一方的な決闘
冒険者ギルドの中にある闘技場では、伊吹と冒険者の男が向かい合わせで立っていた。
「ルールは特にない。何でもありの決闘だ。そして…条件はお前に譲ってやるよ」
「そうか…わかった。では、俺が負けたら凛と天音は好きにしていい…だが、逆に俺が勝利した場合は…冒険者を辞めてもらおうか」
「へっ…その威勢のよさが裏目に出なければいいな」
「ちょっと伊吹勝手に決めないでよ」
凛が文句を言いに来るが大丈夫だと言ってギャラリー席に戻す。
「智哉…少しの間二人を頼むぞ」
「勝ってこいよ」
智哉は俺にそう言うとギャラリーにいる凛と天音の元へと行った。闘技場をぐるりと囲んでいる観客席は満員御礼状態だったが、至る所から野次などが飛んでくる。
俺はHK416を立ち撃ちの姿勢で構える。右手の人差し指はもうすでにトリガーにかかっているので、試合開始の合図とともにすぐに撃てるようになっている。
「さて…小僧何か言い残すことはあるか?」
「あるはずないだろ…。 早く始めようぜ」
「そうか…では」
冒険者の男は審判に合図をした。すぐに、審判が試合開始!といった。俺は、セミオートで2発を相手の左右の膝頭に撃ちこんだ。男は、膝頭を撃ち抜かれたことによって前のめりに倒れる。
「がはっ…小僧てめぇ…何をした‼」
男は立ち上がろうにも立ち上がれない。
「射撃…しただけだけど?」
「てめぇ…魔術師か…」
俺は男に詰め寄った。
「俺は魔術師なんかじゃねぇよ…」
そう言って俺はもう一発を相手の肩に撃ちこんだ。剣を持っている右肩に…。
「この状態でも闘うか? もうやめた方が身のためだぞ」
「くそっ…」
「その口は飾りか? 違うだろ? 早く降伏しないと次は左肩だな…」
「…ッ…わかった…降伏だ…」
審判の男が2分足らずで終わったことに驚いていたが、俺はお構いなしに3人の元へと戻った。
「さて…受付に行こうか」
「お前よく膝頭なんか狙えたな」
「最初は腹を撃とうとしたけど…撃てなくてな…。 だから…膝頭なんて所を撃ったんだよ」
「そうか…」
「あの…伊吹君…守ってくれてありがとう…」
天音は俺に向かった頭を下げてくれた。
「頭なんて下げなくていいよ…天音さん」
「でも…」
「仕掛けてきたのはあっちなんだからさ」
「ねぇ…伊吹?」
「どうした凛?」
「ううん…何でもないよ。 早く登録しようよ」
「そうだな」
俺たちは闘技場を後にして、冒険者登録カウンターに移動した。
「すいません。 冒険者登録がしたいのですが」
「登録ですね。 4名様でしょうか?」
「はいそうです」
「では、この用紙に記入してください。 パーティ登録もこの用紙で出来ますので」
「分かりました」
こうして、俺たち4人はそれぞれ用紙に記入する。パーティ登録の用紙の方は、パーティ名が中々決まらなかったが、天音の案で出てきた「Defender」になった。意味は、この世界を守る。それだけだ。
「記入終わりました」
俺は5枚の用紙をもってカウンターに行った。
「では、順番に水晶に手を触れてください」
俺から順番に手を触れていく。
「確認証をお渡ししますのでなくさないでくださいね」
受付嬢から、4人それぞれ確認証もといドッグタグを貰う。
「ランクはFからスタートになります。F、E、D、C、B、A、Sの順番で上がっていきます。それに並行して確認証の素材も変わっていきます」
「分かりました」
俺たち4人はドッグタグを首に下げた。
「うーん…軍人みたいだな…」
「では、最後に登録料として4人で銀貨4枚をいただきます」
俺は、受付嬢に銀貨4枚を払った。
「これにて登録完了です。 頑張ってくださいね」
最後に受付嬢はにこっと笑ってくれた。そして俺たちはクエストボードの前に来た。ボードにはランクごとにクエストが張られている。ゴブリン等の討伐から、採集クエストなど様々だ。俺と智哉は、国民的狩猟アクションのゲームを思い出していた。
「よし伊吹何受ける?」
「ゴブリンの討伐でいいだろ」
「了解、カウンターに持っていくわ」
「おう、頼むぞ」
5分くらい待っていると、智哉が戻ってきた。智哉はなぜか渋い顔をしていた。
「なんでそんな渋い顔してるのよ」
凛が戻ってきた智哉に聞いた。
「いきなり討伐系のクエストなんか受けて大丈夫なんですか?って聞いてきたんだよ…」
「それだけか?」
「ああ…それだけだ」
「そうか…じゃあさっさと行くか」
「場所は王都外れの森らしい」
「とりあえず人込みのいないところまで行こう」
「ハンヴィーでも出すのか?」
「ビンゴだ智哉」
それからしばらく街中を歩いた。郊外にでるとM1114装甲強化型ハンヴィーを召喚し、乗り込みエンジンをかけて走り出した。
どうも時雨です。
剣士が戦いを挑んでくると必ずワンサイドゲームになりますよねー




