスフィンに忠告した。
『フラスフィン! 今だけは手出しするなよ! これは僕の仕事だ!』
『了解しました』
これは僕にしか出来ない仕事だ。
【奈落の種子】の直撃を受けても汚染されないのは僕だけなのだから、これは間違いなく、僕の仕事だ。
翼を広げ、マグマシールドとサンダーシールドの多重マジックシールドの範囲を広げる。
スキル【地雷操作】、オン。
足元の【元素硬化爆弾】を作動させる。
ピシッ、と音を立てて【元素硬化爆弾】が炸裂する。
元素を硬化させる特殊液体が周囲に飛び散り、厚さ1メートル、幅10メートル、高さ10メートルの壁と化す。
その壁が、僕の前と後ろに3枚ずつ。合計6枚の多重構造壁が形成される。
元素硬化壁。
これが僕の持ち得る最後の防御手段だ。
【奈落の種子】の弾幕が、マグマシールドとサンダーシールドに接触する。
シールド被弾。マグマとサンダーにより【奈落の種子】の7割が蒸発。残る3割はシールドを割って突破。
元素硬化壁に被弾。
第一壁、第二壁、全壊。しかし、【奈落の種子】の運動エネルギーは大幅に削ぎ落とされている。
防ぎ切ったぞ。
僕の体で受け止めて、防ぎ切ったぞ。
どうだ、シュトルム。これが僕なりの答えだ。
僕にしか出来ないことがある。
それを使って、僕は世界を作り変える。
『……フラスフィン、後の始末は頼む』
何十発もの【奈落の種子】を受け止めた代償は、大きかった。
痛みと衝撃に意識を持っていかれた僕は――その場にゆっくりと倒れた。
●ステータス
名前:カーン・オケ
本名:佐藤孝一
LV:1
性別:男性
種族:人工闇竜・成体
職業:無職
HP:692
MP:267
SP:572
STR:602
VIT:498
DEX:185
INT:125
AGI:356
LUK:112
称号:古代兵器級
装備:対魔殺戮剣・超絶限界加速式+++封印形態(封印解除)
所持品:雷電器官、奈落の種子、元素硬化爆弾など
スキル:存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、竜の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、思考超加速、無限加速宇宙、未来集約、主人公交代、幼き日の光、AaE開花進化
存在ストック:リスタルサーク、リスタルサーク、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース
存在ストック上限:8/50
パーティ:【安らかなる旅路】に所属
パーティメンバー:フェリス、エミル、イリシャ、セイル、フラスフィン