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黒と白の世界と  作者: 夕陽ゆき
第四章 『崩落の世界』
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第四章4 『底闇の中の光明』



 ——実のところを言えば、奏太はシャルロッテという少女をあまりよく知らない。

 一応、芽空から聞いた過去の彼女と、『パンドラの散解』事件の前後、及びこの一ヶ月で人となりはそれなりに理解したつもりだ。


 だが——その行動原理については。

 たまにわからない時がある。


 たとえばあの事件で彼女が協力してくれたのは、メモカ使用者の研究及び古里芽空という少女を見極めるため。

 以後は、『獣人』と人間の和平を含めた芽空の手伝いと、喪失や改変者(、、、)の真相を突き止めること。

 明確でわかりやすい。嘘の見極めは苦手な奏太だが、彼女は嘘をついていないとわかる程度には。


 しかし、だからこそ。


 どうして何の関係もない彼女が、諸々の真相を突き止めようとするのか、それが不思議でならなかったのだ。


「シャルロッテも喪失を味わっている——なんてことじゃないよな。だとしたら、なんだ?」


 まさか彼女がスパイだった、なんてことはまずないと信じたい。

 だから、質問を変える。


「どうして、シャルロッテは無茶をしてくれるんだ?」


 たとえば、奏太たちが忙しくしている間、ジャックと二人で『施設』を探してくれていたこと。

 ここまでの話通りなら、それを行うことでまず間違いなく、彼女らの身に危険が降りかかる。そのくらいのことはわかっていたはずだし、そもそも会合にも参加しない方がシャルロッテ自身のためにもなる。


 それなのに彼女は今ここにいて、何を今更と言った表情で、ため息を吐く。


「まあ、そんじょそこらの凡人なら、あんたの言う通り一人部屋にこもって自分のお仕事をするでしょうね。厄介ごとには関わらないに越したことはないもの」


「じゃあ、なんで……」


「そんなこと、決まっているでしょう? ——ワタクシがシャルロッテ・フォン・フロイセンだからよ」


 さも当たり前かのように、涼しい顔で言われる。

 しかし、奏太に理解力がないのかそれとも説明不足なのか、意味がわからない。


「……このくらい理解しなさいよ、下民」


「いや、俺がたとえ下民じゃなくても理解できないからな、絶対」


 再びのため息。

 まるで少し前の葵と話しているようである。

 彼女は「いい?」とやや不機嫌になって、


「ワタクシはそもそも、生まれた時点で代々続くフロイセン家の後継。そして現当主。生まれからして民衆と異なる、上に立つ立場なのよ」


 貴族は確かに、そうかもしれない。


「でも、それは自分勝手に好きなことをやれ、というわけではないわ。生まれつき才能があって、実際にそれで結果を出せるのならいい。民衆のためになるのならいい」


「……」


「——けれどワタクシには、それが成せない。生まれ持った才はこの美貌だけ。あとは凡人と変わらないんだから」


「…………そんなこと、ないだろ」


「あるわよ。何年あの子と……ルメリーと比べてきたと思ってるのよ」


 才能があるから、無茶をしても許される。成果を得られる。それは『獣人』である奏太も遠い話ではない。

 人と『獣人』、違う種であっても近しい立場の芽空とシャルロッテは、なおさら。


「それならワタクシは、あの子とは違うやり方をする。ワタクシはワタクシの、やれる限りを尽くして民衆のために動く。見下していようがいなかろうが、それは変わらないわ」


「シャルロッテ……」


 まさか、彼女がそこまで考えていようとは。

 しかし、忘れそうになるが、同い年と言っても彼女の社会経験は、奏太たちのそれとは大きく異なる。当然、苦労と苦悩の毎日で、その中で当主としての自覚を持ったのだとしてもおかしくはない。


 ……大した少女だな、と思う。

 肝も座っているし、立派に独り立ちしている。そんな彼女に、奏太たちは、


「————っていうのが、理由の半分。どちらかといえば建前に近いわね」


「……は?」


 嘲るように歪めて浮かべられた笑みに、奏太は口をパクパクとさせる。


「民衆のことは思っていても、少数一人一人を相手できるほど、ワタクシは暇じゃないのよ。用があるならお金を積んで来なさい、ってところかしら」


 ……前言撤回、とまではいかないが、いささか少数に対して可哀想な仕打ちではなかろうか。


「当主としてどうあるべきか、というよりはその立場の中でワタクシがどうありたいか、だもの。それに、そもそもワタクシはあんたと同年代か年上なのよ? そんなご立派な精神構造なんてしてるはずがないじゃない」


「……いや、年上はないだろ」


「あんたが年上の方がないわよ」


 いくつかの問答。いやいやそんなことは、と言い合った結果、彼女が年下と判明したことはさておき。


「半分、ってことは残りは?」


「……少しは自分で考えなさいな。考えればわかることでしょう」


 本日何度目かわからなくなってきたため息。

 それだけ自分たちが苦労をさせている、ということになるが、毎度無茶ぶり過ぎると思う。年の差など関係なく、普通に。


「…………あんたとそう歳は変わらない。だから、個人的な感情もあるのよ」


 言って、シャルロッテは鋭い目つきでこちらを——いや。もっと遠くの何かを見つめる。


「ワタクシは『獣人』を一方的に駆逐し、自分の思い通りに世界を進めているあの性悪女(、、、)が大嫌いなのよ」


 彼女は続ける。


「HMAが『施設』に繋がっていた、という話もそうだし、もしかすると改変者(、、、)にも関わりを持っているかも、とあんたと同じ考えを持っている自分がいる。彼女ならありえる、ってね。……けれど、一つと決め付けたくはないから、はっきりさせたいのよ。あの女の本性を」


 目的の対象は違うけれど、同じ道を歩くから協力する。

 奏太と抱く疑念は同じでも、違う思考で道を歩こうとする。

 なるほど、確かに彼女らしい答えだ。


「……話しすぎたわね。そろそろ戻るわよ」


「え。ああ、うん」


 つんと澄ましたその表情は、すぐに前を向き、歩き出す。

 前と同じ背中。他者を寄り付かせないピリッとした雰囲気。自分一人の力で何でもこなしてしまう……そんな力強さを、彼女を知らない者は感じるのだろう。数時間前の奏太も、漏れず。


 だが今は、


「…………一つ。答え忘れていたわ」


「え?」


「あんたにあれこれと様々なことを話す理由。……それはね、あんたを信頼してるからよ」


 二人の足が、同時に止まる。

 振り返らないその背中は、感情を見せない。


「アザミを倒した強さのあんたなら、そこらのやつには負けないし、何より————三日月奏太。あんたはワタクシの大切な友達を、ルメリーを変えてくれた。だから、これでも頼りにしてるのよ。あんたなら大丈夫だ、ってね」


 呼吸を忘れてしまうくらいの、じんわりとした驚き。何と言葉を返すべきか、悩んで、


「……期待に応えられるよう、頑張るよ」


「別に背負わなくてもいいわ。というか、あんたの場合下手に責任感を持つと、無茶しそうだもの」


 ……あながち、間違ってはいない。


「だから——」


 ふいに目の前の白金が視界を踊り、続けて現れる美貌。彼女から伸ばされた小指は、真っ直ぐ奏太に向いている。


「ルメリーのこと、これまで通り(、、、、、、)頼んだわよ。あの子を悲しませたら、承知しないんだから」


 何をされるか、想像すると怖いところではある。

 が、返答はすでに、ずっと前に決めている。


 誓う相手と、奏太が前を向く理由。それから背中を押してくれるものがまた一つ、増えただけ。だから、


「————約束するよ。俺は、芽空を守る。二人なら何にだって負けない。大丈夫だ、って思えるし——シャルロッテの大切な親友なんだから、なおさら大事にしないとな」


 奏太は小指を絡め、切る。

 約束を交わし、笑みをこぼして。




「…………あんたね」


 しかし。そこでなぜか、呆れたようなため息。


「話には聞いてるけれど、本当に変ね。てっきりそういうものかと思ってたら違うようだし。……まあ、ルメリーもルメリーだけど」


「どういう意味だ?」


「……。一直線なのも程々にしておきなさいな、ってことよ。そんなんじゃ後悔するわよ、色々と」


 確かに奏太は決めたら一直線だが。しかしそれがなんだと言うのか。

 問いかけにシャルロッテは答える気はないようで、「ハッ」と鼻で笑って再び歩き出す。


「……とりあえず、肝に命じておく」


 まあ、それらの言動が一体どういうことだったのかはともかく、だ。


 シャルロッテの後ろ姿を見て、改めて思う。

 失ったものと得たもの。

 たくさんのことがあって、今は彼女のような者たちが手を貸してくれている。それが本当に、頼もしい。


 ……今はただ、そう思う。



*** *** *** *** *** *** *** *** ***



 休憩を挟み、場の空気を改めたことで、緩んでいた表情も自然と締まる。

 それは奏太はもちろん、芽空やフェルソナ、いつもは判を押したように無表情なジャックでさえも。

 しかし彼女のその表情の理由は、場の雰囲気に飲まれたから、というものではない。


「……『施設』らしき場所に、行ったことがある?」


「ええ。ただ、アザミが語っていたとかいう場所と同じかはわからないのだけれど」


 シャルロッテは奏太の質問にそう返し、次いで芽空に視線を移して、


「ルメリー。昔、HMA本部に『検査』と言われて連れて行かれたこと、覚えているわよね?」


「うん。ちょっと曖昧なところもあるけど、覚えてるよー。でも、あれは『獣人』を調べるための設備じゃなかったっけ」


「そうね。ワタクシもルメリーも、そこで一度は人間だという結果を聞いて、後で片方だけひっくり返った。……そもそも、あの結果自体正しく伝えられていたものなのか、わからないけれどね」


 芽空から聞いた話と一致している。数年前の時点で、HMAに『獣人』を見極めるための技術があったことや、そもそも『獣人』が人間の中に潜んでいると、すでに藤咲華が睨んでいたこと。


「……と、二人で話してたってなんの説明にもならないわね。——ジャック。わかってるだろうけど、これはあんたの失った記憶の一つよ。ちゃんと聞いておきなさい」


「ん」


 短い頷き。一見なんでもないような返事だが、喪失者にとっては決して他人事ではない、自身の過去だ。ぎこちなさが言葉の陰にあり、緊張の色が見える。


 しかし、彼女の心の準備を待っていては時間がもったいないとでもいうように、シャルロッテは口を開く。


「今から七年前。あんたたちが記憶を失ったのが五年前だから、その前二年から一年半くらいの頃ね」


 彼女は語る。

 ある日、藤咲華がヨーハン邸に客人として訪れ、芽空とシャルロッテの二人に、『検査』への参加の可否を問いかけたことを。

 楽しいという言葉に惹かれ、参加したは良いが、実際にやったことと言えば身体検査や質問への回答、お嬢様だから、ということだろうおまけのデバイス点検。いくつかの部屋を移動し、大がかりな機械も使ったけれど、まとめればそれだけであった……と。


 ここまでは奏太も知っていることだ。

 そして、


「ルメリーは知らないわよね。あの後の話を」


「あの後?」


「ワタクシは同時期に結果こそ出たものの、少し気になってまたHMAに行ったのよ。見学させてください、ってね」


「答えは……話の流れからして、決まっているようなものだろうね」


 フェルソナの問いに彼女は頷く。


「『トレス・ロストロ』のソウゴがついている状態で、だけれど、他の子どもたちの『検査』を見学させてもらえることになったわ。大抵の子は、あの強面を怖がってワタクシに近づいてこなかったけれどね」


 冗談のような口調で話してみせるが、その表情はぴくりとも動かず、笑い声一つすら漏れていない。


「あの時のワタクシはね、最初はそれが面白くて笑っていたのよ。ルメリーだったら……なんてね」


 「でも」と言葉を切り、


「何人かは物怖じせず、ワタクシに話しかけてきた。あの『銀狼』やジャック、あんたみたいな子たちがね」


「……ワタシが」


「はっきり言って、当時話していた内容までは思い出せないわ。そこまで印象に残っていない、ということは他愛もない世間話か何かだもの。ただ、互いに家名を名乗っていたのは確か」


 彼女の口から出た、家名、というワードに首を傾げる。

 それが確かだというのなら、


「家名を聞いてたなら、後で会いに行ったりしなかったのか? 喪失する前後、どっちでも会えたんじゃ……」


「いいえ、それは叶わなかった。ちょうどピアノを始めたのがその時期だし、お父様たちが開くパーティーも欠席していたのよ。だから、社交の場に出た頃にはもう遅かった」


 思い出したのも、二人が揃って記憶喪失になったと聞いた後よ、と。


 ……なんとも短すぎる、寂しい縁だ。

 少し時期が違えば、もう少し何かが知れたかもしれない。もっと、ジャックやアザミを理解できていたかもしれないのに。


「私も見学に行っておけばよかったのかな……」


「あんたが気に病むことじゃないわ。たらればの仮定の話なんていくらでもできるけれど、結局今あるのは今だけ。何も変わらないわ」


「——じゃあ」


 と、そこで二人の間に割って入ったのは、口を閉じて聞いていたジャック。彼女は奏太の服の袖を掴んだまま、震え声で問う。


「その時の今は。当時のワタシは……どんな子だったの?」


「どんな子、ね」


 問いかけに対し、シャルロッテは必死に思い出すように瞳を閉じる。

 時間にして十秒。沈黙が流れた後、


「…………今よりかは、元気な子だったわね。無愛想じゃないし、友達もたくさんいるとか言ってたし」


「ワタシが、元気」


 しっくりこないのか、ジャックが空いた片手で自分の頰をつねる。そのまま持ち上げ、笑顔を無理やり作っているようだが、どこをどう見てもぎこちなさしかない。


「そう、今のあんたとは全然違った。おぼろげでも、そのくらいはわかる。……ただ唯一、人懐っこいってことだけは、今も昔も変わらないけれどね」


 隣の少女がぴた、と動きを止める。

 それから動きを再開するわけでもなく、問いかけるわけでもなく、一度だけ、納得するように小さく頷いて。


「……話を戻すわよ」


 シャルロッテもまたそれを確認すると、咳払い。軽く首を振って、


「『検査』の工程については、残念なことに曖昧な部分が大きいわね。ルメリーやジャックのような『獣人』の場合は、一つ多かったかもしれないとか、その程度。でも——」


「あまりに唐突なその技術は、ひょっとすると——HMAではない(、、、、、、、)どこか(、、、)から持ち出されたのかもしれない、かい?」


「——。そうだけれど、あくまで時期的にありえるかもしれない、という程度よ。アイの話が真実ならね」


 なるほど、だからそういう意味で「『施設』らしき場所に行ったことがある」、と。いずれにしても決めつけや目星づけをしないのは例のごとくとして。


「『検査』を行った空間は、まだHMAにあるの?」


「移動……というより、大規模な発展に繋げようとした結果が、恐らくあんたたちの襲撃した工場よ。そこを調べても特に何も出てこなかった以上、本部に『施設』への手がかりはほぼないと言ってもいいわね」


 彼女が苦々しげに呟くのは、自身の記憶が手がかりになり得ない、おぼろげなものだからか。それが原因で、歯がゆい気持ちを味わっているのか。


 しかし、それを責めることは誰にもできない。本来記憶とはそういうものであり、人は忘れるから生きていけると、そんな言葉もあるくらいだ。

 それに、すでに出た情報の補強にもなったし、仮定に仮定の重ねとはいえ、HMAがどういう流れで技術を得たのか、過去にHMAが協力していた『施設』——元は企業、あるいは個人か——を調べれば特定が可能、という可能性も出てきた。


 直接華に聞いたとて、まず答えるとは思えないので、いくつか手段を用意して試してみるべきか。やや手間はかかるが仕方あるまいと————、


「…………大規模な、発展」


 隣の芽空が、妙に真剣な表情で呟くのが聞こえた。


「どうした?」


「んん、えっとー……ちょっと待ってね」


 びし、と片手で制止される。

 彼女が呟いた内容に、引っかかるところなどあっただろうか。少し考えてみるが、いまいちこれといった考えは出てこず、芽空の思考の方が先に終わりを迎えた。


「そーた。前にアジトと地上が繋がってる場所について、話したの覚えてる?」


「ああ、一応。確か、雑居ビルや娯楽エリアみたいな中枢区の一部と、資源区のいくつか。でも、唯一学生区だけは全くない——みたいな感じだったよな」


「そうそう。あの時は冗談で返したけど……どうして学生区にないか知ってる?」


 首を振る。


「じゃあアジトの全体図って想像したことある?」


「ないな。……どういう関連性?」


地下鉄(、、、)だよ、そーた」


 地下鉄。確か、聞いたことがある。

 というか、中学校の教科書に載っているはずだし、県外にも残っているところはあったはず。奏太は記憶のある限り、一度も使ったことのない代物だが。


 以前は、この国を含めた世界中で使われていた交通手段。

 空を飛ぶ車なんて夢のまた夢だった頃、地上だけを移動していては限界があるとかで作られたとか。今空を飛べる技術があるかはともかく、それはそれはたくさんの人が利用していたとか。


 ……少し、興味はある。

 元々アナログというか、前時代的なものが好きな部分のある奏太的には。

 しかしどうして廃止されたのだったか、今あれば奏太も乗りに行くというのに…………ではなく。


「全体図と地下鉄。——って、まさか」


「そのまさかだよ、そーた」


 口をあんぐりと開ける。


 いやしかし、考えてみればそりゃそうだという話でもある。

 あのアジトは広大だ。それはもう、端から端まで移動しようと思ったら、軽い準備運動どころでは済まない程度には。

 入口出口が数えられるほどしかなくとも、それは変わらない。


 なら、そんなアジトの敷地は一体どこから現れ、作られたのか。空の欄を埋める答えは——元地下鉄跡地、だ。

 さらに、


「学生区にだけ通じてないのは、地下も地上も同じ。全体図で見れば、各所を上手く避けるように作られてるよー」


「それは管理的な問題なのか?」


「そうなるねー。封鎖後、管理してるのはお兄様……というより、ルクセン家とHMA。もちろん、表向きには地下のことを公表はできないけど」


 改めて、とんでもない家である。

 妹が『獣人』だからアジトを作ったのか、あるいは元々別荘として作ったところを妹に渡したのか。権力の使い方をやや間違っている気がしないでもないが、その辺りの話はそのうち聞くこととしよう。


「それで、一体どういう——」


「…………分かったかもしれない」


「え?」


 目をパチクリとする。

 今しがた彼女が呟いた言葉の意味。情報。それはこの場に集まった一同が、喉から手が出るほど欲しいもの。

 芽空は笑っているのか、悩んでいるのか、複雑な表情を浮かべながら、




「————『施設』の場所、分かったかも」




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