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序章




 突き刺さるような寒さに、降り注ぐ冷たい雨。周りは黒い服を身に纏った大人たちや、制服姿の少年少女たちの姿があった。傘を持つ指先が寒さで冷たくなっても、その場を動けないでいる。目の前に突きつけられた現実は、あまりにも残酷で、直視するにはまだ少年少女には厳しくも思えた。




 涙を堪えるように下唇を噛む。少し離れたところで我慢できずに泣き崩れる女の子の姿があった。それをきっかけに周りにいた女の子たちが次々と啜り泣き始める。ギリッと拳を握り、今にも溢れてしまいそうな感情と涙を押さえつけた。




「こんなのって……ないよ……」

「やっと、やっと信じられる人ができたと思ったのに……」




 聞こえてきた声にギュッと目を閉じる。


 瞼の裏に浮かぶ笑顔の姿。



 ずっと真剣に向き合ってくれた人。



 どんなに酷い言葉を連ねても屈しなかった人。



 ときに一緒に笑い、泣いてくれた人。



 同じように馬鹿をしてくれた子供のような人。




 今までの奴等と全然違った。傷みを解ってくれた大人なんて、この人しかいなかった。





 なのに……。





 明るく笑うあの人の写真が、とても切なくて悲しくて。



 クラスの皆と一緒に卒業するんだと笑っていた担任教師。



 卒業を目前にした二月末。

 あの人は、学校の校庭で血だらけで倒れていた。




「……先生を殺したやつ……絶対に許さねぇ……」



 自殺するような人じゃない。だから見つけ出すんだ。




 あの優しく強い先生を殺した犯人を……。

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