36話:哲学的問題『生後2日目の人工闇竜が10才児を泣かせたらDV(ドメスティック・バイオレンス)になるのか』
「決闘終了! 勝者、カーン!」
審判たるセイル先生が宣言し、決闘領域が消失する。
やっと決闘領域が解除された。なんとも面倒な代物だった。
空中で静止していた金属球体が動きを止め、落下する。セイル先生はそれをキャッチすると異次元に放り込んだ。
やっぱり便利だよなー、異次元収納。《未来集約》で最終形態になれば僕も使えるけど、それでは魅力が半減してしまう。
いつでも異次元にアイテムを収納できるという部分に魅力を感じるのだ。『いつでも』という部分が重要だ。
まあ、それはそれでいいんだ。《未来集約》のお陰で、《異次元収納》を持っている魔物の生息地にも目星がついたし。
問題は……
そう! 今まさにこの瞬間! この状況だ!!
僕は温泉でイリシャを泣かせてしまった! 咄嗟によぎる、DVの二文字!
――あー、いけないんだー! 人工闇竜・幼生体がエルフの娘を泣かせたー! 先生に言いつけてやろー!
小学校時代に流行った『密告の囁き』が僕の頭の中を踊る!
違うんだ、僕は生後2日目なんだ! そこのエルフの娘(10歳)より年下なんだ!
しかし客観的に見ると僕の方が大人に見えるという事実! これでは事案だ! 事情を知らない人から見たら犯罪現場だ!!
そう! 事情を知らないパーティメンバーが2名!! いるんです!!
その名もフェリスさんとエミルちゃん!!
2人は見計らったかの如く、ざばざばと温泉を泳いでこっちに向かってくるのであった!!
●ステータス(本来)
名前:カーン・オケ
本名:佐藤孝一
LV:1
種族:人工闇竜・幼生体
職業:無職
称号:人殺し、忍耐の精神、守護の精神、巨乳美女を警戒する、古代兵器級
隠し称号:神帝から観察されている
スキル:存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV4、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、ゲーマー魂覚醒LV2、無限加速宇宙(NEW!)、未来集約
存在ストック:リスタルサーク、リスタルサーク
存在ストック上限:2/8
パーティ:フェリスのパーティに所属
隠し効果付与:神帝の観察
スキル 発想値
『《スキル交換》 50/100』
『《スキル譲渡》 50/100』