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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第二章:棺桶の就職
142/240

58話:世界を搾取する者

精神的にショッキングかもしれないシーンが多分に含まれます。


 ピコン。


『人工闇竜・成体に進化します。

 成体進化記念、特別措置実行。進化用養分として消費する項目を選択して下さい』



 おや。進化の時間だ。

 成体進化記念として、進化用養分として使う項目が選択できるようになったらしい。

 メニューを開いてみよう。



『ステータス

 名前:カーン・オケ

 本名:佐藤孝一

 LVレベル:10

 性別:男性

 種族:人工闇竜・成長体

 職業:無職

 HP:517

 MP:257

 SP:472

 STR:481

 VIT:398

 DEX:225

 INT:355

 AGI:256

 LUK:297

 称号:人殺し、忍耐の精神、守護の精神、巨乳美女を警戒する、古代兵器級、地雷屋さん

 隠し称号:神帝から観察されている

 装備:リスタルサーク、リスタルサーク

 所持品:雷電器官、奈落の種子

 スキル:存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、鼻伸ばし、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、無限加速宇宙、未来集約、主人公交代、幼き日の光、AaE開花進化

 存在ストック:リスタルサーク、リスタルサーク、ピノッキオンズ・アビスアース、ピクシー・アビスウィンド、スライム・アビスウォーター、スライム・アビスアース、クラッツバイン、ザンダーバイツ、ケトゥアローウァ、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース

 存在ストック上限:13/50

 パーティ:【安らかなる旅路】に所属

 パーティメンバー:フェリス、エミル、イリシャ、セイル、フラスフィン

 隠し効果付与:神帝の観察』



 どの項目を進化用養分に変換しよう。


 レベルは10から1にしよう。再びレベルを上げていく楽しみがある。


 サラマンダーに代表される精霊種は、【精霊魔法】を使う上で必要になるので残しておく。


 ピノッキオンズ・アビスアースとピクシー・アビスウィンドとスライム・アビスウォーターとザンダーバイツとケトゥアローウァを進化用養分に変換するか。彼らと同化して得たスキルはそのまま残しておく。


 スキルは、【鼻伸ばし】を養分に変換しよう。


 隠し効果と称号も進化用養分に変換するか。ヘイ、フラスフィンさん、隠し効果と称号も進化用養分に変換できるの?



 ピコン。


肯定イエス。可能です』



 フラスフィンさんが答えてくれたので、躊躇なく隠し効果と称号を養分に変換する。


 すっ……。

 僕に纏わりついていた魔力が消えたような感触が魂の上を走った。



 こんなもんかな。

 進化しまーす。



 緑の風にしてフラスフィンさんの魂の一部である【進化の風】に包まれ、僕は光の繭に包まれた。


「うひゃっ! 何事デスカ!?」

「進化だ」

「おお! 進化か!」

「カーン様に翼が――」

「幾ら何でも成長早すぎない!? この成長速度、異常よ!」

「ほうほう。興味深いですね」


 パーティメンバーや審判が騒然とする中、僕の魂は闇に落ちていく。


 闇?


 僕は一瞬、ぞっとした。


 なぜだ。進化とは上昇ではなかったのか?



『拾い上げなさい。自分の記憶を』



 僕は疑問に感じながらも、フラスフィンの声に導かれるまま、闇の大海を潜り続ける。



 光の中から暗闇の中に落ち、落ちて落ちて落ちて、底に手を伸ばす。



 記憶の闇の海で、僕は遂にそれを拾い上げた。

 それを拾い上げた瞬間、僕の魂に地球の記憶が逆流してきた。










 ――ああ、またか。

 僕は、勘違いをしていたことを悟った。








 僕は、バラバラだった。







 今生を生きてきて、何度か疑問に思ったことがある。

 僕はあまりにもバラバラな記憶を持っている。なぜここまで一貫性が無く、脈絡が無いのか。

 僕を見た誰もが口を揃えて言うだろう。矛盾している。一貫性が無いと。



 ある時は食品会社の営業員。

 ある時は結婚詐欺師に騙された男。

 ある時はハーレム拒否を信条として掲げる者。

 ある時は宗教家。

 ある時は無垢な少年。

 ある時は無慈悲な死を与える者。

 ある時はゲーマー。

 ある時はハッカー。

 ある時は狙撃兵。

 ある時はドローン兵。

 ある時は地球を何度も救った英雄。

 ある時は狂言回し。 

 ある時はどこにも居場所の無い人間。






 それらの記憶は、生前の僕が瀕死の重傷を負う度に移植されたものだ。




 バラバラな記憶の正体は臓器に宿る記憶であり、転生時に混在し、一緒くたになってしまったもの。

 それらの記憶全ては嘘偽りでもなければ矛盾でもなく、事実であり、真実だった。



 僕はなぜ【奈落の種子(アビス・シード)】に汚染されないのか。

 答えはシンプルだった。生前に【奈落の種子(アビス・シード)楽園の種子(エデン・シード)】を移植されていたためだ。

 元から汚染され切っている人間に改めて【奈落の種子(アビス・シード)楽園の種子(エデン・シード)】を寄生させても種子の特性が発現しない。フラスフィンさんが言った「地球の魂は【奈落の種子(アビス・シード)】に汚染されません」とは、そういう意味だったのだ。




 僕はバラバラだ。


 ある時は食品会社の営業員。

 ある時は結婚詐欺師に騙された男。

 ある時はハーレム拒否を信条として掲げる者。

 ある時は宗教家。

 ある時は無垢な少年。

 ある時は無慈悲な死を与える者。

 ある時はゲーマー。

 ある時はハッカー。

 ある時は狙撃兵。

 ある時はドローン兵。

 ある時は地球を何度も救った英雄。

 ある時は狂言回し。 

 ある時はどこにも居場所の無い人間。




 それら全ての記憶を持つ人間。

 地球の管理者の血を引く凡人が【奈落の種子(アビス・シード)楽園の種子(エデン・シード)】を移植され、無理やり兵士に仕立てあげられ、何度も何度も敵地を工作・爆破・爆撃しては各勢力から危険視され、幾度と無く暗殺されかけた人間。

 あまりにも体を切り刻まれ、手や足や腕や臓器を失い、多くの人間の臓器を移植され、血を注入され、何度も何度も何度もそれを繰り返し、痛みと恐怖のあまり、精神が幼児退行化した人物。



 その人物は超人でもなければ天才でもない。

 超人は、体を切り刻まれても痛みを克服し、任務を完遂する。

 天才は、体を切り刻まれても痛みを耐え抜き、任務を達成する。

 凡人は、体を切り刻まれすぎた末に痛みに耐え切れず、安らかな死を選ぶ。


 ありきたりな凡人。

 凡人代表。


 テラ・コンダクトの管理者が愛人に生ませた、【奈落の種子(アビス・シード)楽園の種子(エデン・シード)】移植用の実験体4番。与えられた仮の名前は、佐藤孝一。



 あまりにも弱すぎるがために、他の存在を取り込まなければ生きていけない存在。



 僕はようやく、生前の僕が何者であるのかを思い出した。



 自己の定義は更新された。



 僕のコードは極めて利己的だ。自分の良心が痛まないために子供たちと世界を守る。自身を裏切らない相手を花嫁として選ぶ。安らかな死を迎えるために動く。

 全て利己的だ。これを利己的と言わずして何と呼ぶのか?


 生前叶わなかった願いを叶えるためだけに転生した凡人。

 剥き出しになった世界に対して、抑圧され続けた自我を解放した醜悪な存在。



 僕はそれを口にした。



「僕は、そういう人間だ」



 そうとも。

 僕はこの世界を搾取するために生まれてきた。





 僕は、侵略的外来種ちきゅうじんだった。






 闇が渦巻く記憶の大海から浮上し、僕は光に浮上する。


 全ては、光を手にするために。


 薄光が魂を満たし、僕は現実世界に帰還した。


 視界に表示されるメニューには、下記の文章と数値が記載されている。



『ステータス

 名前:カーン・オケ

 本名:佐藤孝一

 LVレベル:1

 性別:男性

 種族:人工闇竜・成体

 職業:無職

 HP:692

 MP:267

 SP:572

 STR:602

 VIT:498

 DEX:185

 INT:125

 AGI:356

 LUK:112

 称号:古代兵器級

 装備:リスタルサーク、リスタルサーク

 所持品:雷電器官、奈落の種子

 スキル:存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、竜の飛翔(NEW)、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、無限加速宇宙、未来集約、主人公交代、幼き日の光、AaE開花進化

 存在ストック:リスタルサーク、リスタルサーク、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース

 存在ストック上限:8/50

 パーティ:【安らかなる旅路】に所属

 パーティメンバー:フェリス、エミル、イリシャ、セイル、フラスフィン』



 レベルを養分に変換したせいか、ステータスが変動している。DEXとINTとLUKが大幅に低下したようだ。


 しかし、中には上昇しているステータスもある。どうやら進化するとステータスが増減するものらしい。


 おや? 背中に違和感がある。背中に意識を集中すると、何やら動くではないか。

 


 ぐぐっ、と力を込めて、解放する。

 背中に生える何かが、思い切り広がった。




 翼だ。

 翼が生えてきたのだ。




 ――ありがとう。これで、()()()()()()()()()()()




 僕は、体内の電気を増幅させた。



進化おめでとう……? と言っていいのでしょうか。作者も困惑する主人公の境遇。




●ステータス

 名前:カーン・オケ

 本名:佐藤孝一

 LV:1(NEW!)

 性別:男性

 種族:人工闇竜・成体

 職業:無職

 HP:692

 MP:267

 SP:572

 STR:602

 VIT:498

 DEX:185

 INT:125

 AGI:356

 LUK:112

 称号:古代兵器級

 装備:リスタルサーク、リスタルサーク

 所持品:雷電器官、奈落の種子

 スキル:存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、竜の飛翔(NEW)、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV10、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、治癒、マグマシールド、サンダーシールド、強酸化、表面体液、水圧波、自己電気制御、マグマプロージョン、サンダーストーム、リフレッシュヒール、合体、集束太陽光、スキル交換、スキル譲渡、異次元収納LV10、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、無限加速宇宙、未来集約、主人公交代、幼き日の光、AaE開花進化

 存在ストック:リスタルサーク、リスタルサーク、スライム・アビスアース、クラッツバイン、サラマンダー・アビスファイア、ウンディーネ・アビスウォーター、シルフ・アビスウィンド、ノーム・アビスアース

 存在ストック上限:8/50

 パーティ:【安らかなる旅路】に所属

 パーティメンバー:フェリス、エミル、イリシャ、セイル、フラスフィン


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