6話:精霊主と修羅場
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今日中に2話上げます。
「さて、味はどうかしら〜?ふむ、まずいわけじゃ無いけどあんまり甘く無いわね?ねぇなんでかわかるかしら?」
そんな事俺に尋ねられても…。魔法で育てた植物が美味しくなる方法か、グーグ○っても見つからないだろうな。
「やっぱり私が自分でやるより貴方が育てた方が良いみたいね」
「そうね、じゃぁ収穫できたら私たちを呼びなさい」
ネプティーヌさんは揺蕩っている精霊たちに向けてそう言うと茶色と赤いオーブを見てガイアちゃんを呼んだ理由を思い出した。
「ガイア、貴方もこのイチゴって果実をまた食べたいならそこの精霊を進化させてあげなさい。その子に連絡させればまた異世界人くんのイチゴが食べれるわよ」
ネプティーヌさんの一言でガイアちゃんは目を見開いた。クロリースさんやネプティーヌさんと同じようにオーブが強く発光した、茶色い光が収まるとそこのには活発そうな茶髪のボブの小さな女の子がいた。嬉しそうにクルクル回って自分の姿を見ている、肌は活発な元気娘の様に少し褐色で、大きくぱっちりした目には灰色の瞳が周りをキョロキョロ見回している。
俺も3度目の浮遊感にあまり違和感を感じなかった。もしかして器とかがもう広がらないとか?
3人の幼女精霊が楽しそうにキャピキャピしている、見てるだけで和むわ〜。ただオレンジ色のオーブだけは未だにオーブって感じの実態のない光の状態だ、このままじゃ流石に可哀想だ。
「ねぇ、ネプティーヌ。プロメーテスが来るの遅く無いかしらねぇ?」
「ガイアが来たのにプロメーテスが来ないわけないし、何かあったのかしら」
「あいつうるさいから来なくてもいい」
「あらガイア、そういう風に言ってはダメよ。プロメーテスは貴方が好きなのだから」
「遠慮蒙る」
「あらあら、相変わらずね」
なんかすごい邪険にされてるな、ガイアちゃんはプロメーテスさんが苦手なのか。
「すまん、遅れた」
俺は後ろからいきなり声をかけられてかなり驚いた。
振り向くと革のショートパンツの様な物に胸当てを付けたボーイッシュな少女が立っていた。ベリーショートの赤オレンジ色の髪をしていて顔立ちも中性的だ。ただ顔に五本の切り傷があり吊り上がった目と相まって少年の様にも見える、茶色の瞳も険しくこちらを睨みつけている。
顔はボーイッシュなのに、胸部は富士山だ。
「おい、ガイア。俺の子を産んでくれ」
「無理、あたし女だし」
「だからだろう、いい加減俺の子を孕んでくれ」
「無理、あんただって女なんだから」
「じゃあ男になる」
「無理だろうがよ」
うへぇ、何これ。ネプさんにクロさんもお茶飲んでないで止めてよ。
「第一に、あんたの事が嫌いなの。いい加減やめろ」
「やめないし、諦めない。お前が俺の子を産むまでな」
「そうだ、じゃあ異世界人くんに聞いてみたら」
ぬはぁ!?なんて事言うだ!こんな修羅場に俺を巻き込まないでくれ。しかもガイアちゃんもニヤァって感じで笑ってるし、さっき来たプロメーテスさんが殺気飛ばしてくるし。熱い、熱いから殺気と熱気飛ばしてこないで!
「そうね、この異世界人くんの役にたってみなさい。そしたら話ぐらいはしてあげるわ、ただ殺したり傷つけたらもう二度と顔も見ないわ」
「おい、人間。お前は何だ、なぜガイアがお前の肩をもつ?俺にはこんなにつれないのに、なぜだ」
知らんがな、めんどうな事になった。どうする、どうすればいい?
「そうね、今来たばかりだからプロメーテスは知らないものね。この異世界人くんは今ガイアが食べている果実を育てた実績があるのよ、ガイアはこの実がいたく気に入ったみたいなのよね。ここで異世界人くんに手を貸せばガイアも貴方を見直すんじゃないかしらね?」
「なぁ人間、俺たち友達だよな。男ならそうだって言うよな、おい」
「ハ、ハイ…。オトモダチデス…ヨ」
「そうだろうそうだろう、なぁガイア。俺たちは仲のいいマブダチだ、だからおr「まだ何もしてないじゃない、せめてイチゴを奉納しろ」
「おいマブダチ、ガイアがそう言っている。何処にイチゴがある、出せ、今すぐにだ」
「そこにある分しかないです、だから襟を離して、苦しい」
「む、人間はか弱くてかなわん。さぁマブダチ、イチゴを奉納する手伝いをしろ」
「やめなさいプロメーテス。それに貴女が頼む立場で彼を手伝う方でしょう、そこを間違えてはダメよ」
「そうよ、あと人間は脆いのだから優しく扱いなさいね」
お、おお、ネプさんにクロさんが助け船を…、一時はどうなるかと思ったよ。
「ふむ、一理あるな。じゃぁこれからお前と一緒に過ごして男とイチゴについて学ぼうか」
うへぇぇぇ、いま何かとんでも無いことが聴こえたぁぁぁ。勘弁してくれぇぇぇ。
「ほら、異世界人くんも困ってるでしょう。それに貴方には貴方の仕事があるんだから無理言わないの。でも一緒に居たいって言うならあそこの低級精霊を進化させたり異世界人くんに力を分けてあげたら?それに貴方は熱すぎるわ、少し頭を冷やしなさい」
「そうか…?そうだな。俺が居たら草などすぐ枯れてしまうか、おいそこのお前。今からお前に力をやる、そのかわり俺の代わりに俺のマブダチを守り、手伝え。そして覚えたこと全て俺に教えろ。いいな」
4度目の眩ゆい光が場を満たす。光が収まるとオレンジ色ポニテに真っ青な瞳のつり目の精霊がいた。動きやすそうな服はどこか踊り子の様なヒラヒラが付いている、ヒラヒラは赤オレンジ青と色を変えながら炎の様に揺らめいていた。
4度目の浮遊感には何も感じなかった。
「はい、プロメーテス様の意思のままに」
えっと、これって今いるこの少女達(精霊達)と俺が一緒に居ろと言うことですか、そうですか。なんかイチゴのためだけにこの精霊主たちが全力過ぎるきが…。
「そうだ、マブダチのお前に俺の加護をやろう」
「ガイアもあげたら?異世界人くんが力を持てばその分早くイチゴが食べられるかも」
「よし、私の加護もやる」
赤やオレンジ、茶色や灰色、さまざまな光が俺を包み、またしても浮遊感を感じた。
「すごいわね〜、最近じゃ精霊主4人の加護を持つ人間は滅多にいなかったわよ」
「本当に久しぶりじゃなかったかしら」
「まぁ加護も精霊もくれてやったんだから美味しいイチゴを奉納しろよ」
「おいマブダチ、何か困ったらいつでも呼べよ。イチゴのために助けてやる」
なんか発言が偏ってるなぁ、でも助けてくれる人が居るのは有難い事か。さて今度はこっちから色々質問させてもらおうかな。