プロローグ
「きみにだけには言っておくよ。実はぼく……地球の人間じゃないんだ」
真剣な顔で荒唐無稽な告白をしてきたのは、どこからどう見ても平凡な少年にしか見えないヤツだった。とてもじゃないが、オレと同じ公立高校に通ってる地球人とは思えないし、思いたくもない。つーか、同じ高校に通ってること自体が恥だ。
「ふ~ん。そうなんだ」
だが、それくらいではオレは動じない。オレのハイレベルなスルースキルを持ってさえいれば、これくらいのバカ話、軽く流すくらい造作もない。
「理解するのは難しいと思うけど、要するにぼくは、きみたちの言葉でいう異星人、親しみやすい言葉で言うなら、宇宙人になるんだ」
そのとき聞こえるはずのない音を全身で感じた気がした。それは、その場のオレの空気が波のようにひいていく音。いわゆるドンぴきって状態。そう、オレは自称宇宙人に対して、哀れむような気持ちで胸がいっぱいだった。
「はいはい。すごいすごい」
「思ったよりも、驚かないんだね。安心したよ」
驚くなんてもんじゃない。驚きを通り越してあきれてるんだ。
よっぽどそのことを言ってやろうと思ったが、なんとか踏みとどまる。
相手の目が恐ろしくマジだった。
ああ、そうだ。こいつは空気が読めないヤツだったんだ。初めて会ったときも確かこんな感じだったな。
オレは目の前の人物――自称宇宙人を最初に目撃したときのことを思い浮かべる。