凛と天音のお願い
「はぁ…どうすればいいんだか…」
「なぁ…伊吹…お前の能力によってはさ…俺たち戦わなくてもいいんじゃないか?」
俺と智哉は、案内された部屋で考え込んでいた。考えていた内容は俺の能力の使い道だったが…。
「核ミサイルでも使えってか…」
そう呟いて俺は、好きな銃であるH&K社のHK416を頭に浮かべていた。
「それが…一番手っ取り早いような気がするけどな…」
智哉は自分の腕に着けているブレスレットを弄りながら呟いたが、俺は首を横に振って否定した。
「智哉…それはダメだ…。 核ミサイルが召喚できるか分からないんだから…」
「じゃあなんか召喚してみたらどうだ?」
「そうだな…。 HK416…召喚‼」
銃の名前を口にすると、突然目の前が光りだして俺と智哉はとっさに目をつぶった。
「うぉ…眩しい…」
その瞬間腕に銃の重さが伝わってきた。目を開けると俺の手には、Aimpoint Comp M4ダットサイトとハンドガード下面のピカティニー・レールにフォアグリップが装着されマガジンがセットされているHK416が抱えてあった。
「ははは…ウソだろ…本物のHK416なのかよ…」
「すげぇ…銃だ…」
その時、突然ドアがノックされ声がした。
「凛だけど入っていい?」
「おい…伊吹これどうする?」
俺が抱えているHK416を指さしながら智哉は問いかけてきた。
「別に持ってても問題ないんじゃね?」
そういってドアをノックした凛に、入っていいよと言った。
俺と智哉は凛だけしか入って来ないと踏んでいたがどうやら間違いだったようだ。
「え…天音さん? なんで?」
「…なんで天音が染谷と一緒にいるんだよ?」
俺たちは予想外の客に驚いた。
「し、失礼します…」
天音…。本名は、関 天音だ。俺はあまり面識がないが、智哉とは小学校と中学校が同じだったそうだ。
本当にそれだけらしい。
「なぁ…凛? お前って天音さんと同じ部屋なのか?」
「そうだよ? それがどうかした?」
「いや…何でもない。で、何か用があってきたんだろ?」
俺は凛に問いかける。凛は頷きながら話し始める。
「伊吹の能力のことなんだけどさ…これからどうするの?」
俺はため息をつきながら凛を見た。
「ちょっと…なんでため息つくのよ」
「俺も智哉とそれについて話してたんだよ」
そういって俺は、HK416を凛と天音さんに見せる。
「なにこれ?銃?」
「これって伊吹君の能力で出したものだよね?」
凛はなんかそっけなかったが、天音さんは興味津々だった。
「そうだよ…これは能力を使って出した銃だよ」
正式名称は教えなくてもいいだろ…。そう思っていたが次の瞬間とんでもない言葉が、凛と天音さんから飛び出した。
『私たちに能力付与をしてください!』
「は? 何言ってんの2人とも?」
「だから…能力付与のスキルで私たちに銃を使えるようにして欲しいの!」
「いやそれは分かるけどさ…なんでそうなる?」
そう言うと凛は少しうなだれた。
「だって…私のステータス見てたでしょ? 魔法しか使えないなんて嫌だよ…」
「…私も嫌です…。 だから…魔法の力だけより…ちゃんと戦えるようにしたいんです…」
そういや…天音さんのステータスってどんなのだっけ…。俺は鑑定で天音さんのステータスを見た。
関 天音
LV : 1
HP : 300
MP : 600
STR : 350
VIT : 400
AGI : 450
INT : 400
スキル 鑑定 翻訳 魔術作成 探知
称号 勇者
MPが高いだけだな…天音さんには失礼だけど…。でも探知って凄くね…レーダーの役割出来るかも…。
「どうすればいいのかねぇ…」
俺は、座っていたベッドから立ち上がってHK416を壁に立てかけた。
「なぁ…伊吹。 別に使わせてもいいんじゃないか?」
智哉がそんな意見を出すが、俺は軽々しく言うなと返した。そしてHK416を指さしながら智哉に言った。
「あのなぁ…銃ってのは、実際には引き金を引くだけで誰でも簡単に人を殺せる武器なんだぞ。簡単に言うな」
「わ、悪かったよ伊吹…」
「だけども…能力付与に制限が掛かっていなかったらいいか…。それに…二人とも確実に扱える武器がいいから、俺のところに来たんだろ?」
二人はそれぞれ頷いた。
「いいよ…銃と装備は貸してあげる。その代わり…今この部屋にいる4人でパーティを組もう。銃を使うのは俺達だけで充分だ」
「それくらいどうってことないよ。天音もいいよね?」
「うん…大丈夫だよ」
そこで智哉が俺に詰め寄って来た。
「俺もパーティに自動参加?」
「当たり前だろ?」
智哉は観念したようだ。今夜はここでお開きになったが、俺は皆の銃と装備を寝るまで考えていたが、中々決まらなかった。
どうも時雨です。主人公達の装備で迷ってます…
陸自、米陸軍、米海軍という選択肢なんですけどね