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青年少女  作者: 青月志乃
第1節 人生再出発
3/33

第3話夏休み開始!

夏休み!それは学生が長期の休みを満喫できる最高の年に2回の毎日日曜日タイム!!!!

海!プール!スイカ!夏祭り!花火大会!考えるだけでも楽しみすぎる…。

しかし…全学生を悩ませる分厚い壁がある。そう!膨大な数の『夏休みの宿題』である!!!!

なぜこんなにいっぱいあるの?夏休みなのになんで休ませようと思わないの?なんて思う人間がほぼだろう。もちろんわたしもそのうちの一人だ…。

ではどうしよう?

簡単な話で『俺』の知識を詰め込んだ脳みそをフル活用すればいい!!!…ズルい?いえいえわたしの持ちうるすべてを使用すれば『自力で宿題をした』事に変わりはない!!!

ということで退院祝いとして買ってもらった超高スペックパソコンで動画サイト「ぬーちゅーぶ」を開きヘッドフォンを装備!そしてわたしは…『俺』が好きなバンドの楽曲を流しながら大量の宿題を今日1日で大目に終わらせてやるという勢いでシャーペンを手に取るのだった。


数時間が経過したところで部屋にノックが飛び込んできた。

一応ブラウザを最小にしておき、どうぞと外に声をかける。入ってきたのは侍女だった。

わたしが宿題をやっていた形跡を見ると微笑み、昼食の時間だという事を教えてくれた。夏休みといえど社会人の人間には関係ないのでなかなか帰ってこない両親の代わりに時たまこうしてわたしの宿題の進み具合を確認するそうだ。

お昼ご飯にはそうめんが出てきた。エアコンが多少効いている屋敷内に比べれば外は地獄のように熱いため、少しでも涼めるようにと冷たいそうめんにしたそうだ。

もちろんわたしはそうめんは好きだ。普通のつゆでも美味しいし、調味料を少し加えるだけでまた違った味が楽しめるからだ。

特に好きなのはごま油を少しだけ、ほんの少しだけ垂らすのだ。なんちゃって冷やし中華っぽくなるし、ゴマの香りがまた鼻をくすぐって香ばしい。

昼食を終えると部屋に戻り宿題の続きをするか否かを少し考えた。本日もいつものように朝7時半には起きて宿題をやっていたので午前中には算数のドリルとプリント類はすでに終わってしまっていたのだ。

「アキちゃん達まだ寝てるかなー…」

携帯を取り、みんなにコミュニケーションアプリ『レイン』を使ってメッセージを送る。

「おはよー!といってもお昼だけどみんな起きてる?」

アキ「おはよー!ちょっと前に起きてお昼食べてる!」

かな「おはよ〜♪宿題してたよ〜」

アキ「宿題何それ美味しいの?」

カナ「美味しいよ〜その美味しさは後からくるよ〜」

すぐに既読がつき、すぐに返信がくる。が、優愛(ゆあ)ちゃんだけが既読にならない。まだ寝てるのかな?

15時くらいまでアキちゃんとかなちゃんとわたしの3人で通話しながら宿題をやっていると、ゆあちゃんからメッセージが飛んできた。

ゆあ「やっと解放された…」

「お疲れの様子?」

かな「全然返信来なかったから心配したよ〜」

ゆあ「聞いてよー!今日から毎日宿題終わるまでノルマ設定されてさぁ!それ終わるまで携帯没収とか意味わかんない!!!!」

アキ「うわー…でもゆあはそうしないと宿題やらないじゃん」

ゆあ「アキにだけは言われたくないんですけどぉ⁉︎」

「あはは…大変だね…。どこまでやったの?」

ゆあ「えーっと…算数と国語のドリル三分の一とプリント5枚…まぢつらい」

「お疲れ様です…」

とは言っておきながらわたしはすでに算数のドリルとプリント類は全て終わり、国語のドリルももう7割は終わらせてしまっているのだ。

それから今度はみんなでパーティゲームの通信対戦をして遊んだ。ゲームなんてやるのは久しぶりで始めは戸惑ったが慣れてきた時にはすでに夕飯の時間になってしまった。

「あ、そうそう!今度家族で海に行くの!みんなも誘っていいって言われたんだけどみんなどう⁉︎」

別れ気味にアキちゃんがそう言いだす。流石にそれを話し始めるとまた長くなってしまうのでわたしは「これからご飯だから聞いてくるね!」と言って通話から抜ける。

他の2人も同じように反応し通話を終わらせて振り向くとすでに侍女が扉をあけて待っており笑顔を向けてくる。


「さてと…」

夕食を終え、両親にメッセージを送るとすぐに「行ってらっしゃい!」と返ってきた。正直両親とも行きたかったのだが仕事ゆえ仕方ない。

もう2週間ほど会っていない両親を恋しく思いつつも、社会人としての記憶が理性を保つ要員として働く。

仕事は大変そうだし、なによりわたしや屋敷のみんなが大切だから仕事をしているのだ。ワガママを言ったところできっと両親の重荷にしかならない。そう自分に言い聞かせて国語のドリルの残りを終わらせてから寝ることにした。

2日後のお昼過ぎ。わたしたち子供4人はショッピングモールにやってきた。理由はもちろん水着を買うためで、みんな意気揚々に水着売り場へ向かう。

可愛く多種多様な水着が広がる店内はまるでお菓子の家のような魅力が漂っていた。

アキちゃんやゆあちゃんはすでに店内の水着を自分の身体に当てたりして選び始めていて、かなちゃんはわたしの手を引いて店内に入る。3人ともキラキラとした目で水着を見回しながらあれよこれよと探し回る。

「ゆ、ゆあちゃんそれは流石に過激すぎじゃないかな⁉︎」

「そう…?んーー…確かにそう言われればちょっと派手かな?」

「アキちゃんのソレは…私服じゃないの…?」

「違うよー?ほら!ちゃんとズボンの中にビキニあるよ?」

「かなちゃんソレは大人すぎるよ⁉︎」

「そーかなー?」

「そうだよ!どう見てもただの紐だよ⁉︎」

そんなやりとりを約2時間、わたしはずっと振り回されながらもみんな水着選びを完了した。わたしはビキニっぽさを残した私服風の水着にし、早く着たいなと思ってしまっている。…だいぶ女の子になってきたななんて少しだけ…そう、少しだけ思ってしまった。

海を楽しみにするあまり…これから起こることを微塵も気がつかないままに…その悲劇を身をもって体感するのだった。

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