救う戦い
「みんな大丈夫!?」
ロロナがスティンガーやレジスタンスの仲間たちの拘束を解いていく。
拘束から解放された面々はすぐさま落ちている武器やそれに匹敵しそうなものを探し始めていた。だがスティンガーだけは拘束から解放されてもひたすらにカイムとクサリクのいる方向を注視していた。
「リーダー何してるの!?」
「ロロナ」
スティンガーがポツリと呟く。
「あの少年何者だ?」
「世界最強の剣士だそうよ。私もよく分からない」
原初の魔獣と互角に渡り合っている一人の少年。
化け物的な力を持つ相手に対して神器を持たない人間が渡り合えている事実にスティンガーは驚きを隠せなかった。
「貴様、許さんぞ!」
「いうてそれぐらいならすぐ再生しちゃうでしょあんたら」
カイムが繰り出す目に見えぬ音速の斬撃がクサリクの左腕を吹き飛ばした。
しかし、切り落としたはずの左腕は灰となり、すぐに新しい左腕が再生した。
「あんな牛の姿から人間の形になったから警戒してたっスけど、案外大したことないっスね」
「ほざけ!!」
クサリクの頭の角から雷が放たれた。
カイムはそれを気にも留めない素ぶりでサラリとかわす。
チャキンと刀を鞘に収めるとクサリクの右腕が吹き飛んだ。
常人には認識できない速さの太刀筋で切り落としたのだ。
「ぬおっ!」
右手に持っていたエクスカリバーも一緒に吹き飛び、カイムはそれに飛びついてキャッチする。
「エクスカリバーの力を1%も引き出せないんだったら、この風切丸で十分戦えるっスよ」
「カイム・エストハイム!!」
クサリクが咆哮する。
切り落とした右腕もいつのまにか再生していた。
そしてみるみるとクサリクの体が変容していく。
「おいおい、またイメチェンスか?」
上半身は人の姿。
下半身は牛の四肢。
頭にあった角は先程の倍以上の大きさになっている。
例えるならばケンタウロスの姿と言えばいいのだろうか。
瞬間、カイムとスティンガーは嫌な空気を感じた。
「お前達逃げろ!!」
スティンガーは叫ぶようにして仲間達に撤退を促す。
するとクサリクは角から雷が無差別に放ち出した。
雷は王城や正門の広場を見るも無残な姿に変えていく。
レジスタンスの人間や王城の兵士達は我先にと広場から逃げる。
「くそ!見境なしっスか!?エクス!いい加減起きろ!」
カイムは風切丸を鞘にしまい、クサリクから取り返したエクスカリバーに呼びかける。
しかし、反応は全くない。
そんな中、一筋の雷がロロナに向かって放たれた。
ロロナはそれに反応出来ず、目を瞑る。
それに気がついたカイムはロロナの前に出てエクスカリバーで雷を受け止めた。
「ぐあっ!?」
エクスカリバーを通して雷がカイムの身体を駆け巡る。
「ちょっと!あなた大丈夫!?」
「くそ、この状態じゃやっぱダメか...!」
ロロナが急いでカイムに駆け寄る。
カイムは思ったよりダメージを受けてしまい肩で息をする。
「所詮神器を扱えなければ貴様なんぞただの人間だ!」
雷鳴が鳴り響き、再びクサリクの雷がカイムとロロナを襲う。
しかし、ロロナは腰が抜けてしまったようでその場から動けない。
一瞬だけロロナの様子を確認し、カイムは雷の前に立ちはだかる。
「いい加減目を覚ませって話っスよ」
カイムは立ち上がりエクスカリバーを構える。
「これはこの国を悪から救う戦いだ!」
カイムは雷を斬ろうとする。
しかし、このままでは先程と同様に雷を喰らうだけだ。
雷とエクスカリバーがぶつかり合う直前、わずかに声が響いた。
「認めよう。力を貸すぞ、主人よ」




