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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第二章:棺桶の就職
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ミゼルローン視点:明るいノリの水竜神地竜神パーティ

三人称視点(ミゼルローン視点寄り)の話です。


「グラムグレイズはいるかぁーっ!」


 ウラグルーンを支える巨大地下空洞にミゼルローンの声が響き渡った。


 先日の一件により、ミゼルローンはフラスフィンの時間遡行に逆介入した。完全な無効化こそ出来なかったが、フラスフィンの時間遡行を1日ずらすことに成功した。


 これは失敗ではない……成功だ。ミゼルローンは発想を転換したのだ。そうとも、これは嫌がらせとしては成功の部類だ。しかし嫌がらせを貫徹するにはまだ足りないものがある。


 それは他者の助力である。

 この時代はミゼルローンのホームグラウンドだ。ミゼルローンは内心、にやにや笑いが止まらなかった。


(くっくっく、フラスフィンの計算を狂わせてくれようぞ!)


 世界を破壊するなど勿体ない。生物育成ほど楽しいものはないのだ。


 そうこうする内に、グラムグレイズが姿を現した。


「なにかしら~?」


 地の元素が瞬き、グラムグレイズが人間型の乙女として顕現した。


 グラムグレイズはおっとり系の乙女である。ちゃんと神帝のローブも着ているので、常識もあった。


 ミゼルローンはビシッとグラムグレイズを指差した。


「貴様に頼みがある! カーンを真竜まにんげんとして育成する! そのために力を貸せ!」

「あらあら~。カーンっていうのは、噂のあの子のこと~?」


 カーンの活躍は神の間ではすっかり話題になっていた。

 いや、正確には活躍というより暴走――それも赤子の暴走である。その暴れっぷりは神々の間では要指導対象として映った。


「わたし、白蛇神の使徒に骨を奪われちゃったのだけれど~」

「カーンを育てて奪還させれば良い!」

「なるほど~。それは名案ね~」


 ミゼルローンはグラムグレイズの間延びした口調があまり好きではなかった。水属性が地属性に相性不利という事実も関係しているのかもしれない。


「まずはロミオンとジュリエンを蘇生させろ!」

「死者の蘇生は闇竜神の役目なのだけれど~、いいのかしら~?」

「地竜神も大して変わらん! さっさと蘇らせろ!」

「もう~、仕方ないわね~」


 グラムグレイズは人工輪廻機関【月】に保存されているロミオンとジュリエンの魂を引っこ抜き、地の元素を与えてこねこねした。


 こうして、ロミオンとジュリエンはスケルトンとして蘇った。


「やあ、ミゼルじゃないか」

「ご無沙汰しております。体調の方はどうですか?」

「スケルトンに心配されるほどなまってはおらんわ!」


 ロミオンとジュリエンはエルフである。いや、元エルフのスケルトン、と言った方が正しいだろう。

 骨と化したロミオンとジュリエンだが、心配は要らない。ロミオンは魔剣使いであり、ジュリエンは精霊魔法使いである。スケルトンとなった今もその力は健在だ。ちなみにスケルトンに衣服は存在しないので、すっぽんぽん扱いである。


「ここから先はどうするの~?」


 ミゼルローンはニヤリと笑った。


「決まっておる! カーンの特訓だ!

 ほれ、パーティ要請だ! 参加しろ!」

「相変わらず強引ねぇ~」

「うんうん、こういうトコは変わらないよね」

「人格面にお変わりが無いようで、安心しました」

「えーい、だまらっしゃい! さっさと参加せんか!」



 ピコンピコンピコン。


 ミゼルローンのパーティ【カーン育成大作戦】に グラムグレイズとロミオンとジュリエンが くわわった!



「闘気解放! 全力☆全開! 行くぞ、我らが地上へ! ゴー☆ゴゴー!」


 その後に待ち受ける踏んだり蹴ったりな展開もいざ知らず、ミゼルローンはパーティメンバーと共にノリノリで地上に向かうのだった。




今から特訓しても間に合わない気がしますが、ミゼルローンはやる気のようです。

次回は三人称視点(白蛇神第二使徒と第一使徒視点寄り)の話になります。


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