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Caim-七英雄と紅蓮の王女  作者: いなお
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橋の上で


カイムが酒屋を出て、すぐ近くにある川が流れているのだが、その橋の中央にロロナがいるのを見つけた。


「やあ、どうしたんスかこんなところで」


ロロナは一瞥だけして視線を川に戻す。

その反応にどうしたものかと考えていたカイムは手に持つワイングラスをロロナに差し出た。


「あなた、バカじゃないの?」

「えっ、いきなりなんで罵倒するんスか」

「さっきの自己紹介」


ああ、とカイムは納得した。

スティンガーにも文句を言われたが、カイムとしては裏切りの七英雄(ロストセブン)であることを隠す方が面倒だと考えている。


「ああ、けど皆スティンガーのことよっぽど信用してんのな。正直、俺の言葉をあそこまで信じてもらえないとは思ってもなかったっス」

「当たり前よ。私達のリーダーなんだから」


きっと何かしらリーダーたる所以があるのだろうとカイムはなんとなくだが納得した。

しかし、先程からロロナの言葉には刺々しいものがある。

そこまで自分は嫌われているのかとカイムは少しだが落ち込んだ。

気まずさから目をそらすようにカイムは話題を振る。


「あっちには混ざらないんスか?」


カイムは酒屋の方を見ながらロロナに尋ねた。


「こういう催しは昔から苦手なのよ」

「奇遇っスね。俺もエスケープして外に出たらたまたま君がいて」

「君っていうのやめて」

「ごめんっス。ロロナ」


たまたまというのは嘘だし、ロロナも気づいているかもしれないが、それにしてもだいぶ不機嫌な様子だ。

沈黙が訪れ、カイムはどうにかして話題を振ろうと頭をフル回転させる。


「聞いていいかわかんないんだけど、ロロナはなんでレジスタンスに?」

「気になる?」

「まあそれなりに?わざわざ女の人が前線にいるなんて稀だと思ってさ」

「カイムは女の人が戦場にいるのは許せない派?」

「いや、身近にも俺よりも強い女が多かったからそんなことはないっスよ」

「えっあなたよりも!?」

「あなたじゃなくてできればカイムって呼んでほしいっスね」


さっきの意趣返しのようにカイムは言う。

それに気がついたロロナはハッとしたように気がつき、カイムから顔を背けた。


「別にカイムには関係ないでしょ!」


ロロナの機嫌を損ねたようで、結局答えは聞けずじまいになってしまった。

「私も一つ聞いていい?」

「どうぞ」


答えを言ってくれないのにそっちも質問をするのかとツッコミそうになったがカイムはこれ以上機嫌を損ねると今後の関係が気まずそうだと思い、ロロナの質問に答えようとした。


「あなた、どうやってあの神器を使いこなしたの?」

「エクスカリバーは俺のっスから」

「それの意味がわからないから聞いてるんだけど」

「まあ、神器は意思を持ってるっスからね。その神器に認められないと使うことができないんすよ。だから俺の使える神器はエクスカリバーだけ」


カイムの答えにロロナは呟いた。


「神器に認められる....」


神器に認められれば神器を扱うことができる。

しかし、神器も所詮武器。

では認められなくとも神器を勝手に使えばいいのではないだろうかと考える人もいるだろう。

だが、実際その状態で使ってみると神器によって効果は様々だが、基本的には魔力を吸われて、人によってはそのまま死に至る。

スティンガーの話ではレジスタンスの中ではロロナ以外グングニルを扱うと体の体調が悪化してまともに使うことが出来なかったそうだ。


「ロロナが持ってるグングニルも意識のない状態とはいえ普通に扱えているならロロナもそれなりに素質があるんだと思うっスよ。もっともグングニルの意識が戻ったらわかんないっスけど」

「そうなんだ」


何かを考えながらロロナはぼやいた。


「ねえ....」

「あ、お前らそんなとこで何してんだ!早くこっち来い!飲むぞ!」


ロロナが何か話しかけようとしたところ、酒屋から出てきたスティンガーの呼び声に遮られた。

ロロナはそれに応えて「はいはい」と言いながら酒屋に戻る。

カイムはロロナが何を聞かれるのか気になったが、ロロナに尋ねることはせず、一緒に酒屋に戻るのだった。

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