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転生したら棺桶でした  作者: 半間浦太
第二章:棺桶の就職
104/240

34話:異世界転生者の使命

シリアス分多めです。


 イリシャの心境は僕に筒抜けだった。神だから出来る芸当だ。神は素晴らしい。


 しかしまあ、やれやれとしか言い様がない。


 イリシャが背負う背景は想像以上に悲惨で、しかし、微かに希望が残っていた。


 この希望を摘み取るような真似はしたくない。


 異世界転生者は何のために存在するのか?


 少なくとも、この世界を改造する必要があるのは確かだ。


 そのために僕を呼んだんだろう、()()()()()()



 ピコン。


最終形態ファイナルフォーム解除まで、残り時間60秒』



 やれやれだ。お互い、苦労するよな。




 最終形態が解除されたら、僕は幼生体に戻ってしまう。

 最終形態が解除されるまでの残り時間を使って、僕は闇竜神としての責務を果たすことにした。



 《未来集約ギャザーフューチャー》で未来地平を覗いてみる。

 未来地平に蓄積された知識によると――


 どうやら今生の僕は、実はヤドカリ系らしい。


 古代文明時代において甘い水を啜っていた人類どもが遺伝子改造したヤドカリが今生の僕なのだ。僕の棺桶は実はヤドカリの家だったのだ。


 古代人類め。遺伝子改造生物に頼るとは情けない。


 また別の未来を覗いてみると――



▼ アイドルルート 第122話 「決戦前のコンサート!」 ▼


 アイドルはブラックホールを生成できる。

 アイドルは銀河を背景バックに指定でき、ブラックホールをステージに指定できる。

 コンサート会場では、魚介類と甲殻類がサイリウムを振るっていた。

「みんなー! 元気ー!?」

 ステージの中央には、美少女もとい、永遠の若さを手に入れた華麗なる男の娘カーンが大音量フォノンを発していた

 魚介類と甲殻類が雄叫び(フォノン)をあげる――。

「僕も元気だよー! みんなー、一緒に生きよう! それじゃいきましょう、『絶滅一番☆純粋人間族ピュアヒューマン』!!」


▲ 閲覧終了 ▲



 なんだこれは。

 この世界の狂気を垣間見てしまった気分だ。僕はこのルートをそっと閉じた。



 真面目に対策を練ろう。



 他のルートの検索結果を見てみたところ、どうやら白蛇神というのはこの世界の《影》らしい。


 イリシャとエミルとトウマという少年が邂逅した時、「世界をもっと知りたい」という願望が加速し、彼女らは《真理に至る儀式》を始める。


 この儀式を実行した後、《影》が溢れ出し、時空を越えて世界中に拡散してしまう。


 時空を越えて世界に現れた《影》。これこそが白蛇神<リヴァルロード>の正体だ。


 世界をもっと知りたいという子供たちの願望に釣られて顕現した白蛇神リヴァルロードは、僕らを全力でブチ殺しにかかってくる。リヴァルロードは僕らに成り代わりたいのだ。もっと簡単に言ってしまうと、奴はこの世から希望という希望を全て摘み取り、世界を丸ごと絶望の海に沈めたいのだ。


 人が絶望したらどうなるのか? 自殺だ。白蛇神リヴァルロードはあらゆる生物を自殺させるために存在する正真正銘の邪神なのだ。


 その強さたるや、ハンパではない。白蛇神リヴァルロードは時空を越える上に、人間の欲望を逆手に取って利用する。奴は白蛇教団を設立し、使徒を生み出し、人間をレイス化させて世界を自殺に導く。

 この時点で厄介だが、本体も物凄く強い。



 純粋に、僕単体では勝てないのだ。



 例えば、今の僕が変神している錬金騎士最終形態は強い。とても強いのだが、残念ながらこのルートでの僕は使徒にやられてしまっている。


 錬金騎士ルートの未来を見てみよう。


 星剣《蛇使い座(オフィウクス)》を装備した白蛇教団・第一使徒《恐怖テラー》と戦う最中、スキル《魂削る刃(ソウルシェイバー)》を食らい、僕は魂をゴリッと削られてしまう。転生不可能なまでに魂を削られた僕はかろうじて転移ワープして逃れ、イリシャの下に辿り着く。

 倒れる僕。駆け寄るイリシャ。泣きじゃくるイリシャの頭を撫でて僕は死ぬ……という感じで、ある意味では有終の美を飾っていた。


 闇竜神とオーロラウェーバーの組み合わせでも白蛇教団の第一使徒には勝てないようだ。強い。というか星剣《蛇使い座(オフィウクス)》が完全に僕のアイデンティティを殺しにかかっている武器だった。


 星剣《蛇使い座(オフィウクス)》に宿っている一時貸与スキルは、《蘇生リバイブ》だ。《蘇生リバイブ》を使うと、僕の人工冥界から死者の魂を引っこ抜かれて勝手に蘇生させられてしまうのだ。

 これが何を意味しているのかと言うと、誰かが蘇生リバイブを使う度に僕のレベルとステータスがダウンし、スキルが削除されてしまうのだ。


 しかも白蛇教団の使徒は全員、《集魂》と《人工転生》を備えている。これもまた極悪なスキルで、この2つのスキルを併用すると、世界中の死者を勝手に転生させて自軍の手先として運用できてしまうのだ。まさにチートとしか言い様がない。


 星剣《蛇使い座(オフィウクス)》、《集魂》、《人工転生》。


 いずれも、人工冥界の持ち主である僕とは相性が悪すぎる。タイマンで戦ったら100%の確率で僕が負ける。


 白蛇教団め。僕を完全にメタってやがる。


 こんな連中と戦い、生き延びるには、一つの手段しかない。


 仲間と一緒に戦うのだ。


 今やハーレム拒否がどうのこうのと言っている場合ではない。

 仲間を集め、世界の危機を説き、戦力を拡充させ、国単位で白蛇教団に対抗しなければならない。

 白蛇教団の脅威を示す例として、錬金術ルートではこんな出来事が起きている。



▼錬金術ルート 第157話 「絶望」▼


 敵が生まれる前に敵を滅ぼす。


 その思想に基づいて設計されたのが、この《ブラックホール自動発生器》だ。


 このアイテムには特殊なセンサーが搭載されている。なんと、使徒がこの世界に出現した瞬間にブラックホールを勝手に生成してくれるのだ。


 こいつのブラックホールには敵味方識別効果が付いているので味方は巻き込まない。使徒だけを巻き込むのだ。


 画期的なアイテムだ! これなら使徒に勝てる!


「センサーに反応あり! 使徒、ウラグルーンに出現します!」


 パターン青とか言いたくなる場面だが、我慢だ。

 改造しまくってSFじみた研究所と化した学園に、イリシャ、エミル、トウマの声がこだまする。


「ブラックホール生成確認!」

「使徒がブラックホールに飲み込まれていくよ!」

「!? ダメだ、使徒が重力子グラビトン耐性を獲得している!」


 ば、馬鹿な! ブラックホールをぶち込んでるんだぞ!


 叡智の結晶たるブラックホールに耐性を得てしまうとは。

 僕たちはこんな化け物と戦わなければならないのか――!?



▲ 閲覧終了 ▲




 これだけで白蛇教団使徒の恐ろしさがよく分かる。


 使徒が出現した瞬間にブラックホールを打ち込んでも、使徒は重力子グラビトンに耐性を得てしまう。完全に物理法則を逸脱してるとしか思えない性能だ。


 更にその背後には最強のラスボスたる白蛇神リヴァルロードが控えている。こいつと渡り合えた12星剣(ゾディアック)ルートによると、白蛇神リヴァルロードは宇宙創世の爆発であるビッグバンにすら耐えるらしい。



 おいおい、どこまでパワーインフレさせるつもりだよ。もう闇竜神のパワーじゃ勝てねーぞ。闇竜神はただのノアの箱舟なんだぞ!!



 というわけで、僕はこれからこんな怪物モンスターどもと戦わなければならない。



 正直言って、異世界を舐めていたとしか言い様がない。



 マジでどうするよ? どうやって対抗するよ?




●ステータス(未来)

 名前:カーン・オケ

 LV:99

 HP:999

 MP:999

 SP:999

 STR:999

 VIT:999

 DEX:999

 INT:999

 AGI:999

 LUK:999

 装備:オーロラウェーバー

 スキル:闇竜神

 状態:未来集約・錬金騎士詩文、錬金騎士詩文最終形態



●ステータス(本来)

名前:カーン・オケ

本名:佐藤孝一

LV:1

種族:人工闇竜・幼生体

職業:無職

称号:人殺し、忍耐の精神、守護の精神、巨乳美女を警戒する、古代兵器級

隠し称号:神帝から観察されている

スキル:存在同化領域、自動翻訳、情報把握・強、火属性耐性、地属性耐性、味見、素材発見LV2、素材採取LV1、毒耐性、休憩LV1、傲慢LV2、同化存在解放、剣化、甲殻虫の飛翔、晶化斬、潜伏LV1、炎破、受け流しLV4、二刀流、熟練度把握、発想値把握、闘気制御、生物知識・基礎、ゲーマー魂覚醒LV2(NEW!)、未来集約

存在ストック:リスタルサーク、リスタルサーク

存在ストック上限:2/8

パーティ:フェリスのパーティに所属

隠し効果付与:神帝の観察



  スキル      発想値

『《スキル交換》  50/100』

『《スキル譲渡》  50/100』

『《???》   ???/100』

『《無限???》 25/100』

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