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始動…

 


 伊吹達4人はコロラト王国西部の森の上空に来ている。

 森の中の開けたスペースにAS 332を着陸させ、ヘリから降りると伊吹達が指揮をする軍隊の基地を召喚した。

 

 基地は主に海軍と空軍が使用するように滑走路2本と港湾施設や管制塔など一通りの設備を揃えた。港には修理用のドックや外郭施設の防波堤や岸壁等がしっかりとできておりこれから召喚する艦船がちゃんと停泊できるようになっている。もちろん民間人やモンスターが入ってこない様に鉄条網や高さ約2mの柵で基地の周囲をぐるりと囲っている。


「さて…何を召喚しますかね」

 伊吹は舌なめずりをしながら何処の部隊を召喚するか考えた。天音や智哉は基地のいろんな施設を見ていた。


「航空機の部隊はそんなに多くなくてもいいな…でも、哨戒と偵察は一緒の部隊で…。よし…とりあえず米海軍の艦上機部隊を出せば後々出す空母にも乗っけられるからな…。えっと…1個戦闘飛行隊のVF-84とVFA-27とVFA-102と空自の第501飛行隊でいいかな…。よし、召喚」

 目の前に広がっている滑走路にスカル&クロスボーンのマーキングがされた8機のF-14Aと洋上迷彩の4機のRF-4EJ、計8機のF/A-18EとF/A-18Fとパイロットや整備員が綺麗に整列し現れた。すぐさま全員がそれぞれの所属する組織のやり方で敬礼し伊吹は答礼した。


「…私の名前は松田 伊吹だ。ここにいる諸君らはこの世界でもそして元の世界でも最高の戦士達だ。これからの戦いではその部隊名に恥じぬ戦いをして欲しい。以上だ」

 ここに居るのは米海軍の戦闘機部隊であるジョリーロジャースやダイアモンドバックス、ロイヤル・メイセスといった一流の艦上機部隊と世界でも最高の練度を誇る航空自衛隊の部隊である。


「では、それぞれの隊の隊長はこちらへ来てくれ」

 伊吹の指示に4人の航空隊の隊長が集合した。


「一人ずつ自己紹介を」

 最初に指名したのは米海軍第84戦闘飛行隊の飛行隊長だ。


「VF-84所属カール・G・ステニア中佐であります」


「第102戦闘攻撃飛行隊所属ジョージ・グレイ中佐です」


「第27戦闘攻撃飛行隊…ロイヤル・メイセス所属ジーク・A・ニクソン少佐です」


「航空自衛隊百里基地第501飛行隊所属、岩城 洋祐3佐であります」

 4人が順番に自己紹介をしていった。


「…まだ空母は配備していませんが、皆さんには準備が済み次第空母にも搭乗してもらい…世界最強の空母部隊として活躍してもらいます」


「「「「了解」」」」


「では、岩城3佐に初任務です。2機のRF-4EJに偵察をしてもらいたいと思います。特に海上を中心にお願いします」

岩城3佐は敬礼をすると部下を集めて説明を始めた。


「じゃあ…港に行こうか」

ヘリを整備部隊に任せると港に向けて歩き出した。途中距離がある事に気づきM998ハンヴィーを召喚し港まで走った。港の岸壁に到着するとハンヴィーから降りて入り江となっている港湾を見わたした。


「…空母はまだ要らないよな」

 伊吹は智哉に問いかけた。


「まだ…な」

 含みを持たせた回答をした智哉を見ながら伊吹はハンヴィーのボンネットに体を預けた。


「とりあえずイージス艦とタグボート…」


 滑走路の方から2機のRF-4EJが増槽を着けて離陸していく音が聞こえてくる。伊吹は上を見上げRF-4EJを見送った。


「…DDG-173こんごう及びDDG-174きりしま…召喚」

 目の前にある岸壁に2隻の海上自衛隊所属のイージス護衛艦が係留された状態で出現した。その後、4隻程のタグボートを召喚した。

 

「いいねぇ…」

 伊吹達はこんごうのタラップから乗船した。甲板ではこんごうの艦長ときりしまの艦長や副長等が伊吹達に向けて敬礼をした。答礼をし、4人の自己紹介を終わらすと2人の艦長の自己紹介が始まった。


「海上自衛隊第1護衛隊群第5護衛隊所属イージス護衛艦こんごう艦長の松田 千秋1佐です。総司令どうぞよろしくお願いします」

 

「海上自衛隊第2護衛隊群第6護衛隊所属イージス護衛艦きりしま艦長…朝比奈 薫1佐であります」

 2人の艦長はそれぞれ敬礼した。


「では…先任はどちらでしょうか?」

 伊吹の質問に朝比奈1佐が一歩前に出た。


「私が先任です」


「こほん…では…朝比奈 薫1佐、現時刻を以て貴官を平和維持軍海軍司令に任命する。それに伴い海将補に昇任とする」

 何故平和維持軍なのかというと、現状この世界は魔王の出現によって平和が脅かされている、と伊吹は考えており、そのため平和維持軍と称したのである。


「謹んで拝命致します」

 朝比奈1佐はしっかりとした形で敬礼をした。


「朝比奈海将補、後々必要になってくる艦船をリストアップして提出してください」

 

「了解しました」

 伊吹達はこんごうのタラップから降り、ハンヴィーに乗り込むと滑走路へと続く道を走りハンガーの前で停車する。AS 332の整備担当者に30分後にエプロンに出しておくように告げると司令部施設へとアクセルを踏んだ。司令部施設に到着すると、出迎えを受け施設の説明を受けると執務室に入った。4人で応接ソファに座る。


「これから王宮に飛んで国王と側近それと騎士団長と各軍の司令をこの基地に招待する。移動はヘリだけどな」


「なぁ…今の機数だと馬鹿にされるんじゃないか?」

 心配そうな表情をする智哉を見ながら伊吹は意地悪そうに微笑んだ。


「それは大丈夫だ。お偉いさんの前で戦闘機部隊とイージス艦の攻撃力を見せれば嫌でも黙るだろう…それに、ソレンセン騎士団長に聞いたら廃艦予定の戦列艦を撃沈させれば皆黙ると言ってたからな」

 伊吹は事前に廃艦する予定の戦列艦の沖合に移動させるように朝の段階で騎士団長に頼んでいた。どうやら騎士団長は幅広い方面に顔が効く人物のようだ。


「廃艦予定の戦列艦は海上か?」

 伊吹は頷きながら答えた。


「もうすでに騎士団長にコンタクトは取ってある。30門級の戦列艦だとさ」

 智哉はこの発言を聞いて堪えきれず吹き出した。隣に座っていた凛は直ぐに立ち上がった。


「智哉…汚い」


「うっ…悪い…。でもよ、30門級ってゴミじゃん」


「言うな…。やっと魔石で進む50門級が出来上がったばかりらしい」


「アウトレンジで撃沈させられるじゃんか」


「まぁな…」

 ドアを3回ノックする音が聞こえてきた。許可を出し入室してきたのはきりしま艦長の朝比奈海将補だった。手にはファイルを持っている。


「総司令…リストが出来ました。ご確認を」

 リストを受け取りページを一枚ずつめくっていった。


「ミニッツ級航空母艦2隻…DDHのいずもとかが…アーレイ・バーク級のフライトⅡA等々…」


「朝比奈さん…こんなに使いますか?」

 伊吹の横でリストを見ていた天音が質問をした。


「さすがに我々の艦だけでは対処が難しい場合も出てくるかと思いまして…」


「と、とりあえずロナルド・レーガンは召喚しますけど、アーレイ・バーク級といずもは待ってください」


「了解しました」

 敬礼し退出する朝比奈海将補を見送り、書類を執務机の上に置き生温くなったお茶を飲んだ。時計を見て時間を確認した。


「そろそろエプロンに行くか」

 執務室を出てハンヴィーでエプロンに向かった。ハンガーの中にハンヴィーを止めてエプロンに駐機しているAS 332の機外点検をして乗り込んだ。離陸手順に従いエンジンを始動させマーシャラーの指示を確認して離陸し王宮へと飛んだ。

 


どうも時雨です。

海軍艦艇の召喚が始まりましたね!

感想や質問待ってます!

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