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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第二章:棺桶の就職
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46話:てんぷらうどん


美味うまい!」


 僕たちはセイル先生の部屋にお邪魔して、料理を平らげていた。


 艶やかな木造テーブルの上に並ぶのは、山菜てんぷらと温うどんだ。


 山菜てんぷらは、【結晶花】やウド、マイタケ、タラの芽、さつまいもを揚げたものだ。箸を使って山菜てんぷらを口に運ぶ。


 ウドやマイタケなどは地球産のそれと同じ味わいだった。ああ、懐かしいこの感じ。悪くない。


 続いて【結晶花】のてんぷらを食べてみる。日本にはこのような食材は無かったが、どうだろうか。


 パリッ。


 てんぷら特有の歯ざわりに続いて、爽やかな風味が口中に広がる。食感はタラの芽に似ているが、氷雪の清々しさをプラスしたような感覚をもたらしている。


 てんぷらと言うと油っこさを思い浮かべるが、この爽やかさはどうだ。油とは無縁、いや、正反対だ。くどくない。油っこさを中和し、新境地を切り開いているではないか。


 爽やかさと油っこさがお互いに補い合っている。奇跡的なバランスで成り立った料理だ。


 箸とうどんが出てきた時は異世界の中世要素を疑問視したが、最早それは関係ない……。美味しいものは正義なのだ。


 次はうどんだ。遥か東の【華桜国】から伝わったとされるうどんは、日本のうどんとほぼ同じ製法で作られたものだが、中々どうして新鮮味を感じる。窓の外の雪景色を見ながらの温うどんとは、風情があるではないか。


 この料理を作ったのはスライムたちだ。西洋スライムと東洋スライムに感謝しよう。


「そろそろ本題に入ってはどうかね」


 華桜国産の酒をちびちびとやりながら、セイル先生が告げる。


 畳の上で正座しながら、フェリスさんはばっさりと言った。


「あなたこそが【性異の仮面】を作った錬金術師、セイル・ラザム殿でよろしいか」


 そう言って、フェリスさんはテーブルの上に仮面を差し出した。エミルちゃんが普段被っている例の仮面だ。


 セイル先生は仮面を一瞥するや、己の髭を撫でた。


「まさか今になってこいつを目にするとはな」


 イリシャは「あっつ!」と言いながらうどんを啜っている。エミルちゃんは箸の使い方が分からないようだったので、僕が使い方を教えることとする。


「随分と昔の作品だ。こいつが役に立ったとは思えんが」

「いえ、そんなことはございません。身分を隠す上でこれほど役に立つものはありません」


 【性異の仮面】とは、装備した者の身分を隠すという効果が付与エンチャントされた仮面だ。フェリスさん指示の下、エミルちゃんはこの仮面を装備して身分と性別を隠していた。


 竜人族の額に嵌まっている竜眼石は非常に目立つ。中でもリレイン王族特有の黄金竜眼石は格段に目立つので、身分を隠せる仮面を装備する必要があった。


 実際、エミルちゃんを初めて見た時に、僕の認識をずらす程度の効果は発揮している。


 しかし、この仮面はセイル先生も言う通り、昔に作られた作品だ。付与エンチャントのレベルも低く、強大な魔法使いや使徒にはすぐに看破されてしまう。


 まあ、そこは大して問題は無い。重要なのは、セイル先生が【古き救済(オールドメサイア)】で勇者活動をしていた際に、この仮面がリレイン国王族に奉納されたという事実だ。


 すなわち、この仮面を持ち得るのはリレイン国王族……あるいは王族を殺害した者しかいないというわけだ。


 僕らの前で、セイル先生は仮面を没収してしまった。エミルちゃんは若干名残惜しげにその様を見ていた。


「こいつを表に出されるのは恥だ。回収させて貰う」

「う、うむ?」


 さすがに、即座に仮面を回収されるとは思わなかったのだろう。フェリスさんはうろたえていた。


「セイル殿。勝手に回収されては困るのだが」

「元々は私の物だ。代わりと言っては何だが、新しい品を用意しよう。私に出来る範囲で、という条件付きだがね」


 ここだ。

 介入可能なポイントを見つけた僕は、セイル先生に取引を持ちかけた。


「フェリスとエミルの【竜眼石】を取り出して、専用の武具を合成してはくれないか」

「!?」


 フェリスさんがぎょっとした表情で僕を見つめた。





●ステータス

名前:カーン・オケ

本名:佐藤孝一

LV:1

種族:人工闇竜・成長体

職業:無職

称号:人殺し、忍耐の精神、守護の精神、巨乳美女を警戒する、古代兵器級、地雷屋さん

隠し称号:神帝から観察されている

スキル:存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV5、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、異次元収納LV10、鼻伸ばし、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、無限加速宇宙、未来集約

存在ストック:リスタルサーク、リスタルサーク、ピノッキオンズ・アビスアース

存在ストック上限:3/30

パーティ:フェリスのパーティに所属

隠し効果付与:神帝の観察


  スキル      発想値

『《スキル交換》  50/100』

『《スキル譲渡》  50/100』


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