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Caim-七英雄と紅蓮の王女  作者: いなお
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12番目


「これが神器の力....!?」


カイムに後ろにいたロロナは呆然とその状況を眺めていた。

それもそうだろう。

目の前で繰り広げられた戦いは人間の行うそれではない。

無論カイムは人間であるがそれでも彼が繰り出す技の一つ一つが人間の限界を超えているといっても過言ではない。


「以前とだいぶ姿形が違ってたから警戒してたっスけど、前より弱くなってないっスか?」


クサリクに警戒しながら近くカイム。

普通の魔獣にはないが原初の魔獣は驚異の再生能力を持っている。

それを知るカイムも流石に今の一撃で倒しきれたとは自信を持って言えるわけではない。

クサリクまで20歩辺りのところでカイムは立ち止まる。

あと一歩踏み出した瞬間自分が真っ二つになるイメージが浮かぶ。

これは直感とでも言うのだろうか。

全力で後ろに下がってロロナの近くまで下がった。


「ど、どうしたの?」


ロロナから見るとその不可思議なカイムの行動に疑問を持つのは当然だ。

カイムの顔をのぞいて見ると汗が一雫、頬からこぼれ落ちる。

カイムの見つめていた先を見てみるとクサリクの隣に何か得体の知れない者がいた。

身体つきから察するに男性であると思われるが仮面をしていてどのような素顔かがわからない。

だがその鳥の顔を象徴したような白い仮面をしている者に対して、その場にいるカイムやレジスタンスの面々、城の兵士達も何か分からない不気味さを感じ取っていた。

その雰囲気の中最初に言葉を発したのは倒れていたクサリクだ。


「ソクラテス!貴様何をしに来た!」

「見てわかりませんか?あなたを助けに来たんですよ」


仮面の下から響いて来たのは男の声だった。

ソクラテスと呼ばれた男は何か呪文を唱えてクサリクの傷を修復していく。


「貴様の手を借りんでも、再生ぐらい.....」

「僕は言ったはずですよ。まだ魔力を使うなと」


その威圧的な言い方にクサリクは大人しくなる。

回復したクサリクは立ち上がり、カイムを睨む。


「さて、まさか神器の封印を解くだけではなく、それを扱える君は何者だい?」

「カイム・エストハイムっス。よろしく、ソクラなんとかさん?」


ソクラテスがその名前に反応した。


「カイムだと?クサリク、本物か?」

「ああ、嫌という程この顔には見覚えがある」


ほう、と感嘆するように呟き、仮面の下の瞳がカイムを観察するように見ていた。


「はじめまして。裏切りの七英雄(ロストセブン)の生き残りよ。私の名前はソクラテス。12番目の原初の魔獣だ」

「原初の魔獣だって?」


ソクラテスという名前にカイムは聞き覚えがなかった。

そもそもカイムたちが以前戦った原初の魔獣は11体だったし、それも全員討伐していた。

しかし、姿形が違えど、クサリクが蘇っていたことを考えると、他の原初の魔獣も同様に蘇っていると考えるべきだろうし、このソクラテスの他にも原初の魔獣が増えている可能性がある。


「君には聞きたいことがあるのだが、こちらもクサリクを回復させてやりたいのでな。引かせてもらうよ。その代わりと言ってはなんだが、この国は好きにしていいよ」

「貴様!何を勝手に!」

「いや逃すわけないっしょ。二人ともここで討たせてもらうっスよ」


ソクラテスの能力や強さは分からないが、今ここでクサリクを討てるチャンスをみすみす逃すカイムではない。


「だからこその交渉だ。いずれこの国は取り返させてもらうが今はそれほど重要じゃあないからね。大人しく逃してくれるならこの国を無条件で手放す。破格の条件だろう?」


試すようにソクラテスは特に惜しげもなく提案してきた。

本当にこのアルタイルの国を手放してくれるとしても、ここで原初の魔獣を二体討伐することができる事と天秤にかけると後者の方がメリットが大きい。

それこそ、ここでソクラテスの提案に乗らずともこの二体を倒せばこの国の魔獣さえどうにかすればソクラテスの提案など無意味に等しい。

しかし、そんなことがわからないほどの馬鹿は原初の魔獣にはいないこともカイムは理解していた。


「無論この国にいる下級の魔獣も全て排除させる。君がもし今考えているような事をした場合、他の原初の魔獣は元より、全ての魔獣がこの国に押し寄せる結果になるよ」


その言葉の真偽はわからない。

しかし、仮に全てが真実だと仮定して考えた時に、今のこの状況を踏まえた上でこれ以上戦いを続けると街の住人やこの場にいる城の兵士、レジスタンスのメンバー達に甚大な被害を及ぼす可能性が高い。

苦渋の決断ではあったがカイムの答えは決まった。


「次会ったらその時は自分達の最後っスよ」

「理解が早くて助かるよ。何、すぐに会うことになるだろう」

「くそ、カイム・エストハイム!貴様は必ずこの手で仕留める!覚悟しておけ!」


そう言ってソクラテスとクサリクは地面から突如として出現した闇が二体を包み込み、その場から魔法のように消え去った。


「良かったのか、主人よ」

「良くはないっスけど、戦力と戦況的に圧倒的に不利っスからね。一人じゃ救えるものも救えないっスよ」


エクスカリバーがカイムにその行動の是非を問うが、カイムの状況判断はおそらく正しいものだっただろう。

あと一人、欲を言えば二人神器使いがいれば状況は一変しただろうが無いものねだりはできないとカイムは思考を切り替えた。


更新が滞ってしまい申し訳ありません。

近々、小説に情景描写を増やして改稿しようと考えています。

よろしくお願いします。

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