第10話 修学旅行2日目!後編
目の前にはいかにもチャラそうな二人組。派手な眼鏡をつけこちらを値踏みするようなねっとりとした視線を送ってくる金髪と緑がかった長めの髪を後ろでまとめた三白眼の男。両方とも鍛えてるような感じでもない普通に痩せてるだけという印象を持つ。
「…なんですか?」
「おーいいねぇ!かわいいねぇ!よかったら俺らとお茶しようよ!」
「いいとこ知ってんだよ〜俺たちが奢ってあげるからさぁ〜」
ニヤニヤと気持ち悪い笑顔を浮かべながらわたしに話しかけてくる。どうやらわたしがこの中で声をかけやすいらしい。
しかも金髪の方がわたしの腕を掴んで話そうとしない。
「いえ…いらないです」
「はー???そんなこと言わないでさぁ?」
「大丈夫だって〜ね?いいじゃぁんちょっとくらいさぁ〜?」
「ですから…いらないです」
「あーわかった!恥ずかしい感じ?でもヘーキヘーキ!」
「そうそう〜!俺たち優しいからさぁ〜いこうぜ?」
「しつこいです…」
「あ、君もしかしてテレビ出てたりする?それとも似てる芸能人とかいない?」
「話をすり替えないでください…」
「なぁ〜こっちもさぁ〜わざわざ下手にでてやってんのに失礼だと思わねぇ訳?」
いくら言ってもラチがあかない…。相手の顔を見てればどんどん不機嫌になっていくのが見えるがそれ以上にこちらの方がイライラしてくる。
そろそろこの状況を打破するべく動こうと相手を睨み付けるとそれに反応してわたしの腕を掴む力を強くし、さらに苛立った声でこちらを威嚇してくる。
「なぁ〜?なぁなぁなぁなぁ〜?年上の言うことは聞くもんだぜお嬢ちゃんよぉ?」
「そうそう、俺たちだって痛いことしたくねぇしよぉ〜?いい加減に俺らと来りゃいいんだよ」
「君たち、何してんの?」
「は?かんけーねーだろおっさんすっこんで…ろ…」
男の片方が急に声をかけられたところでイライラ度が限界を超えたのか、頑張って怖い顔っぽく顔をしかめ振り返ると、声をかけてきたであろう人物は特徴的な格好をしていた。青を基調とした制服に白い帽子…そう、明らかにおまわりさんこと警察の方だった。
「た、助けてください!この人たちに連れてかれそうになってるんです!」
わたしはすかさずおまわりさんに涙目で訴えると、男は「ばっ…てめっ!」と焦り出す。それを見ておまわりさんはにっこりとわたしに微笑んだあと2人の男に厳しい顔を向け腕を掴む。
「とりあえず、署で話聞こうか。キミも悪いんだけど一緒に来てくれるかい?」
そうしてわたし達は2人の男を掴んで逃がさないおまわりさんについていき事情聴取を受けることとなった。と言ってもわたしが答えられるのは少ないので1時間ほどで解放された。男2人がどうなったか?知らん。
さて、時間は16時半を過ぎたくらい…何をしよう?一緒に来てくれていたアキちゃん達は少し心配そうな顔でわたしをみてくる。
アキ「えっと…いのりちゃん…その…」
「大丈夫だよ?それよりこれからどうしよう?」
ゆあ「もう夕方だしね〜…少し早いけどご飯にする?」
かな「さんせーお腹すいた」
アキ「えぇ!?お昼一番いっぱい食べてたのに!?」
かな「お腹が空くのは『シゼンノセツリ』?なんだよ」
ゆあ「急によくわかってない難しいこと言わなくていいのよ?」
「自然の摂理とは、簡単に言えば自然的にそうなって当然のことって言う意味…だったっけかな?」
アキ「おぉ…いのりちゃんカッコいい!」
ゆあ「ほーら!かなが自分で動かなくなる前にさっさとどこか入るわよ?」
ゆあちゃんはそう言ってアキちゃんとわたしを急かすようにかなちゃんを連れて歩き始める。
友達とだけで外食なんてあんまりできない事だからとても心が踊っている。
なんていうか…女子小学生が板についてきたのかね?…なんつってな?
お好み焼きやたこ焼きなど、大阪のイメージ飯!!!みたいなメニューを食べ、少し早めにホテルに戻りお風呂に入り、特に何事もなく(他の班の女子とキャッキャウフフしたが)明日もまた朝は早いためみんなで同時に就寝した。
「ブフフ…グフッ…やっぱりそうだ…やっぱりあの子は…」
暗い部屋に1人パソコンの画面を眺めながら稀によくある気持ち悪いオタク笑いをもらす…そんな人物がいることなど露知らず…。
どうもここまで読んでくださりありがとうございます。
最近朝と夜が寒く昼間は暖かめな日々が続いていますが皆様大丈夫でしょうか?元気に日々を絶望する青月志乃です。
今回は2日目の後半ということで少し短めとなっております。…にしてもいやぁなんか不穏な影が出てきましたねぇ〜この先どうなってしまうのか!?いのりちゃんは無事修学旅行を終えることができるのか!?
作っている身でありながら楽しみでございます…。
評価や感想、誤字脱字のご指摘等ございましたらどうぞ遠慮なく頂けますとうれしく思います!ではこれからもお楽しみに!