機甲戦闘
冒険者ギルドのホールでは冒険者がクエストの精算をしたり、昼間から酒を飲んでいた。俺達4人はカウンターで精算と先日買い取ってもらったケルベロスやオーガ等の買取金の受け取りをしていた。
「今回の報酬と先日の買取金です」
受付嬢は、金貨98枚と銀貨6枚を麻袋に入れて手渡してきた。
「どうも」
「それと全員の確認証を渡してもらえますか? 昇格したため確認証をアップグレードいたしますので」
全員が首に下げているドッグタグもとい確認証を外し、受付嬢に渡す。受付嬢は4人の確認証を集めると少々お待ちくださいと言って扉の奥へと消えた。
「なぁ、伊吹何の素材になると思う?」
「鉄じゃないかな…」
「俺は青銅だと思うな」
少しして受付嬢が扉の奥から出てきた。そして俺たちに鉄で出来た確認証を渡してきた。俺たちは受け取った確認証を先ほどと同じように首に下げた。冒険者ギルドを出ると街が異様に騒がしかった。俺は近くにいた人を捕まえて事情を聞いた。
「どうしたんですか?」
「あぁ、この街にジーク公国の騎士や兵士がたくさん向かってきているらしい。すでに何人のも通行人が殺されたそうだ」
「それは本当ですか?」
男は深く頷いた。
「そうですか…。ありがとうございます」
俺は男に礼を言うとハンヴィーを召喚した。
「直ぐに王宮に戻るぞ」
3人は頷くとハンヴィーに乗り込んだ。ハンヴィーは直ぐに走り出した。王宮の入り口で誰何されたがそれを振り切って王宮に入った。中庭ではソレンセン騎士団長を始めとした騎士団員や兵士が集結していた。俺は騎士団長の元へと駆け寄った。
「ソレンセンさん状況は?」
「戻ってきたか…。まずいことになった。ジーク公国の騎士団がこの王都を襲おうとしている。狙いは君たち勇者の強奪か殺害だろう…」
「殺害ですか…」
「柊羽達は王宮の地下に避難しているよ。戦うと言っていたがここで皆死なれては困る。だから、君たちも速く地下へ退避を」
「一緒に戦いますよ。それに…先ほど王都郊外の森で12騎程の竜騎士の部隊を全騎撃墜させたんですけど」
「竜騎士団を持っているのはジーク公国だけだ…。しかし12騎すべてを撃墜するとは…」
「やはり…やらかしましたかね?」
「いや、そうでもないさ…。今回のジーク公国の騎士や兵士は自我がないようだ…」
「つまり…操り人形ということですか?」
「そうだ。たぶん…ジーク公国に出現した魔王の部下のせいだろう」
「その魔王の部下が今回の戦場に出てくることはあり得ますか?」
「あるだろうな…。操り人形が全員死んでからでてくるか…それとも、自分たちの魔物を引き連れて王都を蹂躙して勇者を殺すためにか…」
「では、戦場でそいつを見つけたら殺して良いと?」
「ああ、構わない」
「分かりました」
俺は、対人戦闘という事を考えてAH-64Dを2機召喚した。武装は2機ともハイドラ70ロケット弾と30㎜チェーンガン満載という対地戦闘重視だ。そして王都の北門の防衛にM1A1 エイブラムス戦車4両とM1128 ストライカーMGSを3両召喚することを決めた。
「智哉と凛はそっちのアパッチに乗ってくれ」
「北門に移動だな?」
「そうだ。北門に防衛用としてM1A1 エイブラムス戦車4両とM1128 ストライカーMGSを3両召喚する。歩兵部隊は召喚しなくていいだろう…」
「無駄に犠牲を出したくないんだろ?」
「そうだ…。俺が召喚する人は元々、俺たちと同じ世界の住人だった人々だ。犠牲は出したくない」
「そうだな…」
「よしさっさとフライトスーツに着替えて出るぞ」
俺たち4人はそれぞれの部屋に行きフライトスーツに着替えて中庭に戻ってきた。俺と天音、智哉と凛でそれぞれのアパッチに乗り込み、離陸に必要なスイッチをONにしてエンジンのスタートスイッチを押した。自立回転速度に達するとスロットルを開けて順番に離陸した。速度を上げて西門へ急ぐ。西門に到達すると周囲に人がいないのを確認してM1A1 1個小隊とM1128 1個小隊を召喚した。ヘルメットに装着しているマイクに話しかける。
「M1小隊及びストライカー小隊、応答願う」
「こちら第1海兵師団第1戦車大隊所属マイケル・ハーダウェイ大尉であります」
「こちらストライカー旅団戦闘団機動砲小隊所属イライジャ・カーニー中尉であります」
二人の指揮官がそれぞれ挨拶をしてくる。
「2人ともよろしく頼む。早速任務だ。現在、王都北門より約6.5Km北に多数の騎馬集団及びその後方に歩兵集団、魔物の集団がいる。この集団を俺たちアパッチ隊が制圧する。M1小隊とストライカー小隊は取りこぼした敵を北門に接近する前に倒してほしい」
『了解』
2機のアパッチは地面を這うように移動し、敵集団の前方に出ずに後方から接近した。
「射撃開始」
俺が操縦しているアパッチからは機体をスライドさせながらハイドラ70ロケットが敵集団に向けて飛翔していく。ハイドラ70ロケットは広範囲に広がり、敵騎馬を、敵兵を焼いていった。2基のポッドから38発のハイドラ70を撃ち終わると一旦後退し、智哉が操縦しているアパッチが射撃を開始する。こちらもハイドラ70を38発撃った段階でいったん戦闘を中止した。合計76発のハイドラ70は敵の前方騎馬集団と歩兵を全滅させた。
「伊吹、後方にまだ集団がいる」
「こちらのレーダーでも捕えた」
「先行して潰すか?」
「いやまだ出て行かなくてもいいだろう」
「了解」
その時だった。突然後方の部隊がレーダーから消失した。レンジを変えてみたりしたがレーダーには何も映らなかった。
「智哉!後方にいた部隊がレーダーから消失した!」
「こちらもだ…。どこに行った…」
突如無線が入る。無線の声の主はM1小隊の隊長マイケル・ハーダウェイ大尉の声だった。
「マスター!突如敵部隊が我々の正面2Kmに現れました!」
「転移…したのか?」
「よくわかりませんが…たぶん…」
「攻撃を許可する。敵を王都に入れるな!」
「了解!」
俺は機体をターンさせ北門に向かうべく加速した。
「1号車より全車。弾種HEAT弾。攻撃用意」
全ての戦車がHEAT弾を装填する。
「Fire…」
M1エイブラムス戦車の44口径120mm滑腔砲M256が火を噴いた。発射されたM830HEAT-MP-T 多目的対戦車榴弾は敵に着弾し爆発すると同時に周囲に金属片を飛散させモンスターや歩兵の命を刈り取った。
「はは…さすがM1だな…」
「伊吹、敵戦闘集団の真ん中にローブを来た人物がいる。たぶん…転移魔法をやった奴だと思う」
「そうか…。30㎜を撃つぞ」
「了解」
2機のアパッチのM230機関砲からM789多目的榴弾が吐き出される。発射された多目的榴弾はローブを着た人物の周囲に着弾すると爆発しローブを着た魔術師と近くにいた魔物の命を死神の如く奪い去った。その後もしばらく戦闘は続いた。M1エイブラムス 4両とM1128ストライカーMGS 3両は無限軌道やタイヤを動かしながら敵を攪乱して射撃を加え敵戦力を完全に制圧した。この戦闘で全車両及び搭乗員に被害は確認されなかった。
どうも時雨です。
戦車や装甲車の描写がイマイチだったような気がします…




