第1話事故後々ロリ
はじめましての方はじめまして。知ってる方はこんにちは!青月志乃でございます。
なんとなく前々から温めていたネタをお話化していきたいと思ってますのでよろしければお付き合いくださいませ
いつのことだったか。
一度マジに死んだことがある。でもそれがいつだったかなんて覚えてない。
でもその時に何が起こったのかははっきりと覚えている。
おぼろげな意識の中、まるで深い眠りの後のまどろみのようなふわふわとした感覚。俺の頭上あたりで誰かの話し声が聞こえる。
「あぁ…また君は殺してしまったのかい?」
「違います!わたしではないです!お昼休みの間に勝手に事故で死んだんです!」
「うーーーむ…結果的にはこれが死んでしまったのはよろしくない。君の失態という形でまた私の地位が下げられてしまう」
「そうだ、なら『アレ』にやらせたらどうでしょう⁉︎『あーいうやつ』とか得意でしたよね⁉︎」
「いやしかし…あーーーー…まぁいいか。変なことはしないようにしろと言っておくように」
「わかりました!では行ってきますね!」
不穏な会話は夢だなと思う反面、現実だなと直感的に受け入れてるところはあった。
享年26歳会社員童貞彼女なし親不孝のろくでなし…それが俺に押される烙印…のはずだった。
目を覚ませば施術室のような天井が見える。残念なことに死にそびれたらしい。
眠りから覚めてすぐだからか、事故の後だからなのか身体が動かしにくい。
ゆっくり首ごと視線を横に向ける。俺が見える。下半身にはなんとか布がかけられているが多分それがなければ全裸だ。
「(生きてる…俺の身体も無事みたいだし…ん?いや待て。なんで俺の身体自体が俺の横にある?あ、そうか、鏡だな?だからそう見え……⁉︎)」
そこまで考えて俺は思考を止めた。いや、止まった。鏡だとして、何故普通に奥行きがあるように見える?何故俺の顔はこっちを向いていない…?
頭にそれが浮かぶと同時に、扉の開く音が聞こえた。
「いやぁ〜目が覚めたかな?覚めたようで何よりだ。治療は成功したようだね!!」
キンキンと耳に響く声は近づいてくると俺の顔を覗き込むように見せてくる。
第一印象としては不良に執拗に顔だけを狙ってボコられたハゲ…である。絶対度があってないメガネをかけ、腫れ上がった瞼を必死に持ち上げるように目を開き見てくる。…ぶっちゃけキモい。
「どうだね!?これで彼は『生き返った』!何が不服なのかね⁉︎んんん???」
白衣を翻し、扉の外へ向けて不満タラタラな大声を発する。すると、短い金髪で金色の目、白を基調とした服を身に纏う女の子がふくれっ面で姿を見せる。
「だーかーらぁ!!『器が別』になるとそれはもう『蘇生』じゃないの!!!!わかる!?」
「何を言うか!?終わりかけた命の火を再び燃えあがらせればそれはもう立派な蘇生だ!!!それにあの器はすでにどうしようもない!!!!」
「あ…あのぉ…」
か細い声が出た。説明が欲しくつい声が出てしまったのだ。俺にしては明らかに幼めの声だなと思った。え、マジでなんなの…。
「おぉそうだったそうだった!説明が欲しいだろう!?そうだろうそうだろう。君は一度死んだ!だが!この私の手により再びこの世に蘇ったのだ!!!」
「………は?」
「『は?』とはなんだね!?『は?』とは!!!自覚ないようだが君は神に愛されている!!羨ましいほどに!神が!!君を!!!死なせぬために!!!私を頼り蘇らせたのだぞ!!!!」
「ハカセちょっと黙ってて。アナタの観察をしておりました神の使いです。この度は大変申し訳ございませんでした。」
ハカセと呼ばれた男をどかし、代わりに女の子の方が色々と教えてくれた。
まず俺は普通に事故で死んだらしい。重要な観察対象?の俺が死んだなんて知られたら上司の地位が下がるからマッドサイエンティストのこのハカセさんとやらに俺を蘇生させたのだとか。
しかし問題が発生した。
このマッド野郎、脳だけギリ生きてる俺の脳と、脳だけが死んでしまった女の子の脳を取り替えやがったのだと。
そして蘇生しなくてはいけないみたいな神さまの加護?が働いて上手く行っちゃったんだと。
「え、じゃあなに、俺この子として生きてかなきゃいけないわけ?」
「そうなっちゃいますね…まぁでも魂的には貴方ですから問題はないんで頑張って」
……………………
………
それからこの身体の子の事を調べた。
『天ケ瀬 いのり』ちゃん10歳、血液型O型、天ケ瀬財閥のお嬢様だが大人しく優しい性格の持ち主で友達も多い。
両親は健在だが仕事で家に帰ってくることはほとんどない。
半年前に脳に障害を発症し入院…先日死亡と思いきや奇跡の復活…だが記憶のほとんどが抜け落ちてしまっていると言うことになっている。
1ヶ月ほど入院して3日前に退院。今日までは療養ということになっている。その間にクラスメイトと言う女の子達がお見舞いに来てくれていた。
「さて…明日の準備をしておかなくちゃ…」
まずはプリントの整理。時間割の確認、教科書を揃え、宿題の確認して始末した。
小学生の勉強と侮っていたが、意外と覚えていなかったところもあり良い復習になった。
夕食の時間になるとクソ広い食堂に案内され豪華な食事を用意される。
退院祝いなどと称して両親は仕事を休み、連日こんな食事を用意させている。
「いのり〜身体の方はどうだい?」
「身体はもう大丈夫だよパパ」
ヨーロッパ中世の貴族のようなちょび髭のおっさん…いや、お父さんは鼻の下を伸ばしながら俺に…『わたし』に聞いてくる。一人娘のわたしに甘く、欲しいと行ったものは何でも買ってくると言うほどわたしを大事にしてくれている…らしい。
「いのりちゃん、記憶の方はどうかしら?」
「ごめんなさいママ…まだ思い出せないことの方が多いかな…」
「いいのよ、ゆっくり取り戻してくれれば大丈夫よ」
おっとりと優しい微笑みを浮かべるさらさらで栗色の髪と整った顔つきの女性。うっかり告白してしまいそうになる魅力的なオーラについつい見入ってしまう。
それから長テーブルに並べられたクソうまい食事を出来るだけお行儀よく片付けつつ、両親の思い出話に付き合う事1時間…わたしは翌日には学校へ行く事を思い出したかのように逃げるように食堂を後にする。
風呂に関してはクソでかいイメージ通りだったが、侍女が2人一緒に入り身体まで洗われるとは思っていなかった。
侍女はどうも巨乳が多く、父の趣味が垣間見える。同性で、さらに子供である事を利用して2人の胸を揉んだり埋まったりしてみたが恐ろしいことに永遠に触っていたくなるくらいフワフワでもちもちだった。
やりすぎると怒られると思ったのでほどほどで我慢した。なるほど父が巨乳好きになるのも理解できる。…母も巨乳だったし。
風呂を上がって着替えまでしてもらうと既に20時を過ぎていた。いつもなら深夜まで起きているのだがこの身体になってからはもう眠くてたまらない。
再度学校の準備を確認するとわたしはすぐに広すぎるベッドに入り眠ってしまうことにする。