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Caim-七英雄と紅蓮の王女  作者: いなお
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戦後の空


「リーダー!本気!?」


ロロナが声を荒げる。

この時代の人間からすれば、八つ当たりだろうと裏切りに七英雄(ロストセブン)への嫌悪が強い。

レジスタンスなど、ほとんどメンバーがその存在をやっかんでる。

それはロロナも例外ではない。


「あれ?けどそういえば城の中でロロナ誘ってくれたじゃん?」

「そ、それはあなたが裏切りの七英雄(ロストセブン)だって知らなかったからよ!」


ロロナもそのことを思い出したみたいだ。

レジスタンスに誘ったのを後悔するようにロロナは頭を抱える。


「まあ冗談はさておいて、協力するのはいいけど俺にメリットはあるんスか?」

「他の神器の場所や今の世界情勢の情報をお前に教える。その代わりその神器使いとしての戦力を俺たちに貸してくれ。悪い取引じゃあないだろう?」


カイムとしては十分なメリットであるし、それを望みたいくらいだ。

ただ一点。

神器使いとしての力というのがカイムにとっては一番の不安要素だった。

カイムは地面に突き立てたエクスカリバーに呼びかけた。


「エクス、これはいいんスか?」


その問いにしばしの沈黙を置き、エクスカリバーはそれに答えた。


「状況次第といったところだ」

「微妙、てか曖昧すぎっすよ」


質問とその回答の意図がよくわからないロロナとスティンガーはお互いに視線を交わしロロナは可愛く首を傾げていた。


「まあそこら辺は後々考えるっス。スティンガー、交渉成立ってことで」

「ああ、期待してるぜ少年」


2人は握手を交わす。

それに見兼ねたロロナはスティンガーに苛立ちをぶつけた。


「リーダーの馬鹿!!」


その声量は2人が咄嗟に耳を塞ぐほどの大きさだった。

そのままロロナは他のメンバーがいる正門の広場まで戻っていく。


「個人的には何もしてないんすけど、ここまで嫌われてるもんなんスか裏切り七英雄(ロストセブン)て?」

「まあな。聖堂協会が出した声明じゃあ神器使い達はティアマトを前にして逃亡。しかも敵に取り入るために戦場にいたティアマト討伐の連合軍の人間を殺していったってのが俺らの認識だ」

「なに?」


事実としてカイム達裏切りの七英雄(ロストセブン)はそんな非道なことはしていない。


「まさか連合軍は?」

「ああ、全滅さ。誰1人として戻ってこなかった」


カイム達が無実であるならば連合軍の兵士を倒したのは魔獣なのだろうか。

しかし、その時点では原初の魔獣も全て倒していたはずだし、ティアマトとその他の魔獣だけで連合軍を一人残らず全滅させることが可能なのだろうか。


「言っとくけどそんなことしてないっスよ」

「かもな。けどまだ俺だってお前の言葉を全部鵜呑みにはできねえ。俺個人としては信じてやりてえが、こんなんでもリーダーなんでな」


スティンガー自身はとりあえずは信じてくれているようだが、それでもロロナよりは信用してくれている様子だ。


「とりあえず歓迎するぜ少年。いや、カイム」

「こっちこそ。いい関係を築きたいっスねリーダーさん」


互いに握手を交わし、強く手を握りしめあった。

カイムは今の時代の情報を、スティンガーは神器使いという戦力を。

そしてこの時代の人間に恨まれているカイムがこのレジスタンスという集団に入るのは、場合によっては四六時中命を狙われかねないリスクを、スティンガーは得体の知れない神器を扱う人間を身近に置き、最悪の場合、作戦実行中に裏切られるリスクを。

お互いの利益のための契約だが、それぞれにデメリットを補うあまりのメリットがあるとの判断の結果、レジスタンスは裏切りの七英雄(ロストセブン)という強力なカードを手に入れた。


「とりあえず皆になんて紹介するかがなあ」


そのまま裏切りの七英雄(ロストセブン)を仲間に加えるなどと言えば、反乱や離脱者も現れ、隊の統一に支障を来す可能性が高い。


「ああ、それなら別に気にしないでいいっスよ。上手くやるっスから」


カイムは「策あり」と言わんばかりの自信満々の表情で笑ってみせた。

スティンガーは「なら任せる」とだけいい、城門前の瓦礫の山を見つめた。


「とりあえず、少し仕事を忘れてた。ちょっと言ってくる」

「どうぞっス」


そう言って瓦礫の山を登っていくスティンガーを見送る。

スティンガーは瓦礫の山の頂上まで登りきり、そこで大きく深呼吸をする。


「お前たち、よく聞け!」


スティンガーが叫ぶ。

その声の大きさは、十分にこの正門広場にいる全員に聞届けさせるには十分だった。


「この国の原初の魔獣は俺達レジスタンスが討ち取った!」


周囲がざわつく。

一応の危機は去ったことは理解しているものが大半だったが、スティンガーの言葉でその言葉に皆が縋る。


「だが、これが終わりではない!まだ世界のあらゆるところで魔獣が人間の生活を脅かしている!俺たちは世界を救うために立ち上がったのだ!」


スティンガーの世界を救うという言葉にカイムは反応をした。

カイムにとって「救う」というワードの重さは他の人間とは異なる。

カイムの持つ神器エクスカリバーは何かを救うための戦いにのみ、それを振るう事ができる剣だ

だが形式だけの救う戦いではエクスカリバーは扱えず、「救いたい」という気持ちが心の底からきているものでなければエクスカリバーは応えてくれない。


「今一度、ここで誓おう!我々レジスタンスは世界を救うと!!」


スティンガーの鼓舞で大勢のレジスタンスが盛り上がりを見せる。

スティンガーはすぐさま、瓦礫の山を降り、各々に怪我人の治療の指示や瓦礫の除去などそれぞれに指示をしていく。

カイムはそれを遠目に見ながら、雲ひとつない空を見上げるのだった。

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