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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第二章:棺桶の就職
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59話:進化の風


 僕は生前に有していた知性と記憶の大半を回収することに成功した。


 まだ回収できていない記憶はあるが、十分だろう。


 重要なのは、僕が今、何者であるかだ。


「進化か」

「進化だ」


 シュトルムの問いに僕は答える。 

 【未来集約ギャザーフューチャー】、オン。【進化の風】の機密を開示せよ。


 ピコン。


 機密を取得した僕は、語る。


「【進化の風】はフラスフィンが有する生物兵器。

 この生物兵器は、生物が保有する遺伝子、共生菌、微生物、細胞などに物理的に作用して強制進化を引き起こす。

 【進化の風】が作動する条件は、宿主の感情の喚起。原住民並びに地球人と原住民の混合種の微小管内に存在する【浮上する(インフレーション)(ライト)】が活性化することによって、ウィルスの活動スイッチがオンに切り替わる。

 このウィルスは、活性化した【浮上する(インフレーション)(ライト)】を捕食し、エネルギー源とすることで、効果を発揮し、段階を追って己の作用を増大させていく。

 効果範囲は世界一つ。この生物兵器がもたらす作用により、僕は強制的に進化させられてきた」

「――何?」




 ピコン。


『熟練度が100に達しました。

 スキル【思考超加速】を獲得しました』




 このスキルをようやく獲得できたか。思考をハムスターの如く超高速回転させていた意味と価値はあったようだ。


 物理パッシブスキル【思考超加速】、オン。


 途端、目に映る万物の速度が低下した。ゲームをやっている最中にスローモードに切り替えたような感覚に陥る。


 思考のみが超加速している状態で、僕はフラスフィンさんに尋ねる。


『この状態で僕に勝ち目はあるか?』

肯定イエス。勝ち筋が16種類存在します』


 思考超加速状態でもフラスフィンさんは平気で付いて来られる。僕の将来の嫁は僕以上に頼もしい。


「【思考――超――加――速】を――獲得したか」


 シュトルムもまた【思考超加速世界】を所持している。思考超加速の世界に入門してきたシュトルムの言葉が遅れて再生された。



 シュトルムは想像以上に手強い相手だ。

 【貪欲の黒剣(ニーグルムエフシオ)】の回復量は微々たるものだが、剣に触れただけで回復するという現象が心理的抵抗となって立ち塞がる。よって、相対するこちらは近接戦闘に躊躇いが生じる。

 だからと言って、距離を取って魔法を撃とうにも、【覇王闘気】で反射されてしまう。


 では、どう攻略すればいいのか?

 僕の答えはシンプルだ。相手が回復するよりも早くHPゲージを削ればいい。


 【雷電器官】でフルパワー発電。パッシブスキル【自己電気制御】、オン。【雷電器官】から発せられた電気が僕の体内を駆け巡る。


 電気を人工筋肉と人工神経に集中。『パンター×パンター』の物真似だ。筋肉と神経に電気を集中させることで、一時的に凄まじい瞬発力と脊髄反射能力を発揮させる。


 やれないことはないはずだ。

 なあ、人工闇竜。継ぎ接ぎだらけの僕のボディよ。



 この勝負、2発で決める。



 床を蹴る。自己電気制御で一時的に強化された瞬発力と脊髄反射能力を活かし、一気に懐に入る。


 シュトルムが【貪欲の黒剣(ニーグルムエフシオ)】を振り上げる。


 遅い。


 僕はリスタルサークの刀身を前に突き出した。


 一発目、体表面に思い切り突きを入れて甲冑に微かなヒビを入れる。【外殻超強化】と【覇王闘気】の影響で防御力は上昇しているが、こっちも【闘気制御】と【電気制御】と進化で威力は底上げしている。


 ――ガ、キ、ンッ。


 金属音が遅れて反響する。

 ヒビしか入らなかった。だが、十分だ。


 次。増幅した電気をリスタルサークの刀身先端部に集中させ、二度目の突きを放つ。

 目標は、ヒビを入れた箇所。


 僅かなヒビに剣を突き刺し、こじ開ける。恐れず踏み込み、刀身を更に奥へ。



 刀身を伝わる電撃がシュトルムの甲冑内部に入り込んだ瞬間、シュトルムのHPゲージが一気に削り取られ、1割以下に減少した。



 【思考超加速】、オフ。



「ぐっ――」


 僕が後方に飛翔すると同時、シュトルムがその場に膝を突いた。


 焼け焦げたような匂いが立ち込める中、やはりそうか、と僕は思った。


 シュトルムの正体は――ハチの群れだ。



BC兵器って怖いですね。




●ステータス

 名前:カーン・オケ

 本名:佐藤孝一

 LV:1

 性別:男性

 種族:人工闇竜・成体

 職業:無職

 HP:692

 MP:267

 SP:572

 STR:602

 VIT:498

 DEX:185

 INT:125

 AGI:356

 LUK:112

 称号:古代兵器級

 装備:リスタルサーク、リスタルサーク

 所持品:雷電器官、奈落の種子

 スキル:存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、竜の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、思考超加速(NEW!)、無限加速宇宙、未来集約、主人公交代、幼き日の光、AaE開花進化

 存在ストック:リスタルサーク、リスタルサーク、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース

 存在ストック上限:8/50

 パーティ:【安らかなる旅路】に所属

 パーティメンバー:フェリス、エミル、イリシャ、セイル、フラスフィン



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