一章:死んだ先は異世界
初めて小説を書きました、まったり書いていくのでよろしくお願いします。
1話:目が覚めたらそこにはオーブが居た。
《昨日から続く記録的豪雪は今日も降り続けるでしょう…》
ラジオから聞こえるニュースに耳を傾けながら俺、 冨田 聡は家の裏のビニールハウスに足を運んだ。
季節は12月の下旬、クリスマスに向けてイチゴの収穫真っ只中だ。この時期はイチゴの値段は良いし、有れば有るだけ売れるイチゴ栽培で一番忙しい時期だ。
全く、あまり広くは無いにしろ俺一人で今日中に10aの収穫作業。
朝は日の出前から収穫で午後までにはパック積めを終わらせなきゃいけない、今日は地元のケーキ屋さんに卸すから急がなきゃいけないのにこの雪だ。
収穫し終わったらハウスの上の雪掻きと家の前の雪掻きしなきゃいけないし、やっぱバイト増やさなきゃいけないかな。
「まったく、親父たちは…。な〜にがちょっくら温泉地まで行って来る、だ」
この雪のせいで親父たちが居る町も交通ラインがほぼ全滅、2泊3日の予定だったものが4泊めに突入した。
おかげで俺が割りを食うんだからいただけない、ただ親父たちも忙しいのは知っているからお隣のイチゴ農家に電話して手を借りてくれたのが救いだ。
俺と5歳差の現役JKの沙由里ちゃんがバイトで来てくれるからありがたい、お隣で同じイチゴ農家で親父も沙由里ちゃんのおじさんと仲が良い、だから小さい時から一緒だし妹の様に仲が良い。
彼女の兄貴ともタメでいつも連んでたいた、家族ぐるみで仲がいい。
ミシッ
最近は沙由里ちゃんがバイトに来る度にお菓子を持って来てくれる、昨日はクッキーでその前はイチゴジャムの入った蒸しパン、最近ハマってるらしく連日お菓子を持って来てくれる。
去年は焦げたクッキーや膨らんでいないケーキだったのに随分上達したもんだ。
最近は俺ん家で一緒にお菓子を作ったりしているので俺もお菓子作りにハマってしまうくらいだ。
ミシミシッ
《…県の山沿いで雪崩警報が出ているため近隣住人に避難警報が出ています…》
「 うへぇ、どんだけ降るんだよ」
今収穫してるハウスが終わったらハウスの上の雪かきするかな、このハウスも髄分年季がはいってる…し?
ミシミシミシッ
「バキン!!」
迫り来る雪とハウスの鉄骨、そこで俺の視界は真っ暗になった。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
チチチッ
グァーグァー
色んな動物のなき声が響く森の中で4つの小さな人型で淡く光る玉が青年の上で話していた。
「人間だ〜、人間が居る〜」
「ほんとだね、こんな所で寝てるね」
「あ〜?人間なんてどうでもいいだろ、ほっとけよ」
「あらまぁ、どうしたのかしら〜?」
「ねぇ〜、この子お花と甘い香りするよ〜」
「ほんとだね、良い香りだね」
「なあ!さっさと行こうぜ」
「あらあら、行き倒れかしら〜」
「行き倒れ〜?何それ〜?」
「どうなんだろうね?荷物も持ってないみたいだね」
「ど〜せのたれ死ぬんだからほっとけよ」
「まぁ!だめよ〜、そんなこと言っては」
「ね〜、ここにある箱に良い香りの木の実があるよ〜」
「良い匂いだね、美味しそうだね」
「お!ほんとだ!うまそうなもんがある!」
「野イチゴかしら〜?でも随分大きくて良い香りがするわね〜」
「食べちゃダメかな〜」
「勝手に食べない方がいいかもね」
「何これうまい!!」
「あら、ほんとだわ〜」
「「あ!ずるい!」」
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
ワイワイと周りが五月蝿い、それに暑いな。
ヒーターの温度設定間違えたのかな、それよりなんかすっごくだるいし頭も痛い、脱水症状みたいだ。
ああ、それよりいい加減起きななきゃ沙由里ちゃんが来ちゃうな…。
重い瞼を開けるとそこには見知らぬ森だった。
びっくりして飛び起きたら視界に4つの光る玉…、オーブ?が漂っていた。
「わ〜、びっくりした〜」と薄茶色のオーブが跳ねる。
「生きてたね、それに元気みたいだね」と水色のオーブが回る。
「げ、見つかった」よオレンジ色のオーブが後ずさる。
「あらあら、驚いたわ〜」と黄緑色のオーブが小さく左右に揺れる。
何ぞこれは…。
そうか、夢だな。きっと夢だ、うん。
さーて、そろそろ仕事の時間だぞ今日は忙しいんだからさっさと目を覚まさなきゃ〜…。とまた苔生した地面に身を投げた。
「あれれ〜、寝ちゃったよ?」
「本当だね」
「まじで?じゃあもっと食おうぜ!」
「あら、まだ食べるの〜?」
あれれ〜、おかしいな〜、夢で寝れば夢から覚めると思ったんだが…。
「それにしても美味しいね〜」
「稀に見る美味しさだね」
「おっかわり〜、うめぇ〜」
「いくらでも食べれるわね〜」
ん?こいつら何を食ってるんだ?と覚めない夢に疑問に思っているといきなり挿れられた、ズプリと奥まで。
「何すんだ!?」
「あはは〜起きた〜」
俺は反省の色もなく楽しそうに揺蕩っているオーブを叱りつけた。、いきなり寝てる人の耳の穴に異物を突っ込むな!
「わ〜、怒った〜」
「なるほどね、寝てる人間は耳で起こすんだね」
「うげぇー、きったね〜」
「腕が半分くらい入っちゃたわね〜、危ないわよ〜」
怒りや不快感もさることながらいきなり耳を犯されても覚めない夢に急に不安になって来た。
それよりここはどこだ?ハウスのイチゴは?沙由里ちゃんは?
「ここは精霊の森だよ〜」
「ハウスは何だか知らないね」
「ムグムグ、むしゃむしゃ」
「沙由里って誰かしら〜」
てかそこのオレンジ色!いつまで食ってるんだ、しかもそれウチのイチゴじゃないか!?
「な、何だよ!おいらは落ちてたから食っただけだ、第一お前のって証拠はあるのかよ!」
な!?なんて奴だ、これが盗人猛々しいと言うのか。と言うか食うのやめろって。
「そこの美味しいのは貴方のですか〜、あまりに美味しそうなのでいくつかいただきました〜。すっごく美味しかったですわ〜」
ムムム、そんなに褒められると怒りにくいな。まぁイチゴは食ってなんぼだ美味しく食べてもらえたならイチゴ農家冥利につきるというか、まぁまぁもう一個いかがです。
「あら〜いいの〜、ありがたくいただきますわ〜」
「何だこいつ、ちょろいぞ」
まて、オレンジ。お前はダメだ、せめて反省して謝罪しろし。
っていうか俺、光る玉とかいわしてるんですけどぉ〜!?
「な!?オレンジっておいらの事か人間!」
「あはは〜、オレンジだって〜」
「プププ、オレンジだって、見たまんまだね」
「笑うな!」
「まぁまぁ〜、そんな怒らないでオレンジちゃん」
「な!?お前らまでオレンジって言うな!」
おい、そこで笑ってる茶色。そうお前、お前がいきなり人の耳の穴に異物を突っ込んだんだろ、さっきの会話忘れてないんだからな!
「あはは〜、ばれた〜」
笑い事じゃない!もし俺が手で払い落としたらゲガじゃ済まなかったかもしれないだろ!
「この人間良いやつかもね」
「んなわけあるか、嫌なやつだ」
「そう言う事言っちゃダメよ〜、オ・レ・ン・ジちゃん」
「な、オレンジいうな〜!」
ごめんなさいは?茶色とオレンジの二人?二匹?どっちでも良いや、とりあえずごめなさいは?
二匹?二人?をわしづかんで問い詰める。
「あはは〜、ごめんなさ〜い」
「お、おいらは悪くないぞ」
よし茶色は良い子だな〜、もう一個イチゴ食べていいぞ〜。だがオレンジお前はダメだ。
「な、なんだよ!私だけダメって何だよ!人間のバーカ!!」
はーい、オレンジ2点減点
「減点!?減点って何だよ!てかオレンジいうな!」
「ほら〜、ちゃんとごめんななさいしましょうね〜」
「悪い事したら謝らなきゃね」
「謝ればイチゴくれるよ〜」
「な、何だお前ら人間の仲間になってんじゃねーよ」
「精霊神さまに言うわよ〜」
「ふぁ!?わかった、わかったよ謝るよ」
オレンジ色のオーブがノロノロと俺の前まで飛んで来た。
「人間、さっきはごめん」
ふてくされた子供か、最後の方はだいぶ小声だったし。まぁいいか、謝ったし。
ほれ、仲直りにイチゴ食べな。
「な、何だいきなり怪しい人間め」
「だめよ〜、仲良くね〜」
「わかったって」
「みんな仲良しが一番だね〜」
のほほんとオーブと話しているが、それよりここは一体どこなんだ?
最低週一で更新予定です。