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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第二章:棺桶の就職
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60話:切り札はお互いに隠し持つ


「1本! カーンの勝利デス!」


 勝負後半のやりとりはあまりにも高速すぎて、第三者の目からしてみると意味不明だったに違いない。

 案の定、観客のイリシャはポカーンとしていた。


「え……勝っちゃったわよ」

「勝ったな」

「うむ」


 セイル先生とフェリスが同調する。


「治療時間デス!」


 1本目の勝負が終わったので、治療時間に移行した。

 シュトルムはシロガネ大臣の回復魔法で傷を塞ぎ、僕はフラスフィンさんに回復して貰った。


 治療中の僕にイリシャが尋ねる。


「ちょっと、何がどうなってるのよ!」

「ハチだ」

「ハチぃ?」


 シュトルムが有するスキル――【肉体高熱化】、【集合知性】、【肉体分離】、【肉体遠隔操作】。

 どれも、ハチの群れが持つスキルだ。


 ハチを個体として見るのではなく、群集合知性として解釈すればこその発想だった。そしてその推測は、当たりだったわけだ。


「シュトルムの正体はハチの群れだ」

「騎士の精霊なのに!?」

「騎士の精霊なのにだ」


 シロガネ大臣から回復魔法を貰いながら、シュトルムが告げる。


「よく気づいたな」

「経験と勘から導き出した、ただの推測だ」

「推測でも真実に辿り着ければ良いのではないか?

 ――察しの通り、余の進化元はハチの群れだ。

 余は進化の風に導かれ、騎士の精霊の域まで進化した。この甲冑はハチのコロニーであり、外殻でもある。

 しかし、まさか初見で見破られるとは思わなかったぞ。フラスフィンの入れ知恵か?」

「いや。我輩は【鑑定】に類似したスキルを持っている。【鑑定】に類似したスキルで陛下のスキルの名前を見て、正体を推測しただけだ」


 シュトルムは「ハハッ!」と笑った。軽快な笑いだった。


「スキルだけ見て正体に気づくとは、面白い奴! だが、2本目はやれないな。

 ――シロガネ! 【置物】をどう思う!」

「結界は最早意味を成しておりません。もう【置物】は解除してもよろしいかと存じます」

「シロガネ大臣の許可が出たぞ。【置物】の時間は終わりだ!」



 シロガネ大臣が杖をかざして魔法を発動する。

 白い光がシュトルムを包み込む。と同時に、パキン、と音を立てて、シュトルムの魔力が割れた。




 シュトルムが、玉座から歩き出す。




 そうだった。

 シュトルムは、さっきの勝負では()()()動いていない――。



 僕は【未来集約ギャザーフューチャー】でシュトルムのステータスを再確認した。



 ピコン。


『ステータス

名前:シュトルム・ザイナー

LVレベル:99

性別:男性

種族:騎士の精霊

職業:国王

生命力:985

魔力:721

活力:827

筋力:955

敏捷性:875

運:25

装備:【貪欲の黒剣(ニーグルムエフシオ)

スキル:挑発、闘気制御、覇王闘気、外殻超強化、内殻超強化、毒耐性、暗闇耐性、火属性耐性・強、地属性耐性・強、光属性耐性、闇属性耐性、疾走撃、肉体高熱化、針突、斬波、竜斬波、覇王竜斬波、命之絶、並列発動、思考超加速、集合知性、肉体分離、肉体遠隔操作、異次元収納LV10

称号:竜殺し、国王』




 これは……ステータスが上がっている? しかも、スキル欄からは【領土守護結界】が削除されている。




 ああ、そうか。

 僕は何となく気づいた。

 【置物】という付与エンチャントは、ステータスを引き下げる代わりに、【領土守護結界】を強制的に獲得させる特殊な付与エンチャントなのだ。




 ゲージを見やる。

 僕とシュトルムの各種ゲージ類はMAX。

 お互いに万全の状態だ。


 しかし、これで勝てるとは思えない。僕はフェリスさんとエミルちゃんから『切り札』を借りることにした。





 数分後。

 コルバットが治療時間の終了を宣告する。


「治療時間終了! 2本目の勝負に入りマス! 決闘、開始!」


 2本目の勝負が始まった、次の瞬間。

 シュトルムは目にも留まらぬ速度で僕に突っ込んできた。


 【思考超加速】、オン!


 間一髪で【思考超加速】がオンになり、世界がスローモード状態で見えるようになる。


 シュトルムが黒剣で前方を薙ぎ払う。

 僕は棺桶特有の重量でその場で踏ん張り、リスタルサーク2本で黒剣を受け止めた。


 ――バキィッ!


「なっ!?」


 リスタルサーク2本が折れた。



 ()()()()。今は【思考超加速】状態だ。考えてから行動しても十分に間に合う。



 折れたリスタルサークを魂の内部に戻し、咄嗟に防御行動に移る。

 両腕をクロスさせ防御するも、黒剣の斬撃によって僕のHPゲージが3割削れた。



 一撃で3割減少か。やるな。



 折れたリスタルサークの回復には時間を要する。

 多分、もうこの決闘中にはリスタルサークは使えないだろう。


 僕は床を蹴って天井近くにまで飛翔すると、先ほどフェリスさんから借りた剣――デモンスレイヤーなんとかフルスロットル(余りにも名前が長すぎるので省略する)を異次元から取り出し、装備した。


 ふと思うところがあり、試しに天井から僕の体液をしゅっと零す。


 シュトルムは黒剣の刀身で強酸体液を防ぎ、吸収した。


 ふむ。思考能力はそのままか。

 一瞬、地球の『ラストファンタジー』に出てくる状態異常【バーサーク】みたいな効果が発動したのかと思った。【バーサーク】がかかったキャラは思考が停止して敵をひたすら攻撃し続けるようになるわけだが、様子から察するに、シュトルムは【バーサーク】の類にはかかっていないようだ。ちょっと安心した。


 【思考超加速】をオフに切り替える。

 【思考超加速】は便利だが、オンにし続けるとSPゲージが急速に減少していく。そのため、こまめにオンオフを切り替える必要があった。



 シュトルムは【貪欲の黒剣(ニーグルムエフシオ)】を乱暴に床に突き刺すと、僕に向けて語り始めた。


「この国を背負って立つ気概を持つ貴様には、特別に昔話をしてやろう。

 ――勇者の話だ」





●ステータス

 名前:カーン・オケ

 本名:佐藤孝一

 LV:1

 性別:男性

 種族:人工闇竜・成体

 職業:無職

 HP:692

 MP:267

 SP:572

 STR:602

 VIT:498

 DEX:185

 INT:125

 AGI:356

 LUK:112

 称号:古代兵器級

 装備:リスタルサーク、リスタルサーク

 所持品:雷電器官、奈落の種子

 スキル:存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、竜の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、思考超加速(NEW!)、無限加速宇宙、未来集約、主人公交代、幼き日の光、AaE開花進化

 存在ストック:リスタルサーク、リスタルサーク、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース

 存在ストック上限:8/50

 パーティ:【安らかなる旅路】に所属

 パーティメンバー:フェリス、エミル、イリシャ、セイル、フラスフィン


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