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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第二章:棺桶の就職
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44話:お陰様で人工闇竜・成長体になれました。


 ここで一つお伝えしなければならないことがある。


 この世界の【魔物】の正体は、白蛇教団が放った【奈落の種子(アビス・シード)】に寄生された生物だ。

 実は【奈落の種子(アビス・シード)】は元素や時間や空間にも寄生してしまうが、説明がややこしいので、ここでは生物に寄生するということにしておく。


 【奈落の種子(アビス・シード)】に身も心も支配され、人を襲うようになった存在……それが【魔物】なのだ。



 ヴァラド国を外敵から守っている【領土守護結界】は、白蛇教団の使徒の侵入を跳ね除けるぐらい強力だ。しかし、害意を持たないものを受け入れてしまう性質を持っている。【奈落の種子(アビス・シード)】は単なるアイテムだ。なので【奈落の種子(アビス・シード)】は受け入れてしまう。



 例えば、うっかり【奈落の種子(アビス・シード)】に寄生されてしまったヴァラド国の民がヴァラド国領土内で成長した場合、人を襲う【魔物】となる。ヴァラド国内で発生した魔物が何をしでかしても内乱扱いとなるため、外敵を排除するための【領土守護結界】は通用しない。



 なんて面倒くさい設定なんだ。僕が全部吹き飛ばしてやろう。



 【竜眼石の杖】よ。叡智を貸してくれ。




 僕はこの世界を何も知らない。

 この世界をこの世界たらしめるものを確証できずに今ここに至る。



 未来は見えるが、現在は見えない。

 この世界での僕は、知識ばかりが先走る若造だ。



 経験したい。色々なことを体験して、成長したい。

 この世界を、体験したい。



 子供を悲しませるような真似はしたくない。

 頼む。無垢なる意志を――希望を守れる力を、貸してくれ。




 ピコン。


『進化の風が吹きました』

『カーン・オケが進化します。カーン・オケの存在の一部を進化用養分に変換します』



 僕の体を光の繭が包み込む。

 本来の僕から存在の一部が養分に変換され、進化する。


 杖に嵌めこまれた竜眼石が黄金に輝いた。


 魔力が流れ込んでくる。膨大な魔力が。


 黄金の輝きの中で、未来の僕は宇宙をその手に収めることに成功した。



 1/10000サイズの【無限加速アクセルコスモス】だ。



 制御に失敗しているので、周囲の【風の元素】と反発して稲妻が迸っている。


 しかし、これで十分だ。


 僕には未来が見えている。未来によると、エミルはトウマが守るそうだ。


 トウマ! 至近距離での守りは任せたぞ! 僕は僕なりの方法でエミルを守る!


「【無限加速アクセル――」


 狙いは100キロメートル先だ。


 右の手の平に発生させた加速宇宙に魔力を注ぎ、闇にめがけて発射する。


「――宇宙コスモス】!」



 一条の光が夜闇を貫いた。

 加速宇宙の光は眼前の【クリスタルゴーレム・アビスアース】と、()()()()()()()()()()()()100キロメートル先の【スナイプラント・ビトレイアルリレイティブ】を消し飛ばし、領土守護結界に穴を空けた。



 闇を照らす光。

 未知のスキルを目にして、イリシャが興奮を露わにする。

 

「なに、今の!? 【加速元素線エレメント・レイ】なの!?」

「いや、【加速元素線エレメント・レイ】とは特徴がまるで異なる。未知のスキルだ」

「これが未知のスキル!」


 未知の光を前にしてイリシャの瞳に星のような輝きが灯る。

 しかし、さすがの賢者ルート最終形態ファイナルフォームも【無限加速宇宙アクセルコスモス】の発射には耐え切れなかったようだ。変神が解除され、僕は人工闇竜に戻っていた。



 十分じゅうぶんだ。

 よくやってくれた。ありがとう、他のルートの僕。



「カ、カーン殿」


 フェリスさんが驚いていた。

 何をそんなに驚いているんだ?


「貴殿――喋れたのか!?」

「え」


 あれ。本当だ。喋れるようになってる!

 ああ、そうか。さっき、進化の風が吹いたから進化したのか。


 ってことは、今の僕は【人工闇竜・成長体】なのか? ステータスをチラッと見る。



『ステータス

名前:カーン・オケ

本名:佐藤孝一

LV:1

種族:人工闇竜・成長体

職業:無職

称号:人殺し、忍耐の精神、守護の精神、巨乳美女を警戒する、古代兵器級、地雷屋さん

スキル:存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV5、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、異次元収納LV10、鼻伸ばし、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、無限加速宇宙、未来集約

存在ストック:リスタルサーク、リスタルサーク、ピノッキオンズ・アビスアース

存在ストック上限:3/30

パーティ:フェリスのパーティに所属』


 おお、成長体になっている! 存在ストックもとい人工冥界に溜め込んでおいた【ピノッキオンズ・アビスアース】のほとんどが進化用養分に回ったみたいだ。

 【リスタルサーク】が養分に変換されなかったのは、システムメッセージさんもといフラスフィンさんに意図されたものだろう。ありがとう、フラスフィンさん。お陰様で今後も二刀流が使えます。


 僕は納得すると、フェリスさんに答えた。


「今し方、喋れるようになった」

「おお、良かった! 良かったな、カーン殿!」


 フェリスさんが感動してぐりぐりと抱き付いてきた。鎧でゴリゴリ削られて痛い。でも、悪くはない気分だ。


 イリシャは僕の進化に感心したようで、目をぱちくりとさせていた。


「はー。成長期って面白いわね」


 何を言ってるんだ。君も数年後には成長期でしょうに。


 僕はフェリスさんを引き剥がすと、ずっと言いたかった言葉を伝えた。


「今後とも、よろしく頼む」


 こう改まって宣言すると、何だか照れるな。フェリスさんはごりごりと僕の手を握って物理的に削ってくるし、イリシャは興味津々と言った表情で僕を見渡している。


 僕は前に一歩進んだ。


 さあ、行くぞ! トウマばかりに任せてはいられない!


 


 そして――

 セイル先生は穴が空いた【領土守護結界】を一瞥して、ぼそりと呟いた。


「ヴァラド国の次期国王は決まったな」





●ステータス

名前:カーン・オケ

本名:佐藤孝一

LV:1(NEW!)

種族:人工闇竜・成長体(NEW!)

職業:無職

称号:人殺し、忍耐の精神、守護の精神、巨乳美女を警戒する、古代兵器級、地雷屋さん

隠し称号:神帝から観察されている

スキル:存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV5、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、異次元収納LV10、鼻伸ばし、地雷操作、ゲーマー魂覚醒LV2、無限加速宇宙、未来集約

存在ストック:リスタルサーク、リスタルサーク、ピノッキオンズ・アビスアース

存在ストック上限:3/30

パーティ:フェリスのパーティに所属

隠し効果付与:神帝の観察


  スキル      発想値

『《スキル交換》  50/100』

『《スキル譲渡》  50/100』


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