1:想い
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ある日一通の手紙が僕の元に届いた。僕はその手紙の差出人の名前を見てゆっくり手紙から目を頭の上にやり「終わったんだな。」と小さな声で青く澄んだきれいな空を見上げた。
それは受け止めたくない現実であり、僕の恋の終わりを告げる、最終宣告だった。信じていた、いや、信じたかった彼女が僕を最後に選択してくれることを。でもこのことを約束する前から僕はわかっていた。所詮、無理難題だったってことを。自分と向き合うことが遅かった、彼女を待たせすぎた、そんな後悔の念が僕の心を苦しめた。手紙を片手に僕は自室へ向かった。足取りは重く部屋に向かうのにいつもの二倍以上の時間が掛かった。部屋に入る前いつも開けっ放しにしているドアがなぜか閉まっていて、僕はドアをゆっくりと開けた。その瞬間、足が自然に止まった。いつもと代わり映えのない部屋。いつもは何も感じない部屋なのに、でも長年僕を見つめて一緒に過ごしたこの部屋だけは、僕の心境を知っているかのように“大丈夫。やっと前に進めるじゃないか。それでよかったんだよ”と、たった一つの窓から流れ込む風を、自分の声として僕に語りかけている感じがした。そんなふうに思うほど僕の心は病んでいたのかもしれない。僕は少し微笑んで部屋に向かって「ありがとう」と小さく声を発してゆっくりとドアを閉めて中に入った。八畳ほどの部屋で、部屋は衣類や本やゲームなどで散らかり放題だった。少ししかない足場を巧みに探し出し僕は真っ先に彼女との思い出が詰まってある机の一番下の引き出しに向けて脚を進めた。そこには彼女と過ごした記憶の思い出の品々が肩苦しくきれいに積み上げられ、小さな袋に入ってあった。小さな袋はいつのバレンタインだったのか忘れたが、甘いものが嫌いな僕を気遣って彼女が手作りで作ってくれたチーズケーキを入れるのに使ったバレンタインの思い出の可愛らしくちょっぴり地味な袋だった。僕はそれを手にして、いつも座って考えるお一人様専用ソファーに腰掛けた。手にした思い出の品々はいったん横に置き、座った目の前にある、散らかった小さな机を見つめた。僕は机の上の物を一通り整頓して横に置いた思い出の品々を机の上に広げ始めた。写真・プリクラ・手紙・携帯につけるストラップ・そして大小二つの人形で、これといってごく普通の思い出の品である。僕自身、過去を振り返ることはしたくなかった。でもこの心のモヤモヤ感を払拭するにはこれしかないと、この手紙が来る前からわかっていた気がする。そう、何も考えなくとも、この思い出を振り返ることこそが、僕のけじめの証であり、あの時最後に話したあの場所で自分と彼女との間に作った身勝手な約束を果たそうと考えたんだと思う。僕が最後にした彼女との約束、それは“今度は僕が君を待つ。そして君が結婚するか、子どもができるか、僕が君を諦めなければならない状態になるまで僕は君を想い待ち続ける。”という身勝手なもので、そんな身勝手な長い想いが今日、終わるからこそ最後に君との良き思い出を振り返り、自分が心に決めた想いに終止符を打つために君との思い出を前に僕は自然に涙した。僕は机の上にあった思い出の一部始終目を通し、始めに手紙・写真・プリクラ・そして人形を最後に手にして、大きな人形を力いっぱい抱きしめた。その時僕は初めて泣いていることに気づいた。「何で泣いているんだ。最初からこうなることはわかっていたのに。」と小声で呟き、窓から見える青い空を見上げた。そうこんな感じだった。彼女と付き合った日の空は今日のように青く澄んだきれいな空だった。
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